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第21話 軽やかな心
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ジェイミー様に妹との関係について話し終えて、私は一段落ついたと感じていた。けれど、ジェイミー様も私に話したいことがあるようだ。
「実は、ヴァレンタイン公爵からメイドの件について聞いていたんだ」
「そうだったのですか?」
私は、驚いて声を上げた。ジェイミー様がヴァレンタイン公爵から話を聞いていたとは知らなかった。
「前に、公爵とお話しする機会があってね。その時、ヴァレンタイン家で起きていたことを聞かせてもらったんだ。公爵は息子の行動を心配していて、他家の意見を求めていたようだよ」
しかも、直接話したらしい。なるほど、そういうことだったのか。
「ヴァレンタイン公爵は君のことも、気にかけておられた」
「えっ!?」
公爵様とは何度か、お話したことはある。でも、まさか気にしてくれているなんて思わなかった。
「それで、ヴァレンタイン家から解雇されるメイドの一部をウチでも引き受けることにした」
「ええっ、そんな……!」
ジェイミー様の決断に、再び驚く。
「ちょうど良かったんだ。君のおかげで領地経営が安定してきて、メイドを雇う余裕も出てきた。ヴィオラとの結婚に向けて、身の回りを世話してくれる者を雇いたいと考えていたんだよ」
「ジェイミー様、ありがとうございます」
メイドのことも、私のことも考えてくれているジェイミー様の優しさに感動して、胸が熱くなった。
「ヴァレンタイン公爵から聞いた話だと、君とメイドたちは顔なじみらしいね。優秀な人材だと聞いている。ウチとしても非常に助かるし、ヴィオラにとっても馴染みのメイドの方が心強いだろう」
「はい。そう思います」
ジェイミー様は様々な事情を考慮して、メイドの受け入れを決めてくれたようだ。本当に良かった。解雇されて途方に暮れているだろうメイドたちを、こうして救ってくれるなんて。
「レイクウッド家だけでなく、知人の貴族にも話を持ちかけてみたんだ。多くの家が快く引き受けてくれることになったよ。ヴァレンタイン家から出されても、メイドの仕事には困らないはずだ」
「まあ、それは嬉しい知らせです!」
ジェイミー様の尽力のおかげで、メイドたちは新しい居場所を見つけられるという。彼女たちにも私と同じように、幸せな未来が待っているでしょう。それを聞いて、安堵の息をつく。
「それと、ヴィオラが妹から責任を押し付けられた件、ヴァレンタイン公爵にも話しておくよ。公爵なら息子を諭して、婚約者への態度を改めさせられるはずだ。これで、君に絡んでくることもなくなるだろう」
「ありがとうございます、ジェイミー様」
まさか、さっき話したばかりのことが、こんなにも早く展開するなんて。しかも、ジェイミー様はここまで配慮してくれる。彼は約束した通り、私を守るために動いてくれる。ちゃんと救ってくれる、とても頼もしい男性だった。
彼のような素敵な人と出会い、婚約して、結婚することが出来るなんて私は幸せだと思う。
こうして私は、ジェイミー様の屋敷で新しい生活を始めることになった。妹と偶然出くわすことのないよう、実家には当分戻らないことに。それも、ジェイミー様が私の父と話し合って、問題なくしてくれた。
月日は流れて、特に今は幸せな日々を感じる。リリアンとの確執に悩まされていた頃とは違い、私の心は軽やかだ。
妹との縁を切ったことで、肩の荷が下りたように思える。まるで、長年の重しから解放されたかのような、不思議な解放感があった。
「実は、ヴァレンタイン公爵からメイドの件について聞いていたんだ」
「そうだったのですか?」
私は、驚いて声を上げた。ジェイミー様がヴァレンタイン公爵から話を聞いていたとは知らなかった。
「前に、公爵とお話しする機会があってね。その時、ヴァレンタイン家で起きていたことを聞かせてもらったんだ。公爵は息子の行動を心配していて、他家の意見を求めていたようだよ」
しかも、直接話したらしい。なるほど、そういうことだったのか。
「ヴァレンタイン公爵は君のことも、気にかけておられた」
「えっ!?」
公爵様とは何度か、お話したことはある。でも、まさか気にしてくれているなんて思わなかった。
「それで、ヴァレンタイン家から解雇されるメイドの一部をウチでも引き受けることにした」
「ええっ、そんな……!」
ジェイミー様の決断に、再び驚く。
「ちょうど良かったんだ。君のおかげで領地経営が安定してきて、メイドを雇う余裕も出てきた。ヴィオラとの結婚に向けて、身の回りを世話してくれる者を雇いたいと考えていたんだよ」
「ジェイミー様、ありがとうございます」
メイドのことも、私のことも考えてくれているジェイミー様の優しさに感動して、胸が熱くなった。
「ヴァレンタイン公爵から聞いた話だと、君とメイドたちは顔なじみらしいね。優秀な人材だと聞いている。ウチとしても非常に助かるし、ヴィオラにとっても馴染みのメイドの方が心強いだろう」
「はい。そう思います」
ジェイミー様は様々な事情を考慮して、メイドの受け入れを決めてくれたようだ。本当に良かった。解雇されて途方に暮れているだろうメイドたちを、こうして救ってくれるなんて。
「レイクウッド家だけでなく、知人の貴族にも話を持ちかけてみたんだ。多くの家が快く引き受けてくれることになったよ。ヴァレンタイン家から出されても、メイドの仕事には困らないはずだ」
「まあ、それは嬉しい知らせです!」
ジェイミー様の尽力のおかげで、メイドたちは新しい居場所を見つけられるという。彼女たちにも私と同じように、幸せな未来が待っているでしょう。それを聞いて、安堵の息をつく。
「それと、ヴィオラが妹から責任を押し付けられた件、ヴァレンタイン公爵にも話しておくよ。公爵なら息子を諭して、婚約者への態度を改めさせられるはずだ。これで、君に絡んでくることもなくなるだろう」
「ありがとうございます、ジェイミー様」
まさか、さっき話したばかりのことが、こんなにも早く展開するなんて。しかも、ジェイミー様はここまで配慮してくれる。彼は約束した通り、私を守るために動いてくれる。ちゃんと救ってくれる、とても頼もしい男性だった。
彼のような素敵な人と出会い、婚約して、結婚することが出来るなんて私は幸せだと思う。
こうして私は、ジェイミー様の屋敷で新しい生活を始めることになった。妹と偶然出くわすことのないよう、実家には当分戻らないことに。それも、ジェイミー様が私の父と話し合って、問題なくしてくれた。
月日は流れて、特に今は幸せな日々を感じる。リリアンとの確執に悩まされていた頃とは違い、私の心は軽やかだ。
妹との縁を切ったことで、肩の荷が下りたように思える。まるで、長年の重しから解放されたかのような、不思議な解放感があった。
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