上 下
17 / 31

第17話 嫌悪と疑念◆妹リリアン視点

しおりを挟む
「最悪だったわ! あんなお粗末なパーティー、今まで経験したことがない!」

 パーティーが終わって、ルーカス様と一緒に部屋へ戻ってきた私は怒りを露わにしながら、訴えかけた。

 入念に指示した準備はどれも間違っていたし、私のこだわりは完全に無視されていた。あんなの、私が時間をかけて考えた完璧な計画とは全然違うのよ。

「装飾も雑で、センスのかけらもなかったわ。それに、料理の出来も最悪。味付けが濃すぎたり、冷めていたりで、ゲストに失礼だったわよね」

 パーティーの最中も、失敗ばかりが目についた。メイドたちの態度も悪くて、挨拶にも影響が出ていたのよ。これで、私の悪い評判が広まってしまったら完全にメイドたちのせい。

 私は次から次へと溢れ出てくる不満をぶちまけた。自分の感情を抑えることなんてできない。それぐらい、今回の失敗は不愉快だった。絶対に成功させないと駄目な、大事なお披露目だったのに。

「ねえ、ルーカス様。どうしてメイドたちは私の邪魔をするのかしら?」
「いや、どうだろう……」

 そう言いながら私は、こんな考えに至った。もしかして、お姉様を慕っていた奴らなのかも。代わりに婚約した私のことを認めないって、そう言うつもりね。お姉様は昔から、妙に使用人たちから好かれたりすることが多かったし。

「すまない、リリアン。僕の確認不足が原因だ」
「ルーカス様のせいじゃないわ! 全部、あのメイドたちのせいよ!」

 そうよ、悪いのは奴らなの。私を落ち着かせようと必死になるルーカス様にも、少しイライラしてしまうけれど、彼に当たるのは止めておく。まだ冷静な部分で、私は判断していた。彼に嫌われるのは避けないとね。

 とにかく、今の私がするべきことは。

「あんな奴ら、全員クビにして。二度と私の前に姿を現さないようにさせてよ」
「……わかった。父に言っておくよ」

 パーティーを失敗させた奴ら、そして姉の影響が残っているかもしれないメイドたちを全員追い出すべき。屋敷に残していたら、この先も妨害してくる可能性がある。その可能性は潰しておかないと、私は安心できないわ。

 ルーカス様は渋々といった様子で了承してくれたけれど、彼の目には戸惑いの色が浮かんでいた。メイドたちを解雇することに、躊躇いを感じているのかもしれない。

 だけど、仕方ないのよ。私の望みを叶えるためには、邪魔者は排除するしかないのだから。私のお願いを聞いてもらいましょう。新しい婚約相手に選んでくれたらんだから、これぐらいしてもらわないと。

 でも、本当に最悪なパーティーだった。ある意味お姉様に邪魔されたようなもの。この責任を、どうにかしてお姉様に追求できないかしら。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

妹だけを可愛がるなら私はいらないでしょう。だから消えます……。何でもねだる妹と溺愛する両親に私は見切りをつける。

しげむろ ゆうき
ファンタジー
誕生日に買ってもらったドレスを欲しがる妹 そんな妹を溺愛する両親は、笑顔であげなさいと言ってくる もう限界がきた私はあることを決心するのだった

きっとやり直せる。双子の妹に幸せを奪われた私は別の場所で幸せになる。

しげむろ ゆうき
恋愛
 ある日、問題児である双子の妹が妊娠をしたと知らされる。  しかも、相手は私の婚約者らしい……。  すると、妹を溺愛する家族は容姿が似ている妹と私を交換しようと言いだしたのだ。  そして問題児の妹になった私は家族の縁を切られ追い出されてしまったのだった。  タイトルが全く思いつかず一時間悩みました(笑) ※8話ホラー要素あり。飛ばしても大丈夫です。

そんなにその方が気になるなら、どうぞずっと一緒にいて下さい。私は二度とあなたとは関わりませんので……。

しげむろ ゆうき
恋愛
 男爵令嬢と仲良くする婚約者に、何度注意しても聞いてくれない  そして、ある日、婚約者のある言葉を聞き、私はつい言ってしまうのだった 全五話 ※ホラー無し

貴方の愛人を屋敷に連れて来られても困ります。それより大事なお話がありますわ。

もふっとしたクリームパン
恋愛
「早速だけど、カレンに子供が出来たんだ」 隣に居る座ったままの栗色の髪と青い眼の女性を示し、ジャンは笑顔で勝手に話しだす。 「離れには子供部屋がないから、こっちの屋敷に移りたいんだ。部屋はたくさん空いてるんだろ? どうせだから、僕もカレンもこれからこの屋敷で暮らすよ」 三年間通った学園を無事に卒業して、辺境に帰ってきたディアナ・モンド。モンド辺境伯の娘である彼女の元に辺境伯の敷地内にある離れに住んでいたジャン・ボクスがやって来る。 ドレスは淑女の鎧、扇子は盾、言葉を剣にして。正々堂々と迎え入れて差し上げましょう。 妊娠した愛人を連れて私に会いに来た、無法者をね。 本編九話+オマケで完結します。*2021/06/30一部内容変更あり。カクヨム様でも投稿しています。 随時、誤字修正と読みやすさを求めて試行錯誤してますので行間など変更する場合があります。 拙い作品ですが、どうぞよろしくお願いします。

私を侮辱する婚約者は早急に婚約破棄をしましょう。

しげむろ ゆうき
恋愛
私の婚約者は編入してきた男爵令嬢とあっという間に仲良くなり、私を侮辱しはじめたのだ。 だから、私は両親に相談して婚約を解消しようとしたのだが……。

【完結】離縁ですか…では、私が出掛けている間に出ていって下さいね♪

山葵
恋愛
突然、カイルから離縁して欲しいと言われ、戸惑いながらも理由を聞いた。 「俺は真実の愛に目覚めたのだ。マリアこそ俺の運命の相手!」 そうですか…。 私は離婚届にサインをする。 私は、直ぐに役所に届ける様に使用人に渡した。 使用人が出掛けるのを確認してから 「私とアスベスが旅行に行っている間に荷物を纏めて出ていって下さいね♪」

どうやら婚約者が私と婚約したくなかったようなので婚約解消させて頂きます。後、うちを金蔓にしようとした事はゆるしません

しげむろ ゆうき
恋愛
 ある日、婚約者アルバン様が私の事を悪く言ってる場面に遭遇してしまい、ショックで落ち込んでしまう。  しかもアルバン様が悪口を言っている時に側にいたのは、美しき銀狼、又は冷酷な牙とあだ名が付けられ恐れられている、この国の第三王子ランドール・ウルフイット様だったのだ。  だから、問い詰めようにもきっと関わってくるであろう第三王子が怖くて、私は誰にも相談できずにいたのだがなぜか第三王子が……。 ○○sideあり 全20話

完結 冗談で済ますつもりでしょうが、そうはいきません。

音爽(ネソウ)
恋愛
王子の幼馴染はいつもわがまま放題。それを放置する。 結婚式でもやらかして私の挙式はメチャクチャに 「ほんの冗談さ」と王子は軽くあしらうが、そこに一人の男性が現れて……

処理中です...