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第34話 救出作戦会議 ※宰相候補だった男視点
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仕事をしている最中、使用人の一人が部屋に駆け込んできた。かなり慌てた様子で、息を切らしている。
「た、大変です! 広場で武装した連中が暴れているそうです!」
「落ち着け」
「しかしッ!」
「我々に出来ることはない。指示があるまで待機。他の者たちにも持ち場を離れず、王城からも出ないように言っておけ。分かったな」
「は、はい!」
報告に来た使用人が、入って来た時と同じように慌てて部屋を飛び出していった。さて、自分はこの後どうなってしまうだろう。同じ仲間として、俺も処刑されるのだろうか。
そんなことを考えながら、数週間前のことを思い返す。
***
トリスタンに呼び出されて、俺は薄暗い部屋の中に居た。そこには、クロヴィスにラウルの姿もある。ルドルフ以外の友人たちが、ここに集まっていた。トリスタンが口を開く。
「どうにかして、アルメルを助け出さなければ」
「あぁ、そうだな。彼女を処刑するなんて、私は反対だ」
トリスタンの言葉に、ラウルが頷く。
「こんなのおかしいよ。アルメルが処刑されるなんて……」
クロヴィスは悔しそうにうつむき、拳を握り締めた。この3人は、アルメルを助け出すつもりのようだ。そんな彼らを、俺は黙って見ていた。
「ルドルフが死刑になるのもおかしい! 王国に大損害をもたらした罪なんて、本来であれば国王が背負うべきものだろう? それなのに、なぜアイツが裁かれなければならないんだ?」
トリスタンがそう言って、机を叩いた。だが、彼の言っていることは間違っている。罪を問われるべきなのは、ここに居る俺たちなんだと思う。それなのに見逃されて、ルドルフとアルメルだけが死刑になる。そうなるように、国王が手配した。
「おそらく国王は、ルドルフに王位を簒奪されるのを恐れて、彼を抹殺しようとしているんだと思う。まだ自分が国王のままで居続けたいから」
ラウルが見当違いなことを言っている。けれど、それを指摘する者は誰も居なかった。もちろん、俺も口を閉じたまま。
「なら、アルメルとルドルフの2人を助け出して、全ての事実を王国民に知らせよう!」
「そうしよう!」
「それしかない!」
そう提案したトリスタンに、2人が賛同する。しかし、黙ったままの俺に3人の視線が集まった。
「トゥーサンは、どうする? もちろん、お前も一緒に来るだろ? アルメルを助け出したいという気持ちがあるはずだ」
厳しい視線を俺に向けて、トリスタンが確認してくる。確かに、アルメルを助け出したい気持ちはある。一方で、それは無理だと思っていた。しかも失敗してしまったら、とんでもないことになる。だから。
「俺は、行かない」
俺の言葉に、みんなが驚いた表情を見せた。そして、すぐに怒りの表情に変わる。
「アルメルを見捨てるのか! お前が、そんな奴だとは思わなかった!!」
「彼女を見殺しにするというのか!?」
「最低だよ、お前……!」
3人が一斉に俺を責める。しかし、俺の気持ちは一切変わらなかった。このまま彼らと一緒に居たら、間違いなく最悪なことに巻き込んでしまう。それだけは何としても避けたかった。
もうすでに、手遅れかもしれないが。きっと、もっとずっと前から間違えていた。
「薄情者の根性なしは、ここから出ていけ。お前抜きで、俺たちはやる」
「わかった」
トリスタンが扉を指さして、そう言った。俺は立ち上がり、そのまま部屋を出ていく。
「この場で話し合ったことは漏らすなよ。誰かに言ったりしたら、絶対に許さないからな」
背後から、そんな言葉が聞こえた。それに返事をすることなく、俺は部屋を出た。
こうして俺は、彼らの仲間から外れることにした。
「た、大変です! 広場で武装した連中が暴れているそうです!」
「落ち着け」
「しかしッ!」
「我々に出来ることはない。指示があるまで待機。他の者たちにも持ち場を離れず、王城からも出ないように言っておけ。分かったな」
「は、はい!」
報告に来た使用人が、入って来た時と同じように慌てて部屋を飛び出していった。さて、自分はこの後どうなってしまうだろう。同じ仲間として、俺も処刑されるのだろうか。
そんなことを考えながら、数週間前のことを思い返す。
***
トリスタンに呼び出されて、俺は薄暗い部屋の中に居た。そこには、クロヴィスにラウルの姿もある。ルドルフ以外の友人たちが、ここに集まっていた。トリスタンが口を開く。
「どうにかして、アルメルを助け出さなければ」
「あぁ、そうだな。彼女を処刑するなんて、私は反対だ」
トリスタンの言葉に、ラウルが頷く。
「こんなのおかしいよ。アルメルが処刑されるなんて……」
クロヴィスは悔しそうにうつむき、拳を握り締めた。この3人は、アルメルを助け出すつもりのようだ。そんな彼らを、俺は黙って見ていた。
「ルドルフが死刑になるのもおかしい! 王国に大損害をもたらした罪なんて、本来であれば国王が背負うべきものだろう? それなのに、なぜアイツが裁かれなければならないんだ?」
トリスタンがそう言って、机を叩いた。だが、彼の言っていることは間違っている。罪を問われるべきなのは、ここに居る俺たちなんだと思う。それなのに見逃されて、ルドルフとアルメルだけが死刑になる。そうなるように、国王が手配した。
「おそらく国王は、ルドルフに王位を簒奪されるのを恐れて、彼を抹殺しようとしているんだと思う。まだ自分が国王のままで居続けたいから」
ラウルが見当違いなことを言っている。けれど、それを指摘する者は誰も居なかった。もちろん、俺も口を閉じたまま。
「なら、アルメルとルドルフの2人を助け出して、全ての事実を王国民に知らせよう!」
「そうしよう!」
「それしかない!」
そう提案したトリスタンに、2人が賛同する。しかし、黙ったままの俺に3人の視線が集まった。
「トゥーサンは、どうする? もちろん、お前も一緒に来るだろ? アルメルを助け出したいという気持ちがあるはずだ」
厳しい視線を俺に向けて、トリスタンが確認してくる。確かに、アルメルを助け出したい気持ちはある。一方で、それは無理だと思っていた。しかも失敗してしまったら、とんでもないことになる。だから。
「俺は、行かない」
俺の言葉に、みんなが驚いた表情を見せた。そして、すぐに怒りの表情に変わる。
「アルメルを見捨てるのか! お前が、そんな奴だとは思わなかった!!」
「彼女を見殺しにするというのか!?」
「最低だよ、お前……!」
3人が一斉に俺を責める。しかし、俺の気持ちは一切変わらなかった。このまま彼らと一緒に居たら、間違いなく最悪なことに巻き込んでしまう。それだけは何としても避けたかった。
もうすでに、手遅れかもしれないが。きっと、もっとずっと前から間違えていた。
「薄情者の根性なしは、ここから出ていけ。お前抜きで、俺たちはやる」
「わかった」
トリスタンが扉を指さして、そう言った。俺は立ち上がり、そのまま部屋を出ていく。
「この場で話し合ったことは漏らすなよ。誰かに言ったりしたら、絶対に許さないからな」
背後から、そんな言葉が聞こえた。それに返事をすることなく、俺は部屋を出た。
こうして俺は、彼らの仲間から外れることにした。
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