23 / 42
第23話 近くで見てきた友人について ※リゼット視点
しおりを挟む
今になって思う。エレノラの誘いに乗って、本当に良かったと。
話を聞いた当初は、彼女のことを少し疑っていた。何か企んでいるのか、嫌がらせなのか。アルメルという女に気を付けろと言われたが、その真意がわからなかった。その辺に居るような令嬢を、なぜ警戒しなければならないのか。
でも、エレノラと話すのは楽しかったし、彼女の人柄は好きだった。普通に友人として付き合うのなら、エレノラは良い子である。一緒に居たいと思える人だった。
そんな彼女から言われたことだから、ちょっと気にしてみるかしら、というくらいは思っていた。
あれよあれよという間に、私は婚約を破棄された。
例のアルメルという女が、トゥーサンを奪っていった。エレノラの忠告を聞いて、もっと気を付けるべきだった。
だけど、こんなことになると分かっていたのならもっと早く教えてほしい。それなら、前もって動けたかもしれないのに。詳しく教えてくれたら対処できたかもしれないのに。そう考えて、エレノラに対してイラっとした。
でも、すぐに反省する。エレノラはちゃんと事前に教えてくれたし、信じなかった私の責任なのでしょう。
それに冷静になって考えてみると、そこまで執着するような男じゃなかったのよ。他の女に目移りするような軽薄な男なら、譲ってやってよかった。
あれだけ強烈に感じていた、トゥーサンに対する好意がスッと冷めた。王を支え、共に王国を導く宰相になると誓っていたのに。その望みを放って、女なんかに夢中になっているような、そんな男に用はない。
デュノア家も、彼のために色々と投資してきたのに全てが無駄になってしまった。それが、とてもむなしい。
それから、エレノラが集めた令嬢たちも同じように婚約を破棄されていった。とんでもないことになったと思った。このままじゃ、王国の未来すら危ないのではと。
だけど、エレノラは冷静だった。何か考えがあるらしい。そんな彼女を見て、私も冷静になれた。それからエレノラも、王子から婚約を破棄された。本当に大丈夫なのかしら。さすがに心配になってきた。これから、どうするつもりなのかしら。
大変な状況だけど、ちょっとだけワクワクもしていた。
そんな私の期待を大きく超えて、エレノラは動き始めた。彼女は私たちに提案する。アラムドラム帝国への移住を。
私の友人は、凄いことを考えつく。しかも、それを実行しようと計画まで立てた。普通ならあり得ない。王国で生まれた貴族が、他の国へ行こうなんて突飛な発想。けれど、面白いと思った。私は大賛成。
エレノラと出会って友人になった時、彼女を信じられなくて、疑ってしまった。だけど、今度は信じ切る。彼女の計画に全力で乗らせてもらいましょう。
まさか、自分が亡命するなんてね。いや、正式には亡命じゃないらしいけれども。エレノラの話によると、ちゃんと手続きを済ませて帝国に移って来たらしい。私には、どうやったのか詳しくは知らないけれど。
とにかく、そうするように私たちを追い込んだ彼らは馬鹿だと思う。特にエレノラを自ら手放すことになった王子は、後悔すればいいのよ。
帝国へ行くので、彼らの悔しがる様子を近くで見れないのが少し残念ね。
話を聞いた当初は、彼女のことを少し疑っていた。何か企んでいるのか、嫌がらせなのか。アルメルという女に気を付けろと言われたが、その真意がわからなかった。その辺に居るような令嬢を、なぜ警戒しなければならないのか。
でも、エレノラと話すのは楽しかったし、彼女の人柄は好きだった。普通に友人として付き合うのなら、エレノラは良い子である。一緒に居たいと思える人だった。
そんな彼女から言われたことだから、ちょっと気にしてみるかしら、というくらいは思っていた。
あれよあれよという間に、私は婚約を破棄された。
例のアルメルという女が、トゥーサンを奪っていった。エレノラの忠告を聞いて、もっと気を付けるべきだった。
だけど、こんなことになると分かっていたのならもっと早く教えてほしい。それなら、前もって動けたかもしれないのに。詳しく教えてくれたら対処できたかもしれないのに。そう考えて、エレノラに対してイラっとした。
でも、すぐに反省する。エレノラはちゃんと事前に教えてくれたし、信じなかった私の責任なのでしょう。
それに冷静になって考えてみると、そこまで執着するような男じゃなかったのよ。他の女に目移りするような軽薄な男なら、譲ってやってよかった。
あれだけ強烈に感じていた、トゥーサンに対する好意がスッと冷めた。王を支え、共に王国を導く宰相になると誓っていたのに。その望みを放って、女なんかに夢中になっているような、そんな男に用はない。
デュノア家も、彼のために色々と投資してきたのに全てが無駄になってしまった。それが、とてもむなしい。
それから、エレノラが集めた令嬢たちも同じように婚約を破棄されていった。とんでもないことになったと思った。このままじゃ、王国の未来すら危ないのではと。
だけど、エレノラは冷静だった。何か考えがあるらしい。そんな彼女を見て、私も冷静になれた。それからエレノラも、王子から婚約を破棄された。本当に大丈夫なのかしら。さすがに心配になってきた。これから、どうするつもりなのかしら。
大変な状況だけど、ちょっとだけワクワクもしていた。
そんな私の期待を大きく超えて、エレノラは動き始めた。彼女は私たちに提案する。アラムドラム帝国への移住を。
私の友人は、凄いことを考えつく。しかも、それを実行しようと計画まで立てた。普通ならあり得ない。王国で生まれた貴族が、他の国へ行こうなんて突飛な発想。けれど、面白いと思った。私は大賛成。
エレノラと出会って友人になった時、彼女を信じられなくて、疑ってしまった。だけど、今度は信じ切る。彼女の計画に全力で乗らせてもらいましょう。
まさか、自分が亡命するなんてね。いや、正式には亡命じゃないらしいけれども。エレノラの話によると、ちゃんと手続きを済ませて帝国に移って来たらしい。私には、どうやったのか詳しくは知らないけれど。
とにかく、そうするように私たちを追い込んだ彼らは馬鹿だと思う。特にエレノラを自ら手放すことになった王子は、後悔すればいいのよ。
帝国へ行くので、彼らの悔しがる様子を近くで見れないのが少し残念ね。
416
お気に入りに追加
3,512
あなたにおすすめの小説


悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない
陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」
デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。
そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。
いつの間にかパトロンが大量発生していた。
ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?
乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?
シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。
……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。
そんなに妹が好きなら死んであげます。
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』
フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。
それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。
そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。
イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。
異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。
何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……

魔法のせいだから許して?
ましろ
恋愛
リーゼロッテの婚約者であるジークハルト王子の突然の心変わり。嫌悪を顕にした眼差し、口を開けば暴言、身に覚えの無い出来事までリーゼのせいにされる。リーゼは学園で孤立し、ジークハルトは美しい女性の手を取り愛おしそうに見つめながら愛を囁く。
どうしてこんなことに?それでもきっと今だけ……そう、自分に言い聞かせて耐えた。でも、そろそろ一年。もう終わらせたい、そう思っていたある日、リーゼは殿下に罵倒され頬を張られ怪我をした。
──もう無理。王妃様に頼み、なんとか婚約解消することができた。
しかしその後、彼の心変わりは魅了魔法のせいだと分かり……
魔法のせいなら許せる?
基本ご都合主義。ゆるゆる設定です。

婚約破棄されなかった者たち
ましゅぺちーの
恋愛
とある学園にて、高位貴族の令息五人を虜にした一人の男爵令嬢がいた。
令息たちは全員が男爵令嬢に本気だったが、結局彼女が選んだのはその中で最も地位の高い第一王子だった。
第一王子は許嫁であった公爵令嬢との婚約を破棄し、男爵令嬢と結婚。
公爵令嬢は嫌がらせの罪を追及され修道院送りとなった。
一方、選ばれなかった四人は当然それぞれの婚約者と結婚することとなった。
その中の一人、侯爵令嬢のシェリルは早々に夫であるアーノルドから「愛することは無い」と宣言されてしまい……。
ヒロインがハッピーエンドを迎えたその後の話。

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。
三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。
何度も断罪を回避しようとしたのに!
では、こんな国など出ていきます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる