15 / 42
第15話 人手不足の対策は ※宰相候補の男視点
しおりを挟む
次から次へと雑務が舞い込んでくる。それを処理している間に、1日が終わってしまう。そして翌日になり、次の面倒な仕事が増えていく。いつまでも終わりがない。あっちもこっちも、人手不足だった。
こんなもの、俺が処理するような仕事じゃないぞ。さっさと誰かに押し付けたい。しかし、誰もやりたがらない。俺だってそうなのに。貧乏くじを引かされた。
「トゥーサン様、次の仕事は――」
「予定通り、こっちに回ってくれ。それが終われば、あっちの――」
「終わりました。次は――」
「いや、それは来週でいいだろう。先に、あれの処理を――」
「トゥーサン様、予定の件ですが――」
「今やっている。あとで確認するから、そこに置いておいてくれ」
これじゃあ、アルメルに会いに行く時間もないじゃないか。本当はもっと彼女に会いに行って、楽しく話がしたいのに。彼女と一緒に過ごす時間を楽しみたいのに。
早急に、人手を増やす必要がある。しかも、俺が集める必要がありそうだ。人任せにしていると、いつまでたっても今のまま何も変わらない可能性が高い。
このままじゃ、死ぬまで俺は面倒な仕事を押し付けられたまま。宰相の座も、他の誰かに奪われてしまう可能性がある。そうなってしまったら、いよいよ終わりだな。今すぐ対処しなければ。
以前のように、デュノア家が派遣していた使用人たちを王城に戻すことは出来ないか。それが一番、手っ取り早いだろうな。前の環境に戻す。彼女の報復も、そろそろ満足しただろう。今は、王城の管理が大事なんだから。
王国のために、今こそデュノア家は忠誠心を示すべきだ。そのためなら、俺も謝罪しよう。リゼットとの婚約破棄は、決定事項だが。
使用人の派遣について、デュノア家と交渉しようとした。しかし。
「なんてことだ……!」
デュノア家からの返事は、拒否。彼らは交渉の場にすら出てこなかった。元婚約者の実家を頼るのは無理そうだ。まだ、許すつもりはないらしい。
婚約破棄の件で、そんなに激しく怒っているだなんて。失敗したな。もう少し気を遣って婚約破棄を告げるべきだったかな。いつ、怒りがおさまるのかもわからない。これじゃあ、やはり他を探さないといけない。面倒なことだ。
アルメルの実家は、どうだろうか。残念ながら、彼女の家は歴史が浅かった。過去に使用人を派遣したなんて実績もない。王城で働けるような使用人を育てるノウハウは持っていないだろう。人は集められるだろうが、質は劣るだろう。そんな人間に、王城の仕事は任せられない。
しばらく時間をかけて、一からじっくり育成していくしかないのか。それまでに、どれだけの時間が必要になるだろう。考えるだけ嫌になる。
「はぁ……」
「トゥーサン様、次の指示を!」
「わかっている! 次は――」
仕事に終わりはない。早く、ここを担当できる人員を用意しなければ。俺の代わりになるような、能力のある人間を。
残念ながら王城の人手不足は、今すぐには解決できない厄介な問題だった。
こんなもの、俺が処理するような仕事じゃないぞ。さっさと誰かに押し付けたい。しかし、誰もやりたがらない。俺だってそうなのに。貧乏くじを引かされた。
「トゥーサン様、次の仕事は――」
「予定通り、こっちに回ってくれ。それが終われば、あっちの――」
「終わりました。次は――」
「いや、それは来週でいいだろう。先に、あれの処理を――」
「トゥーサン様、予定の件ですが――」
「今やっている。あとで確認するから、そこに置いておいてくれ」
これじゃあ、アルメルに会いに行く時間もないじゃないか。本当はもっと彼女に会いに行って、楽しく話がしたいのに。彼女と一緒に過ごす時間を楽しみたいのに。
早急に、人手を増やす必要がある。しかも、俺が集める必要がありそうだ。人任せにしていると、いつまでたっても今のまま何も変わらない可能性が高い。
このままじゃ、死ぬまで俺は面倒な仕事を押し付けられたまま。宰相の座も、他の誰かに奪われてしまう可能性がある。そうなってしまったら、いよいよ終わりだな。今すぐ対処しなければ。
以前のように、デュノア家が派遣していた使用人たちを王城に戻すことは出来ないか。それが一番、手っ取り早いだろうな。前の環境に戻す。彼女の報復も、そろそろ満足しただろう。今は、王城の管理が大事なんだから。
王国のために、今こそデュノア家は忠誠心を示すべきだ。そのためなら、俺も謝罪しよう。リゼットとの婚約破棄は、決定事項だが。
使用人の派遣について、デュノア家と交渉しようとした。しかし。
「なんてことだ……!」
デュノア家からの返事は、拒否。彼らは交渉の場にすら出てこなかった。元婚約者の実家を頼るのは無理そうだ。まだ、許すつもりはないらしい。
婚約破棄の件で、そんなに激しく怒っているだなんて。失敗したな。もう少し気を遣って婚約破棄を告げるべきだったかな。いつ、怒りがおさまるのかもわからない。これじゃあ、やはり他を探さないといけない。面倒なことだ。
アルメルの実家は、どうだろうか。残念ながら、彼女の家は歴史が浅かった。過去に使用人を派遣したなんて実績もない。王城で働けるような使用人を育てるノウハウは持っていないだろう。人は集められるだろうが、質は劣るだろう。そんな人間に、王城の仕事は任せられない。
しばらく時間をかけて、一からじっくり育成していくしかないのか。それまでに、どれだけの時間が必要になるだろう。考えるだけ嫌になる。
「はぁ……」
「トゥーサン様、次の指示を!」
「わかっている! 次は――」
仕事に終わりはない。早く、ここを担当できる人員を用意しなければ。俺の代わりになるような、能力のある人間を。
残念ながら王城の人手不足は、今すぐには解決できない厄介な問題だった。
383
お気に入りに追加
3,518
あなたにおすすめの小説
【コミカライズ決定】地味令嬢は冤罪で処刑されて逆行転生したので、華麗な悪女を目指します!~目隠れ美形の天才王子に溺愛されまして~
胡蝶乃夢
恋愛
婚約者である王太子の望む通り『理想の淑女』として尽くしてきたにも関わらず、婚約破棄された挙句に冤罪で処刑されてしまった公爵令嬢ガーネット。
時間が遡り目覚めたガーネットは、二度と自分を犠牲にして尽くしたりしないと怒り、今度は自分勝手に生きる『華麗な悪女』になると決意する。
王太子の弟であるルベリウス王子にガーネットは留学をやめて傍にいて欲しいと願う。
処刑された時、留学中でいなかった彼がガーネットの傍にいることで運命は大きく変わっていく。
これは、不憫な地味令嬢が華麗な悪女へと変貌して周囲を魅了し、幼馴染の天才王子にも溺愛され、ざまぁして幸せになる物語です。
悪役令嬢に転生したので、推しキャラの婚約者の立場を思う存分楽しみます
下菊みこと
恋愛
タイトルまんま。
悪役令嬢に転生した女の子が推しキャラに猛烈にアタックするけど聖女候補であるヒロインが出てきて余計なことをしてくれるお話。
悪役令嬢は諦めも早かった。
ちらっとヒロインへのざまぁがありますが、そんなにそこに触れない。
ご都合主義のハッピーエンド。
小説家になろう様でも投稿しています。
変態婚約者を無事妹に奪わせて婚約破棄されたので気ままな城下町ライフを送っていたらなぜだか王太子に溺愛されることになってしまいました?!
utsugi
恋愛
私、こんなにも婚約者として貴方に尽くしてまいりましたのにひどすぎますわ!(笑)
妹に婚約者を奪われ婚約破棄された令嬢マリアベルは悲しみのあまり(?)生家を抜け出し城下町で庶民として気ままな生活を送ることになった。身分を隠して自由に生きようと思っていたのにひょんなことから光魔法の能力が開花し半強制的に魔法学校に入学させられることに。そのうちなぜか王太子から溺愛されるようになったけれど王太子にはなにやら秘密がありそうで……?!
※適宜内容を修正する場合があります
この悪役令嬢には悪さは無理です!みんなで保護しましょう!
naturalsoft
恋愛
フレイムハート公爵家令嬢、シオン・クロス・フレイムハートは父に似て目付きが鋭くつり目で、金髪のサラサラヘアーのその見た目は、いかにもプライドの高そうな高飛車な令嬢だが、本当は気が弱く、すぐ涙目でアワアワする令嬢。
そのギャップ萌えでみんなを悶えさせるお話。
シオンの受難は続く。
ちょっと暇潰しに書いたのでサラッと読んで頂ければと思います。
あんまり悪役令嬢は関係ないです。見た目のみ想像して頂けたらと思います。
聖女である御姉様は男性に抱かれたら普通の女になりますよね? だから、その婚約者をわたしに下さいな。
星ふくろう
恋愛
公爵家令嬢クローディアは聖女である。
神様が誰かはどうだっていい。
聖女は処女が原則だ。
なら、婚約者要りませんよね?
正妻の娘である妹がそう言いだした時、婚約者であるこの国の王子マクシミリアンもそれに賛同する。
狂った家族に婚約者なんか要らないわ‥‥‥
クローディアは、自分の神である氷の精霊王にある願いをするのだった。
他の投稿サイトにも掲載しています。
俺の不運はお前が原因、と言われ続けて~婚約破棄された私には、幸運の女神の加護がありました~
キョウキョウ
恋愛
いつも悪い結果になるのは、お前が居るせいだ!
婚約相手のレナルド王子から、そう言われ続けたカトリーヌ・ラフォン。
そして、それを理由に婚約破棄を認める書類にサインを迫られる。
圧倒的な権力者に抗議することも出来ず、カトリーヌは婚約破棄を受け入れるしかなかった。
レナルド王子との婚約が破棄になって、実家からも追い出されることに。
行き先も決まらず、ただ王都から旅立つカトリーヌ。
森の中を馬車で走っていると、盗賊に襲われてしまう。
やはり、不運の原因は私だったのか。
人生を諦めかけたその時、彼女は運命的な出会いを果たす。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
悪役令嬢は断罪イベントから逃げ出してのんびり暮らしたい
花見 有
恋愛
乙女ゲームの断罪エンドしかない悪役令嬢リスティアに転生してしまった。どうにか断罪イベントを回避すべく努力したが、それも無駄でどうやら断罪イベントは決行される模様。
仕方がないので最終手段として断罪イベントから逃げ出します!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる