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新しい婚約者
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「それでは、今後ともよろしくおねがいしますアーデルベルト様」
「本当に、俺で良いのかい? 君のような美しい女性が、妻になってくれるなんて」
彼は、新しく決まった私の婚約相手である。ベルンハルト王子に婚約を破棄されてから、案外すぐに相手が見つかって良かったと思っている。
「両親が決めた婚約ですから、問題ないですよ」
「そうかい。なら君が納得するように、これからたっぷりと愛を育むとするか」
アーデルベルト様は、目の前で片膝をついてから私の手を取る。そして、手の甲にキスをした。とても慣れた様子だった。
「ちゃんと私も納得していますよ。アーデルベルト様なら、気が合うと思うので」
「ふーむ。これは、難題だな」
納得して、アーデルベルト様と結婚する。お互いの家を発展させるための、どちらの家にも得がある政略結婚。だから私に不満はなかった。むしろ、彼のほうが納得していないようだけど。
「まぁ、よろしくお願いするね。これから仲良くやっていこう」
「はい。仲良くやっていきたいです」
握手を交わして、婚約が成立した。
「まずは、アーデルベルト様の女性関係について話しておきたいことがあります」
「む。別れてくれというのなら、それは無理な話だよ」
「いいえ、その逆です。今まで通り、自由に付き合ってくれて結構ですよ。子どもを作るときだけ、私と一緒に居てくれれば」
ヘルミーネに調べてもらった、アーデルベルト様の女性関係について把握していることを、事前に話し合っておく。
ベルンハルト王子の時は、コチラが用意していた女性だったから知らせなかった。彼のプライドなどを考慮して、本気で恋愛ごっこを楽しんでもらうため、隠したままにしておいた。
だけど、アーデルベルト様は自分から誘って恋人関係を築いていた。一応、何人も恋人が居ることを把握しているのは、伝えておいたほうが良いだろうと考えた結果、事前の話し合いをすることにした。
「クレメンティア様やハイディ様、他にも何人かの女性については把握しています」
「俺の恋人たちを知っているのか。それは、困ったなぁ」
全然、困っていないような表情で頭をかくアーデルベルト様。
「念の為に、相手の女性については調査しました。何も問題は無いようなので、恋人関係は続けてもらって結構です」
「君は、嫉妬してくれないのかい?」
「特に、そういう感情は湧きませんね」
「ふむ、そうなのか」
普通の女性は、自分の夫が他の女性に気持ちを向けているのが嫌だそう。そういう気持ちがあることは知っている。だけど私は、あまりその感覚が分からなかった。
むしろ、楽でいいのに。子どもを作る時に困るかも知れないが、他には特に問題は無さそう。そう思ってしまう。それで良いだろう、と私は思っていた。
「本当に、俺で良いのかい? 君のような美しい女性が、妻になってくれるなんて」
彼は、新しく決まった私の婚約相手である。ベルンハルト王子に婚約を破棄されてから、案外すぐに相手が見つかって良かったと思っている。
「両親が決めた婚約ですから、問題ないですよ」
「そうかい。なら君が納得するように、これからたっぷりと愛を育むとするか」
アーデルベルト様は、目の前で片膝をついてから私の手を取る。そして、手の甲にキスをした。とても慣れた様子だった。
「ちゃんと私も納得していますよ。アーデルベルト様なら、気が合うと思うので」
「ふーむ。これは、難題だな」
納得して、アーデルベルト様と結婚する。お互いの家を発展させるための、どちらの家にも得がある政略結婚。だから私に不満はなかった。むしろ、彼のほうが納得していないようだけど。
「まぁ、よろしくお願いするね。これから仲良くやっていこう」
「はい。仲良くやっていきたいです」
握手を交わして、婚約が成立した。
「まずは、アーデルベルト様の女性関係について話しておきたいことがあります」
「む。別れてくれというのなら、それは無理な話だよ」
「いいえ、その逆です。今まで通り、自由に付き合ってくれて結構ですよ。子どもを作るときだけ、私と一緒に居てくれれば」
ヘルミーネに調べてもらった、アーデルベルト様の女性関係について把握していることを、事前に話し合っておく。
ベルンハルト王子の時は、コチラが用意していた女性だったから知らせなかった。彼のプライドなどを考慮して、本気で恋愛ごっこを楽しんでもらうため、隠したままにしておいた。
だけど、アーデルベルト様は自分から誘って恋人関係を築いていた。一応、何人も恋人が居ることを把握しているのは、伝えておいたほうが良いだろうと考えた結果、事前の話し合いをすることにした。
「クレメンティア様やハイディ様、他にも何人かの女性については把握しています」
「俺の恋人たちを知っているのか。それは、困ったなぁ」
全然、困っていないような表情で頭をかくアーデルベルト様。
「念の為に、相手の女性については調査しました。何も問題は無いようなので、恋人関係は続けてもらって結構です」
「君は、嫉妬してくれないのかい?」
「特に、そういう感情は湧きませんね」
「ふむ、そうなのか」
普通の女性は、自分の夫が他の女性に気持ちを向けているのが嫌だそう。そういう気持ちがあることは知っている。だけど私は、あまりその感覚が分からなかった。
むしろ、楽でいいのに。子どもを作る時に困るかも知れないが、他には特に問題は無さそう。そう思ってしまう。それで良いだろう、と私は思っていた。
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