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第34話 どうしようもない結末 ※マルク王視点

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 オリヴィアの結婚式のパーティーで、俺が彼女と話している間にアイリーンも何かやっていたらしい。

 その件ついて、エルヴェシウス公爵家から抗議があった。遠回しに、誘惑してくるのを止めるようにという注意。アイリーンがエルヴェシウス公爵家の当主に絡んで、接近しようとしたらしい。

 恥ずかしい。そんな事を言われるなんて。アイリーンを呼び出して、俺からも注意する。パーティーの途中で何も言わず勝手に居なくなったことも、ついでに叱ろうと思ったのだが。

「お前は、なんてことをしてくれたんだ」
「貴方だって、他人の妻を奪い取ろうと乱暴したんでしょ。何が『やり直せないか』よ。笑わせないで」
「違う。あれは、まだ話が終わっていなかったから。彼女の腕を握っただけで」
「同じでしょ? 私のしたことより、もっとみっともない行為でしょ。そんな人に、説教される筋合いなんてないわよ」
「くっ!」

 反抗するアイリーン。反省する素振りがない。俺は、思わず拳を握ってしまった。ここで暴力はダメだ。それは分かっているのだが、怒りが込み上げてくる。

 なんて生意気な女なんだろう。言い返してきて、正論ばかりぶつけてきて。自分のほうが間違いなく正しいと思っている。俺のほうが悪いと責めてくる。

 話し合っても無駄だ。話を聞こうとしない。だから、実力行使しかない。

「しばらくの間、お前は宮殿から外に出るな。そこで大人しく謹慎していろ」
「なんでよ!? なんで私が! 意味が分からないわ!!」

 激怒するアイリーン。キンキンと高い声で喚き散らすので、うるさくて耳障りだった。自分の妻が、こんな女だったなんて。

 結婚して変わってしまったのか。その前から、こうだったのか。結婚する前からこうだったのなら、彼女の本性を見抜けなかった俺は相当な間抜けだろう。もう手遅れ。

 なんで彼女のような女を選んでしまったのか。後悔の念に駆られる。

「連れて行け」
「嫌よ! 離してっ! 離しなさい!」

 部下に命じて、部屋から追い出す。抵抗する彼女を引きずっていく。その様子を、ぼんやりと眺めている。

「はぁ」

 ようやく部屋が静かになったが、ため息が漏れた。



 それからしばらく時間が経った。謹慎を命じたアイリーンは、変わらず好き勝手に振る舞っている。宮殿から抜け出そうとしたり、妃教育をサボり続けているようだ。そんな報告を受けて、頭が痛くなる日々。

 最近では、太り続けて別人のように醜くなった彼女にうんざりしていた。昔は美人だったのに、今は見る影もない。鏡を見ていないのか、似合わないのに化粧や服装を派手にしている。醜い上に、下品な格好。注意しても聞かない。

 その姿を見て、俺は後悔し続ける。どうして俺は、あんな女と結婚してしまったのだろう。この先も、ずっと一緒なのか?

 いっそのこと、アイリーンを処分してしまうか。そんな事しても、オリヴィアとは一緒になれない。それじゃあ意味がない。

 やっぱり、どうでもいい。考えても無駄だ。もう、どうにもならないのだから。
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