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第26話 私の結婚式なのに ※アイリーン視点

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 ムカつく。イライラする。せっかく私の大事な結婚式の日に、こんな最悪な気分になるなんて。私は不幸だわ。

 まず式が始まる前、私が新品のドレスを着た姿を披露した時のことよ。マルク様の反応が微妙だったのが気になった。もっと、感動してほしかったのに。ギリギリまで吟味して、ようやく完成した自信作のドレスなのよ。それを見て、彼は平凡な感想しか言えないの。もっと言うべきことがあるんじゃない。そう思ってしまう。そして、結婚式が始まる前からテンションが下がった。

 まあでも、マルク様は私を守ってくれて、お金も出してくれる。それで十分ということよね。期待するべきじゃない。せめて、もう少し褒めてほしいと願うのは贅沢なことかしら。とはいえ、もうちょっと誉め言葉とかあってもいいと思うのよね。

 とにかく、この時から少しだけイライラしていた。

 結婚式が始まり、粛々と進行していく。この時、少しだけ機嫌が直った。これだけ盛大に祝ってもらえるのは、やっぱり気持ちがいいわね。



 挨拶回りのために、披露宴会場にたくさんの貴族が集まっている。

 マルク様と結婚したら、私も王妃となって王族の一員ということ。ここに集まっている貴族たちよりも、立場は上になる。それも気分がいい。

 このまま、気分良く終われたらよかったのにね。

 マルク様がオリヴィアを見つけて、近寄っていく。元婚約相手に対して、お優しいことね。婚約を破棄したんだから、無視しとけばいいのに。

 さっさと話しを終えて、もっと別の重要な貴族と挨拶した方が有意義だ思うけど。彼女なんかに構うのは、時間の無駄じゃない?

 2人が話し合っている。私は、それを横で黙って見ていた。さっさと終われと思いながら。

「ご結婚おめでとうございます、マルク様にアイリーン様」
「ありがとう、オリヴィア」
「……」

 マルク様の気持ちが、元婚約相手に向いているのを感じた。それを当然というように、女が受け止めている。なんなのよ、これは。私は疎外感を味わっていた。

 別に、マルク様の気持ちが別の女に向いていようが、私は気にしないわ。私はもう目的を達成しているから。マルク様と結婚して、王妃となる。権力と富を手に入れるという目的を。

 だけど、ムカつくのはムカつく。この私の大事な結婚式で、他の女に興味を向けているなんて許せない。しかも、昔の女に。

 わざわざ結婚式の日に、興味を奪われたのも屈辱的だわ。まるで、私の素晴らしいドレスよりも、彼女の着ている質素なドレスの方が価値があると言われている気分。もう、最悪。

 この屈辱、きっといつか返してやる。婚約を破棄させられた時のように、もう一度仕組んであげましょう。そして後悔しなさい。私の大事な結婚式を邪魔したことを。
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