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第23話 結婚式に向けて ※マルク王子視点

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 王位継承の準備が着々と進んでおり、もうすぐ俺は王になる予定。アイリーンとの結婚式も同じタイミングで行う予定で、準備を進めている。

 アイリーンの妃教育は、あまり順調とは言えない。予定よりも、かなり遅れているらしい。だが、結婚式の予定日を変更することも出来ないだろう。

 アイリーンには王妃になった後も引き続き、教育を受けてもらうしかないだろう。大変だと思うが、やってもらわないと仕方ない。これまでサボってきたんだから。

 彼女は、文句を言いそうだな。説得するのも面倒だろう。あー、嫌だ。

 最近、彼女に対する愛情が薄れているかもしれない。以前は、あんなにも愛おしく思っていたのだが、今はそうじゃないかも。そう思ってしまうぐらい、彼女の行動が目に余るのだ。俺も忙しい身だし、構ってられないのが悪いのかもしれないが。

 とにかくもう、後戻りはできない。アイリーンと添い遂げる覚悟を決めないといけない。そして、王妃になるアイリーンと協力して王国を良くしていかなければ。



「ねぇ、マルク様」
「どうした?」
「私、結婚式用に新しいドレスを新調したいと考えているんですけど」
「待て、アイリーン。結婚式には、私の母が君に譲ったドレスを着る予定だろう?」

 前王妃から受け継いだドレスを着て、結婚式で披露する。それが、これまで行ってきた王国の伝統。伝統を破るわけにはいかない。

「だって、サイズが合わないんですもの。私が着るのにサイズを調整するためには、かなり手を加えないといけないらしいですよ。ドレスを切ってから、新しい布で縫い直さないといけないくらい」
「そんなに?」
「はい。でも、あれを切り刻んでしまうなんて勿体ない! せっかく譲ってもらったドレスだから、大事に保管しておかないと。お義母様に申し訳なくて……」
「それは確かに、私も心が痛いな」

 一応、考えてくれているのか。着られないのなら、仕方ない。母のドレスを大事にしてくれているのなら、許すべきか。

「それに、あれってデザインが古くて時代遅れじゃありません? せっかくですし、もっと今風の新しくて素敵な結婚式用ドレスを仕立てたいです。式までに間に合えば良いんですけれど……」

 彼女の言葉には、ちょっと毒気が混じっているな。不快だったが、我慢する。俺がここで怒れば、彼女はまた機嫌を損ねることだろう。そして、面倒な事になることは目に見えているから。

 そんな事よりも今は、結婚式の話。

「……分かったよ。ただし、予算内でだぞ。予算を超えるようなら却下するからな」
「ありがとうございます!」

 彼女にとって、人生で一度だけの大事なイベント。慎重になっているのは理解するが、あまり好き勝手されるのも困る。なんとか抑えなければ。
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