23 / 38
第23話 結婚式に向けて ※マルク王子視点
しおりを挟む
王位継承の準備が着々と進んでおり、もうすぐ俺は王になる予定。アイリーンとの結婚式も同じタイミングで行う予定で、準備を進めている。
アイリーンの妃教育は、あまり順調とは言えない。予定よりも、かなり遅れているらしい。だが、結婚式の予定日を変更することも出来ないだろう。
アイリーンには王妃になった後も引き続き、教育を受けてもらうしかないだろう。大変だと思うが、やってもらわないと仕方ない。これまでサボってきたんだから。
彼女は、文句を言いそうだな。説得するのも面倒だろう。あー、嫌だ。
最近、彼女に対する愛情が薄れているかもしれない。以前は、あんなにも愛おしく思っていたのだが、今はそうじゃないかも。そう思ってしまうぐらい、彼女の行動が目に余るのだ。俺も忙しい身だし、構ってられないのが悪いのかもしれないが。
とにかくもう、後戻りはできない。アイリーンと添い遂げる覚悟を決めないといけない。そして、王妃になるアイリーンと協力して王国を良くしていかなければ。
「ねぇ、マルク様」
「どうした?」
「私、結婚式用に新しいドレスを新調したいと考えているんですけど」
「待て、アイリーン。結婚式には、私の母が君に譲ったドレスを着る予定だろう?」
前王妃から受け継いだドレスを着て、結婚式で披露する。それが、これまで行ってきた王国の伝統。伝統を破るわけにはいかない。
「だって、サイズが合わないんですもの。私が着るのにサイズを調整するためには、かなり手を加えないといけないらしいですよ。ドレスを切ってから、新しい布で縫い直さないといけないくらい」
「そんなに?」
「はい。でも、あれを切り刻んでしまうなんて勿体ない! せっかく譲ってもらったドレスだから、大事に保管しておかないと。お義母様に申し訳なくて……」
「それは確かに、私も心が痛いな」
一応、考えてくれているのか。着られないのなら、仕方ない。母のドレスを大事にしてくれているのなら、許すべきか。
「それに、あれってデザインが古くて時代遅れじゃありません? せっかくですし、もっと今風の新しくて素敵な結婚式用ドレスを仕立てたいです。式までに間に合えば良いんですけれど……」
彼女の言葉には、ちょっと毒気が混じっているな。不快だったが、我慢する。俺がここで怒れば、彼女はまた機嫌を損ねることだろう。そして、面倒な事になることは目に見えているから。
そんな事よりも今は、結婚式の話。
「……分かったよ。ただし、予算内でだぞ。予算を超えるようなら却下するからな」
「ありがとうございます!」
彼女にとって、人生で一度だけの大事なイベント。慎重になっているのは理解するが、あまり好き勝手されるのも困る。なんとか抑えなければ。
アイリーンの妃教育は、あまり順調とは言えない。予定よりも、かなり遅れているらしい。だが、結婚式の予定日を変更することも出来ないだろう。
アイリーンには王妃になった後も引き続き、教育を受けてもらうしかないだろう。大変だと思うが、やってもらわないと仕方ない。これまでサボってきたんだから。
彼女は、文句を言いそうだな。説得するのも面倒だろう。あー、嫌だ。
最近、彼女に対する愛情が薄れているかもしれない。以前は、あんなにも愛おしく思っていたのだが、今はそうじゃないかも。そう思ってしまうぐらい、彼女の行動が目に余るのだ。俺も忙しい身だし、構ってられないのが悪いのかもしれないが。
とにかくもう、後戻りはできない。アイリーンと添い遂げる覚悟を決めないといけない。そして、王妃になるアイリーンと協力して王国を良くしていかなければ。
「ねぇ、マルク様」
「どうした?」
「私、結婚式用に新しいドレスを新調したいと考えているんですけど」
「待て、アイリーン。結婚式には、私の母が君に譲ったドレスを着る予定だろう?」
前王妃から受け継いだドレスを着て、結婚式で披露する。それが、これまで行ってきた王国の伝統。伝統を破るわけにはいかない。
「だって、サイズが合わないんですもの。私が着るのにサイズを調整するためには、かなり手を加えないといけないらしいですよ。ドレスを切ってから、新しい布で縫い直さないといけないくらい」
「そんなに?」
「はい。でも、あれを切り刻んでしまうなんて勿体ない! せっかく譲ってもらったドレスだから、大事に保管しておかないと。お義母様に申し訳なくて……」
「それは確かに、私も心が痛いな」
一応、考えてくれているのか。着られないのなら、仕方ない。母のドレスを大事にしてくれているのなら、許すべきか。
「それに、あれってデザインが古くて時代遅れじゃありません? せっかくですし、もっと今風の新しくて素敵な結婚式用ドレスを仕立てたいです。式までに間に合えば良いんですけれど……」
彼女の言葉には、ちょっと毒気が混じっているな。不快だったが、我慢する。俺がここで怒れば、彼女はまた機嫌を損ねることだろう。そして、面倒な事になることは目に見えているから。
そんな事よりも今は、結婚式の話。
「……分かったよ。ただし、予算内でだぞ。予算を超えるようなら却下するからな」
「ありがとうございます!」
彼女にとって、人生で一度だけの大事なイベント。慎重になっているのは理解するが、あまり好き勝手されるのも困る。なんとか抑えなければ。
1,911
お気に入りに追加
2,799
あなたにおすすめの小説
【完結】お父様の再婚相手は美人様
すみ 小桜(sumitan)
恋愛
シャルルの父親が子連れと再婚した!
二人は美人親子で、当主であるシャルルをあざ笑う。
でもこの国では、美人だけではどうにもなりませんよ。
【完結】堅物な婚約者には子どもがいました……人は見かけによらないらしいです。
大森 樹
恋愛
【短編】
公爵家の一人娘、アメリアはある日誘拐された。
「アメリア様、ご無事ですか!」
真面目で堅物な騎士フィンに助けられ、アメリアは彼に恋をした。
助けたお礼として『結婚』することになった二人。フィンにとっては公爵家の爵位目当ての愛のない結婚だったはずだが……真面目で誠実な彼は、アメリアと不器用ながらも徐々に距離を縮めていく。
穏やかで幸せな結婚ができると思っていたのに、フィンの前の彼女が現れて『あの人の子どもがいます』と言ってきた。嘘だと思いきや、その子は本当に彼そっくりで……
あの堅物婚約者に、まさか子どもがいるなんて。人は見かけによらないらしい。
★アメリアとフィンは結婚するのか、しないのか……二人の恋の行方をお楽しみください。
みんなで追放令嬢を監視しよう!
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
王太子ジョージは、太陽神殿が聖別した魔封の聖女メグを虐めた罪で、婚約者の公爵令嬢オリビアを処刑しようとした。だが父王と重臣達の反対で追放刑に止めることになった。聖女メグに恋する王太子ジョージと若者世代は、オリビアを恐れる聖女メグを安心させるため、重臣達と遠見の鏡でオリビアを監視し、その罪を明らかにして処刑しようとする
妹に全てを奪われた私、実は周りから溺愛されていました
日々埋没。
恋愛
「すまないが僕は真実の愛に目覚めたんだ。ああげに愛しきは君の妹ただ一人だけなのさ」
公爵令嬢の主人公とその婚約者であるこの国の第一王子は、なんでも欲しがる妹によって関係を引き裂かれてしまう。
それだけでは飽き足らず、妹は王家主催の晩餐会で婚約破棄された姉を大勢の前で笑いものにさせようと計画するが、彼女は自分がそれまで周囲の人間から甘やかされていた本当の意味を知らなかった。
そして実はそれまで虐げられていた主人公こそがみんなから溺愛されており、晩餐会の現場で真実を知らされて立場が逆転した主人公は性格も見た目も醜い妹に決別を告げる――。
※本作は過去に公開したことのある短編に修正を加えたものです。
可愛い姉より、地味なわたしを選んでくれた王子様。と思っていたら、単に姉と間違えただけのようです。
ふまさ
恋愛
小さくて、可愛くて、庇護欲をそそられる姉。対し、身長も高くて、地味顔の妹のリネット。
ある日。愛らしい顔立ちで有名な第二王子に婚約を申し込まれ、舞い上がるリネットだったが──。
「あれ? きみ、誰?」
第二王子であるヒューゴーは、リネットを見ながら不思議そうに首を傾げるのだった。
婚約を破棄したいと言うのなら、私は愛することをやめます
天宮有
恋愛
婚約者のザオードは「婚約を破棄したい」と言うと、私マリーがどんなことでもすると考えている。
家族も命令に従えとしか言わないから、私は愛することをやめて自由に生きることにした。
悲劇の令嬢を救いたい、ですか。忠告はしましたので、あとはお好きにどうぞ。
ふまさ
恋愛
「──馬鹿馬鹿しい。何だ、この調査報告書は」
ぱさっ。
伯爵令息であるパーシーは、テーブルに三枚に束ねられた紙をほうった。向かい側に座る伯爵令嬢のカーラは、静かに口を開いた。
「きちんと目は通してもらえましたか?」
「むろんだ。そのうえで、もう一度言わせてもらうよ。馬鹿馬鹿しい、とね。そもそもどうして、きみは探偵なんか雇ってまで、こんなことをしたんだ?」
ざわざわ。ざわざわ。
王都内でも評判のカフェ。昼時のいまは、客で溢れかえっている。
「──女のカン、というやつでしょうか」
「何だ、それは。素直に言ったら少しは可愛げがあるのに」
「素直、とは」
「婚約者のぼくに、きみだけを見てほしいから、こんなことをしました、とかね」
カーラは一つため息をつき、確認するようにもう一度訊ねた。
「きちんとその調査報告書に目を通されたうえで、あなたはわたしの言っていることを馬鹿馬鹿しいと、信じないというのですね?」
「き、きみを馬鹿馬鹿しいとは言ってないし、きみを信じていないわけじゃない。でも、これは……」
カーラは「わかりました」と、調査報告書を手に取り、カバンにしまった。
「それではどうぞ、お好きになさいませ」
別に構いませんよ、離縁するので。
杉本凪咲
恋愛
父親から告げられたのは「出ていけ」という冷たい言葉。
他の家族もそれに賛同しているようで、どうやら私は捨てられてしまうらしい。
まあいいですけどね。私はこっそりと笑顔を浮かべた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる