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第10話 大歓迎
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「ようこそ。君が来るのを待っていたよ、オリヴィア嬢」
「お出迎え、ありがとうございますアンドリック様。そして、本日からよろしくお願いします」
エルヴェシウス公爵家の屋敷を訪れた。玄関ホールで待っていた、体の大きな男性に挨拶をする。
彼が、新しい婚約相手となるエルヴェシウス公爵家当主のアンドリック様である。笑顔を浮かべたアンドリック様が、私を出迎えてくれた。
話を受けてからすぐ婚約が決まって、私は今日からエルヴェシウス公爵家の屋敷で暮らすことになった。私が暮らしていた部屋から荷物を運んでもらい、何人かメイドを連れてきて、身の回りのお世話をしてもらう。
結婚する前から、公爵家の屋敷でお世話になる。婚約相手のアンドリック様と早く親睦を深めるために、私から提案してみた。
お互いのことをよく知るため、親交を深めるには同じ場所で暮らしてみるのが一番だと思ったから。
それに、前の婚約はダメになってしまったけれど、今回は必ず成功させるつもり。そのためには、アンドリック様と良好な関係を築かなければならない。頑張りましょう。私は気合を入れる。
「早速だけど、君のために用意した物がある。それを見せたいんだけど、一緒に来てくれるかな?」
「はい、もちろんです」
少し不安そうな表情で誘ってくる彼に、もちろんと言ってついて行く。
彼が案内してくれたのは屋敷の中の一室。大きなテーブルが真ん中にあって、その周りに椅子が並んでいる場所。美味しそうな匂いもする。おそらく、食事するための部屋みたいだけれど。
「まぁ!」
テーブルの上に置いてある物を見て、私は驚いた。そこにあったのは、とても美味しそうな料理の数々だった。それが、アンドリック様が私のために用意した物のようね。
「君は、食事するのが好きだと聞いてね」
「はい。食べることは大好きです!」
「この太った体を見てわかると思うけれど、実は僕も食べるのが好きなんだ」
そう言ってお腹をさする彼の姿に、親近感が湧いた。そして、好きなことが同じなのも嬉しい。好きを共有できるのね。
「さぁ、好きなだけ食べてくれ。お腹がすいているだろう? 遠慮せずに食べてくれ」
「はい!」
私は席に座って、彼が用意してくれた料理を食べてみる。ものすごく、美味しい!
「これ、とっても美味しいですよ。アンドリック様も一緒に頂きましょう!」
「ありがとう。それじゃあ、僕も一緒に。……うん、君の言う通り美味しいね」
「よかった! もっと、食べましょう」
アンドリック様も一緒に、次々と食べていく。どれもこれも美味しい。私の好みを熟知しているかのように、どの料理も絶品だった。一緒に食べるアンドリック様も、美味しいという表情。食の好みが同じなのね。そう思ったら、自然と笑顔になっていた。
私たちは、用意された料理を一緒に堪能した。とても楽しい時間だった。
彼と食事をしながらお話しする。私たちは食という共通の話題で盛り上がることが出来た。短い時間で、とても気が合うことが分かったし、美味しい食べ物をたくさん教えてくれた。まだこの世界には、そんなに美味しい料理があふれているなんて!
結婚した後も自由に食べて良い、という許可も頂いた。
「もちろん、自由に食べていいよ。食べるのを禁止されるなんて、辛すぎるからね。そんな辛いことはさせないから、安心して」
「ありがとうございます!」
私にとって、それは天国のような条件である。食事制限を強制されず、好きなように食べることが出来る。私の望む条件は、それぐらいだった。それを満たしてくれるのなら、他には何もいらないくらい。
こうして私は、婚約者となったアンドリック様に心を開いたのであった。
「お出迎え、ありがとうございますアンドリック様。そして、本日からよろしくお願いします」
エルヴェシウス公爵家の屋敷を訪れた。玄関ホールで待っていた、体の大きな男性に挨拶をする。
彼が、新しい婚約相手となるエルヴェシウス公爵家当主のアンドリック様である。笑顔を浮かべたアンドリック様が、私を出迎えてくれた。
話を受けてからすぐ婚約が決まって、私は今日からエルヴェシウス公爵家の屋敷で暮らすことになった。私が暮らしていた部屋から荷物を運んでもらい、何人かメイドを連れてきて、身の回りのお世話をしてもらう。
結婚する前から、公爵家の屋敷でお世話になる。婚約相手のアンドリック様と早く親睦を深めるために、私から提案してみた。
お互いのことをよく知るため、親交を深めるには同じ場所で暮らしてみるのが一番だと思ったから。
それに、前の婚約はダメになってしまったけれど、今回は必ず成功させるつもり。そのためには、アンドリック様と良好な関係を築かなければならない。頑張りましょう。私は気合を入れる。
「早速だけど、君のために用意した物がある。それを見せたいんだけど、一緒に来てくれるかな?」
「はい、もちろんです」
少し不安そうな表情で誘ってくる彼に、もちろんと言ってついて行く。
彼が案内してくれたのは屋敷の中の一室。大きなテーブルが真ん中にあって、その周りに椅子が並んでいる場所。美味しそうな匂いもする。おそらく、食事するための部屋みたいだけれど。
「まぁ!」
テーブルの上に置いてある物を見て、私は驚いた。そこにあったのは、とても美味しそうな料理の数々だった。それが、アンドリック様が私のために用意した物のようね。
「君は、食事するのが好きだと聞いてね」
「はい。食べることは大好きです!」
「この太った体を見てわかると思うけれど、実は僕も食べるのが好きなんだ」
そう言ってお腹をさする彼の姿に、親近感が湧いた。そして、好きなことが同じなのも嬉しい。好きを共有できるのね。
「さぁ、好きなだけ食べてくれ。お腹がすいているだろう? 遠慮せずに食べてくれ」
「はい!」
私は席に座って、彼が用意してくれた料理を食べてみる。ものすごく、美味しい!
「これ、とっても美味しいですよ。アンドリック様も一緒に頂きましょう!」
「ありがとう。それじゃあ、僕も一緒に。……うん、君の言う通り美味しいね」
「よかった! もっと、食べましょう」
アンドリック様も一緒に、次々と食べていく。どれもこれも美味しい。私の好みを熟知しているかのように、どの料理も絶品だった。一緒に食べるアンドリック様も、美味しいという表情。食の好みが同じなのね。そう思ったら、自然と笑顔になっていた。
私たちは、用意された料理を一緒に堪能した。とても楽しい時間だった。
彼と食事をしながらお話しする。私たちは食という共通の話題で盛り上がることが出来た。短い時間で、とても気が合うことが分かったし、美味しい食べ物をたくさん教えてくれた。まだこの世界には、そんなに美味しい料理があふれているなんて!
結婚した後も自由に食べて良い、という許可も頂いた。
「もちろん、自由に食べていいよ。食べるのを禁止されるなんて、辛すぎるからね。そんな辛いことはさせないから、安心して」
「ありがとうございます!」
私にとって、それは天国のような条件である。食事制限を強制されず、好きなように食べることが出来る。私の望む条件は、それぐらいだった。それを満たしてくれるのなら、他には何もいらないくらい。
こうして私は、婚約者となったアンドリック様に心を開いたのであった。
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