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第7話 期待通り ※アイリーン視点

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 上手くいったわ!

 マルク王子の話を聞いた私は、笑ってしまいそうになるのを必死に我慢していた。今はまだ普通の表情で、怪しまれないように。

 心配してくれるマルク王子に大丈夫だと伝える。こんなに思った通り進むなんて、私は幸運の女神に愛されているようね。

 このままいけば王妃の座も楽々と奪えそうで、嬉しいわ。



 マルク王子と婚約相手だったオリヴィアの関係に亀裂が生じているのは、確認済みだった。付け入るスキがある。どうにかして、そこに割り込めないか。私はチャンスを狙いながら、マルク王子に接近した。

 オリヴィアにイジメられた証拠をでっち上げて、彼女の印象を悪くする作戦。

 目撃者も用意して、完璧な計画に仕上げた。その結果、マルク王子はオリヴィアに婚約破棄を告げた。想像していた以上の成果だった。

 第一段階の目標だった、婚約相手の排除に成功した。

 なぜかオリヴィアは、イジメについて反論したりせず、奇行に走った。パーティー会場で泣きながらケーキを食べるという、理解不能な行動をしたらしい。

 事前に用意していた、オリヴィアにイジメられた証拠や目撃者など使うことなく、予定通りに進んでくれた。状況は、私にとても有利。



 だけど、彼女も馬鹿よね。誰が見ても無理のある妃教育を真面目に挑んで、精神的に追い詰められていたのでしょう。だからこそ、理解に苦しむ行動をしてしまった。

 妃教育なんて、真面目に受ける必要はないのよ。適当にやっておけばいい。私は、適当にするつもり。

 古くから言い伝えられている、王家の定めた王妃に相応しい体型の基準には無理がある。それに従い続けるなんて、無理で無茶な話なのよ。



 これから私は、マルク王子と仲を深めていく。結婚する相手に選んでもらうのが、第二段階の目標。

 王妃になれば、バラ色の人生が待っている。絶大な権力を得て、贅沢三昧の生活を楽しむことができる。私の幸せのためにも、邪魔者は消えてもらって構わない。



 ひとりになったオリヴィアには、新しい婚約相手が必要ね。マルク王子から婚約を破棄されてしまった彼女は、きっと貰い手が居ないはず。

 このまま、ひとりのままだと都合が悪い。王子との関係が元通りにならないよう、オリヴィアには適当な男を用意させましょう。

 ちょうど良い男が居た。今も結婚相手が決まっていない、エルヴェシウス公爵家の当主。彼なら、どんな相手でも結婚の話に飛びつくでしょう。早く相手を見つけないといけない、という焦りもあると思う。

 裏から手を回して、オリヴィアとエルヴェシウス公爵家の当主をくっつける。そうすれば、私の計画はより完璧になる。

 王子から婚約を破棄されたオリヴィアと、公爵家の当主になっても結婚する相手が見つからないエルヴェシウス公爵家の当主。どうなるのか、とても楽しみね。
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