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第5話
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フィヨン侯爵家のバティステト様に面会を申し込まれて、会いに行って話をしたら彼と婚約することが決まった。
私の社交界やパーティー主催に関する知識や経験、アイデアなどを求めて婚約することに。いわゆる政略結婚というものである。
とはいえ、バティステト様との関係は初対面から良好。知り合ったばかりだけど、これからお互いの事を知っていけば良い。相性や雰囲気も良い感じで、彼との婚約は苦じゃなかった。
婚約を申し込まれてから、定期的に会ってお茶を一緒に飲みながら話をする時間を設けてくれたバティステト様。そこで、私達は仲を深めていった。
お互いの近況について報告したり、婚約の発表をいつ行うか話し合ったり。今後の夫婦生活について、2人の希望を語り合ったりした。
5回目のお茶会の時。私は、バティステト様から任されることがあった。
「実は、君に頼みたいことがある」
「なんでしょうか?」
「フィヨン家が主催を予定しているパーティーについて、だ」
近々フィヨン家が主催をするというパーティーの全体指揮を、私に任せたいということらしい。そこで、私とバティステト様の婚約についても発表する予定だそうだ。とても大事な、お披露目の場だ。
社交嫌いとして有名だったフィヨン家が実は、社交界に関する知識が無かったから恥をかかないようにとパーティーの主催を避けていた、という事情があった。
それでいつの間にか社交嫌いとして貴族社会では有名になっていた。そのせいで、さらに社交パーティーを開いたり参加しづらくなった、という経緯がある。
そこで私が、社交界に関する知識をフィヨン家の人たちに指南する。
私指導のもと、パーティーを主催して無事に成功させる。そして、貴族社会で噂になっているフィヨン家の社交嫌いというイメージを払拭するというのが、今回の私に求められた任務だった。
「任せて下さい、バティステト様。私、精一杯頑張ります!」
「うん、任せた。必要なものがあれば、遠慮なく言ってくれ。執事に用意させる」
「ありがとうございます!」
バティステト様はとても協力的で、色々と助けてくれるそうだ。今回のパーティーの結果によって、フィヨン家の評判が大きく変わるだろうから。彼も慎重なんだろうと思う。
これは、絶対に失敗できないぞと気合を入れる。そんな私に、さり気なく忠告してくれるバティステト様。
「ただ、あまり無理をし過ぎないように。万が一、君が失敗したとしても責任は俺が全て取るから。だから君は気楽に、な」
「わかりました! でも、なるべく失敗しないように頑張ってみます」
今回のフィヨン家が主催するパーティーが失敗したとしても、指揮した私に責任は負わせないと約束してくれた。とはいえ、失敗した場合の責任を負わずに終わることなんて出来ないだろう。私のことを評価してくれて、指揮を任せてくれたんだから。
だからこそ、ますます失敗したくないと思ったし、頑張らないと。バティステト様にも喜んでもらいたいから。
フィヨン家の使用人やメイドたちは、パーティーを執り行うことに慣れていない。今までパーティーを開いてこなかったから、経験値が足りない。まず、彼ら彼女たちの指導から始めないといけないか。
フィヨン侯爵家が主催するパーティーの予定日まで、まだ十分な日程が確保されていた。だから焦らずゆっくりと、準備を進めていくことが可能だった。
会場のセッティング、提供する料理の選定、楽団を呼んで生演奏してもらう準備、スタートから終わりまでのプログラムを組み、参加者に招待状を送ったり。他にも色々と、パーティーを開催するまでにしなければならない準備は沢山ある。
「それでは、始めましょうか」
私はフィヨン家の人たちに指示して、パーティーを開くための準備を進めた。
私の社交界やパーティー主催に関する知識や経験、アイデアなどを求めて婚約することに。いわゆる政略結婚というものである。
とはいえ、バティステト様との関係は初対面から良好。知り合ったばかりだけど、これからお互いの事を知っていけば良い。相性や雰囲気も良い感じで、彼との婚約は苦じゃなかった。
婚約を申し込まれてから、定期的に会ってお茶を一緒に飲みながら話をする時間を設けてくれたバティステト様。そこで、私達は仲を深めていった。
お互いの近況について報告したり、婚約の発表をいつ行うか話し合ったり。今後の夫婦生活について、2人の希望を語り合ったりした。
5回目のお茶会の時。私は、バティステト様から任されることがあった。
「実は、君に頼みたいことがある」
「なんでしょうか?」
「フィヨン家が主催を予定しているパーティーについて、だ」
近々フィヨン家が主催をするというパーティーの全体指揮を、私に任せたいということらしい。そこで、私とバティステト様の婚約についても発表する予定だそうだ。とても大事な、お披露目の場だ。
社交嫌いとして有名だったフィヨン家が実は、社交界に関する知識が無かったから恥をかかないようにとパーティーの主催を避けていた、という事情があった。
それでいつの間にか社交嫌いとして貴族社会では有名になっていた。そのせいで、さらに社交パーティーを開いたり参加しづらくなった、という経緯がある。
そこで私が、社交界に関する知識をフィヨン家の人たちに指南する。
私指導のもと、パーティーを主催して無事に成功させる。そして、貴族社会で噂になっているフィヨン家の社交嫌いというイメージを払拭するというのが、今回の私に求められた任務だった。
「任せて下さい、バティステト様。私、精一杯頑張ります!」
「うん、任せた。必要なものがあれば、遠慮なく言ってくれ。執事に用意させる」
「ありがとうございます!」
バティステト様はとても協力的で、色々と助けてくれるそうだ。今回のパーティーの結果によって、フィヨン家の評判が大きく変わるだろうから。彼も慎重なんだろうと思う。
これは、絶対に失敗できないぞと気合を入れる。そんな私に、さり気なく忠告してくれるバティステト様。
「ただ、あまり無理をし過ぎないように。万が一、君が失敗したとしても責任は俺が全て取るから。だから君は気楽に、な」
「わかりました! でも、なるべく失敗しないように頑張ってみます」
今回のフィヨン家が主催するパーティーが失敗したとしても、指揮した私に責任は負わせないと約束してくれた。とはいえ、失敗した場合の責任を負わずに終わることなんて出来ないだろう。私のことを評価してくれて、指揮を任せてくれたんだから。
だからこそ、ますます失敗したくないと思ったし、頑張らないと。バティステト様にも喜んでもらいたいから。
フィヨン家の使用人やメイドたちは、パーティーを執り行うことに慣れていない。今までパーティーを開いてこなかったから、経験値が足りない。まず、彼ら彼女たちの指導から始めないといけないか。
フィヨン侯爵家が主催するパーティーの予定日まで、まだ十分な日程が確保されていた。だから焦らずゆっくりと、準備を進めていくことが可能だった。
会場のセッティング、提供する料理の選定、楽団を呼んで生演奏してもらう準備、スタートから終わりまでのプログラムを組み、参加者に招待状を送ったり。他にも色々と、パーティーを開催するまでにしなければならない準備は沢山ある。
「それでは、始めましょうか」
私はフィヨン家の人たちに指示して、パーティーを開くための準備を進めた。
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