上 下
17 / 31

自分にできること ※第二王子視点

しおりを挟む
 お姉さんが楽しんでいたダンジョンの探索を、兄が禁止すると命じた。

 許せない。お姉さんの喜びを奪い取るなんて。僕だったら、そんなこと絶対しないのに。

 どうにかして、禁止の命令を解いてあげたい。だけど、僕が兄に言っても無視されてしまうだろう。弟のくせに余計なことを言うなと、文句を言われるかもしれない。

 それだけだったら、まだいい。僕ではなく、お姉さんが責められるかもしれない。そうなってしまうのは絶対に嫌だった。

 どうにかして、お姉さんのダンジョン禁止の命令を解かせて、自由にさせてあげたい。でも今の僕には、どうにも出来ない。

 僕は考えた。どうすればそれができるようになるのかって。お姉さんを守れるようにするには、どうすればいいのか。

 力が必要だと思った。兄でも、文句を言わせないだけの力が。そうすれば、彼女を守ることができる。

 力をつけるためには、どうすればいいだろう? 僕は、お姉さんの言っていたことを思い出した。ダンジョンは人を成長させる。それは事実だと思う。

 僕も、お姉さんと一緒にダンジョンに入った後、急成長した実感があった。前より体の動きが軽くなり、頭の回転も早くなったような気がする。それから、周りの人の態度まで変わっていた。それだけ、劇的な変化があった。

 ならば,もっと強くなるためにダンジョンに潜ればいいんだ。そうすれば、きっと今よりも強くなれるはずだから。成長するため、僕はダンジョンに挑もう。



 経験豊富なお姉さんは、一緒に行けない。だから、自分で準備するしかない。信用できる仲間を集めて、装備を揃える。計画を練って、それから挑む。

 お姉さんにも相談して、アドバイスを貰った。お姉さんは、ダンジョンに行くことは禁止されてしまった。けど、ダンジョンの話をすることは禁止されていない。

 もしかしたら、行きたいのに禁止されているので話もしたくないかもしれない、と思っているかも。そんな心配をしながら話してみたら、お姉さんは優しくアドバイスしてくれた。

「絶対に無理をしないで。ダンジョンの中では焦らず、慎重に行動すること。危なくなったら逃げること。必ず生きて帰ってくること。経験値を稼いでレベルを上げれば、もっともっと強くなれるから」
「わかりました!」

 レベルというのが何か、わからなかった。けれど、ダンジョン探索の経験を積めば強くなれることを確信しているお姉さん。そのお姉さんの言葉を、僕も信じて挑む。

 準備は大変だったけれど完了した。さて、僕もお姉さんのようにダンジョンに挑戦してみよう!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢に転生後1秒もなく死にました

荷居人(にいと)
恋愛
乙女ゲームの転生話はライトノベルでよくある話。それで悪役令嬢になっちゃうってのもよく読むし、破滅にならないため頑張るのは色んなパターンがあって読んでいて楽しい。 そう読む分にはいいが、自分が死んで気がつけばなってしまったじゃなく、なれと言われたら普通に断るよね。 「どうあがいても強制的処刑運命の悪役令嬢になりたくない?」 「生まれながらに死ねと?嫌だよ!」 「ま、拒否権ないけどさ。悪役令嬢でも美人だし身分も申し分ないし、モブならひっかけられるからモブ恋愛人生を楽しむなり、人生謳歌しなよ。成人前に死ぬけど」 「ふざけんなー!」 ふざけた神様に命の重さはわかってもらえない?こんな転生って酷すぎる! 神様どうせ避けられないなら死ぬ覚悟するからひとつ願いを叶えてください! 人生謳歌、前世失恋だらけだった恋も最悪人生で掴んでやります! そんな中、転生してすぐに幽霊騒ぎ?って幽霊って私のこと!? おい、神様、転生なのに生まれ直すも何も処刑された後ってどういうこと?何一つ学んでないから言葉もわからないし、身体だけ成人前って………どうせ同じ運命ならって面倒だから時を早送りしちゃった?ふざけんなー! こちら気晴らし作品。ラブコメディーです。展開早めの短編完結予定作品。

申し訳ないけど、悪役令嬢から足を洗らわせてもらうよ!

甘寧
恋愛
この世界が小説の世界だと気づいたのは、5歳の頃だった。 その日、二つ年上の兄と水遊びをしていて、足を滑らせ溺れた。 その拍子に前世の記憶が凄まじい勢いで頭に入ってきた。 前世の私は東雲菜知という名の、極道だった。 父親の後を継ぎ、東雲組の頭として奮闘していたところ、組同士の抗争に巻き込まれ32年の生涯を終えた。 そしてここは、その当時読んでいた小説「愛は貴方のために~カナリヤが望む愛のカタチ~」の世界らしい。 組の頭が恋愛小説を読んでるなんてバレないよう、コソコソ隠れて読んだものだ。 この小説の中のミレーナは、とんだ悪役令嬢で学園に入学すると、皆に好かれているヒロインのカナリヤを妬み、とことん虐め、傷ものにさせようと刺客を送り込むなど、非道の限りを尽くし断罪され死刑にされる。 その悪役令嬢、ミレーナ・セルヴィロが今の私だ。 ──カタギの人間に手を出しちゃ、いけないねぇ。 昔の記憶が戻った以上、原作のようにはさせない。 原作を無理やり変えるんだ、もしかしたらヒロインがハッピーエンドにならないかもしれない。 それでも、私は悪役令嬢から足を洗う。 小説家になろうでも連載してます。 ※短編予定でしたが、長編に変更します。

【完結】お父様の再婚相手は美人様

すみ 小桜(sumitan)
恋愛
 シャルルの父親が子連れと再婚した!  二人は美人親子で、当主であるシャルルをあざ笑う。  でもこの国では、美人だけではどうにもなりませんよ。

【完結】ケーキの為にと頑張っていたらこうなりました

すみ 小桜(sumitan)
恋愛
 前世持ちのファビアは、ちょっと変わった子爵令嬢に育っていた。その彼女の望みは、一生ケーキを食べて暮らす事! その為に彼女は魔法学園に通う事にした。  継母の策略を蹴散らし、非常識な義妹に振り回されつつも、ケーキの為に頑張ります!

お菓子店の経営に夢中な私は、婚約破棄されても挫けない!

キョウキョウ
恋愛
「僕と店、どっちが大事なんだ?」 「それは当然、お店です」 「なんて失礼な奴だ! お前との婚約は、破棄させてもらう!!」 王都で大繁盛する菓子店の経営者である、公爵令嬢のシャルロッテ。 エヴラール王子は、婚約相手のシャルロッテが経営に夢中になっていることが気に入らなかった。 ある日シャルロッテを呼び出して、自分とお店、どちらが大事なのかを天秤にかけて王子は問いかけた。 彼女の答えを聞いて、エヴラール王子は怒りながら勢い任せでシャルロッテに婚約破棄を言い渡す。 それだけでなく、シャルロッテのお店を営業停止処分にすると宣告した。 婚約者で王族でもある僕のことを最優先に考えて大切にしろ、と王子は言った。 そんな無茶苦茶な理由で婚約を破棄されたシャルロッテはツテを頼って隣国に移り住み、新しい菓子店をオープンする。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

【完結】豊穣の聖女な私を捨てない方がいいと思いますよ?あっ、捨てるんですか、そうですか・・・はーい。

西東友一
恋愛
アドルド王子と婚約し、お祝いに必要だからと最高の景色と最高の料理のために、花々や作物に成長魔法を掛けろと言われたので、仕方なく魔法をかけたら王子に婚約破棄されました。 あの~すいません、私の魔法の注意事項をちっとも聞かなかったですけど、私はいなくなりますよ? 失礼します。 イラストはミカスケ様(イトノコ様)の物を使用させていただいてます。(7/8より) 私は見た瞬間感動しました。よろしければ、絵師様も応援してあげてください。 ※※注意※※ ・ショートショートから短編に変更です。まだ私の実力ではショートショートは難しいようです。  25話以内に収まる予定です。お忙しい皆様本当にごめんなさい。 ・一部過激性的表現と思われるかもしれません。 ・ざまぁへのための布石で、不快な思いをされる方がいるかもしれません。 ・朝見るものじゃないかも。深夜にアップするので深夜に見てください?いや、皆さんは目が肥えているから大丈夫かも? ・稚拙な内容でこんな程度で、ここまで注意書きするなよって、なるのが一番申し訳ないかもです。

追放された聖女のお話~私はもう貴方達のことは護りません~

キョウキョウ
恋愛
護国の聖女に任命され、5年間ずっと1人だけで王国全土の結界を維持してきたクローディ。 彼女は、学園の卒業式で冤罪を理由に王太子から婚約破棄を言い渡される。 それだけでなく、国外追放を告げられた。 今まで頑張ってきた努力など無視して、聖女は酷い扱いを受ける。 こうして彼女は、結界の維持を放棄した。 テンプレなざまぁがメインのお話です。 恋愛要素は少なめです。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

婚約破棄が私を笑顔にした

夜月翠雨
恋愛
「カトリーヌ・シャロン! 本日をもって婚約を破棄する!」 学園の教室で婚約者であるフランシスの滑稽な姿にカトリーヌは笑いをこらえるので必死だった。 そこに聖女であるアメリアがやってくる。 フランシスの瞳は彼女に釘付けだった。 彼女と出会ったことでカトリーヌの運命は大きく変わってしまう。 短編を小分けにして投稿しています。よろしくお願いします。

処理中です...