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上に立つべき人 ※とある令嬢視点

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 エレドナッハ公爵家のアデーレ様。

 とても優秀だと噂で聞いていたが、その通りだと思った。出会った時から、全てが完璧な女性。立ち居振る舞いが素敵で、ずっと見ていたい。参考にしたいと思わせる人だった。

「よろしくね」
「は、はい! 初めまして、よろしくお願いします」

 丁寧にあいさつしてくれた。その言葉で、私は夢中にさせられたのかもしれない。私が男だったら、きっと惚れていたでしょう。女性的な魅力も溢れる人。

 一緒にいたい。でも、私みたいな女が近くに居て不快じゃないかしら。彼女に嫌だと思われていたら、どうしよう。

 完璧すぎる彼女に、卑屈な気持ちが芽生えそうになった。そんな私の不安を察したのか、彼女はニコッと笑ってくれた。包み込むような笑顔。

「ッ!」

 大丈夫よ、と言ってもらった気がして嬉しかった。その笑顔を見ただけで、不安が吹き飛んでいた。

 アデーレ様の婚約相手は、王位継承権第一位のアルフレッド様。近い将来、彼女は王妃になられる方ということ。

 彼女のような人が王妃になってくれたら、安心感がある。国民にも慕われるだろうし、幸せな国になる未来が想像できる。



 私には、打算もある。将来のために、アデーレ様と仲良くなっておくことは大事。実家からも、仲良くするように言われていた。

 彼女のような人で良かった。本心から仲良くしたいという人だから、苦じゃない。嫌な人と仲良くなれと言われていたら、きっと大変だっただろう。

 お近づきになりたい。そう思うのは、私だけじゃない。多くの令嬢がアデーレ様に群がった。ライバルが多くなるのは、当然のことだと思う。これは仕方ない。

 アデーレ様に敵対する人たちもいる。古くからの因縁や家同士の派閥争いにより、複雑な関係になっている。私たちは、アデーレ様の味方になれたことは幸運だと思う。だからこそ、この関係を崩さないように協力しないといけない。内輪もめは避けるべき。

 幸い、敵対しているグループの雰囲気は悪いようだ。トップに立っている令嬢は、アデーレ様を恐れている。勝てる見込みはないと、争う前から諦めているみたい。

 あっちにいるグループの人たちから、こちらに加わりたいという相談をされることもあった。

 協力する気があるなら、受け入れても構わないと思う。アデーレ様も寛容なので、断ることはないはず。徐々に仲間を増やし、私たちのグループを大きくしていければいい。



「ごきげんよう」
「アデーレ様! ごきげんよう」

 優雅に挨拶を交わすアデーレ様を見て、今日も美しいと思った。そして尊敬する。あんな風に振る舞えるようになりたい。私も、もっと頑張りましょう。
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