上 下
42 / 49

第42話 新しい日々

しおりを挟む
 アレクグル王国から使用人達がやって来た。どうやら私のお世話をしたいからと、こちらを訪れたらしい。わざわざ来てくれるなんて嬉しいけれど、大丈夫なのかしらと心配になる。

「旦那様には許可を頂いたので、大丈夫ですよ」
「あら、そうなの」

 屋敷の専属料理人だったローワンの話によると、お父様の許可を得たらしい。

 モーリスの商会に手伝ってもらって、代員も手配してから来たようなので安心して彼らを受け入れることに。

 ただ私も、現在は宿屋で生活していた。来てくれた使用人達を受け入れるために、街のどこかにある屋敷を借りて、そこで暮らしていく準備をしないとけない。

 今回もモーリスの商会を頼るべきか。それとも、他に誰か詳しい人は居るかしら。どうしようか悩んでいると、ブライアンが助け舟を出してくれた。

「それなら、王家が保有している屋敷が余っているから。それを使えばいいよ」
「私達が使っていいの?」
「もちろん。父上も了承してくれるはずだ」

 ということで確認すると、すぐに手配してくれた。アレクグル王国からやって来た使用人達に屋敷の管理を任せて、私もそこで暮らすことに。



 これで、もうしばらくデュラレン王国で過ごすことが決まった。この国にある魔法資料や歴史を調べるために、時間が必要だったので丁度よい。屋敷に新たな研究室も用意する。

 私は、デュラレン王国を新たな拠点に定めて活動することを決めた。けれど一緒に旅行していたお母様はどうするのか、話を聞いてみる。すると、お母様は即答した。

「私も、ナディーンと一緒に居るわ」
「お父様や妹が居る、アレクグル王国には帰らなくてもいいの?」
「あの人は、お家のことで大変だろうから。妹のメイヤも私の事を嫌っていたから。彼らの近くに、私は居ない方が良いと思うのよ」

 お母様は、アレクグル王国に帰りたくないようだ。

「それよりも、ナディーンと一緒に居たいわ。ダメかしら?」
「全然、ダメじゃないよ。とっても嬉しい」

 お母様は、私と一緒に居ることを望んだ。それなら、大歓迎だ。話し合った結果、デュラレン王国の屋敷でお母様も一緒に暮らすことが決定した。

 その後、お母様は屋敷には引きこもらずに色々と活動を始めた。デュラレン王国の社交界などに参加して、他の貴族婦人達と交流していた。新たな生き方を見つけて、日々を楽しんでいるようだ。笑顔も増えたので、とても良かった。

 私も、新しく暮らし始めた屋敷でブライアンと一緒に、魔法の研究に没頭する。

 まず初めに、王家の書庫に保管されている魔法の資料や歴史書の数々を片っ端から調べていく。

 私も知らなかった過去の魔法理論や歴史の数々に興奮しながら、詳しく調べるために、たっぷりと時間を費やしていく。
しおりを挟む
感想 123

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢を陥れようとして失敗したヒロインのその後

柚木崎 史乃
ファンタジー
女伯グリゼルダはもう不惑の歳だが、過去に起こしたスキャンダルが原因で異性から敬遠され未だに独身だった。 二十二年前、グリゼルダは恋仲になった王太子と結託して彼の婚約者である公爵令嬢を陥れようとした。 けれど、返り討ちに遭ってしまい、結局恋人である王太子とも破局してしまったのだ。 ある時、グリゼルダは王都で開かれた仮面舞踏会に参加する。そこで、トラヴィスという年下の青年と知り合ったグリゼルダは彼と恋仲になった。そして、どんどん彼に夢中になっていく。 だが、ある日。トラヴィスは、突然グリゼルダの前から姿を消してしまう。グリゼルダはショックのあまり倒れてしまい、気づいた時には病院のベッドの上にいた。 グリゼルダは、心配そうに自分の顔を覗き込む執事にトラヴィスと連絡が取れなくなってしまったことを伝える。すると、執事は首を傾げた。 そして、困惑した様子でグリゼルダに尋ねたのだ。「トラヴィスって、一体誰ですか? そんな方、この世に存在しませんよね?」と──。

【完結】その人が好きなんですね?なるほど。愚かな人、あなたには本当に何も見えていないんですね。

新川ねこ
恋愛
ざまぁありの令嬢もの短編集です。 1作品数話(5000文字程度)の予定です。

もう、終わった話ですし

志位斗 茂家波
ファンタジー
一国が滅びた。 その知らせを聞いても、私には関係の無い事。 だってね、もう分っていたことなのよね‥‥‥ ‥‥‥たまにやりたくなる、ありきたりな婚約破棄ざまぁ(?)もの 少々物足りないような気がするので、気が向いたらオマケ書こうかな?

ボッチはハズレスキル『状態異常倍加』の使い手

Outlook!
ファンタジー
経緯は朝活動始まる一分前、それは突然起こった。床が突如、眩い光が輝き始め、輝きが膨大になった瞬間、俺を含めて30人のクラスメイト達がどこか知らない所に寝かされていた。 俺達はその後、いかにも王様っぽいひとに出会い、「七つの剣を探してほしい」と言われた。皆最初は否定してたが、俺はこの世界に残りたいがために今まで閉じていた口を開いた。 そしてステータスを確認するときに、俺は驚愕する他なかった。 理由は簡単、皆の授かった固有スキルには強スキルがあるのに対して、俺が授かったのはバットスキルにも程がある、状態異常倍加だったからだ。 ※不定期更新です。ゆっくりと投稿していこうと思いますので、どうかよろしくお願いします。 カクヨム、小説家になろう、エブリスタにも投稿しています。

悪役令嬢にざまぁされた王子のその後

柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。 その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。 そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。 マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。 人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。

逆行転生した侯爵令嬢は、自分を裏切る予定の弱々婚約者を思う存分イジメます

黄札
恋愛
侯爵令嬢のルーチャが目覚めると、死ぬひと月前に戻っていた。 ひと月前、婚約者に近づこうとするぶりっ子を撃退するも……中傷だ!と断罪され、婚約破棄されてしまう。婚約者の公爵令息をぶりっ子に奪われてしまうのだ。くわえて、不貞疑惑まででっち上げられ、暗殺される運命。 目覚めたルーチャは暗殺を回避しようと自分から婚約を解消しようとする。弱々婚約者に無理難題を押しつけるのだが…… つよつよ令嬢ルーチャが冷静沈着、鋼の精神を持つ侍女マルタと運命を変えるために頑張ります。よわよわ婚約者も成長するかも? 短いお話を三話に分割してお届けします。 この小説は「小説家になろう」でも掲載しています。

【完結】私はいてもいなくても同じなのですね ~三人姉妹の中でハズレの私~

紺青
恋愛
マルティナはスコールズ伯爵家の三姉妹の中でハズレの存在だ。才媛で美人な姉と愛嬌があり可愛い妹に挟まれた地味で不器用な次女として、家族の世話やフォローに振り回される生活を送っている。そんな自分を諦めて受け入れているマルティナの前に、マルティナの思い込みや常識を覆す存在が現れて―――家族にめぐまれなかったマルティナが、強引だけど優しいブラッドリーと出会って、少しずつ成長し、別離を経て、再生していく物語。 ※三章まで上げて落とされる鬱展開続きます。 ※因果応報はありますが、痛快爽快なざまぁはありません。 ※なろうにも掲載しています。

くだらない冤罪で投獄されたので呪うことにしました。

音爽(ネソウ)
恋愛
<良くある話ですが凄くバカで下品な話です。> 婚約者と友人に裏切られた、伯爵令嬢。 冤罪で投獄された恨みを晴らしましょう。 「ごめんなさい?私がかけた呪いはとけませんよ」

処理中です...