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第40話 デュラレン王国の陰謀
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ブライアンの要望でデュラレン王国に滞在することになった私は、毎日のように彼と会い、魔法について語り合った。
その間、何度も体調が悪くなるブライアン。それでも議論を続けようとするので、彼をなんとか治せないか試してみることにした。
他国の王子の体調不良の原因を探るのは、あまりよろしくないかもしれない。専属の医者も居るようだし、私が口出しするべきじゃないと迷ったりもした。だが彼は、話し合いで無理しようとする。なので治せるのなら、治してあげたほうが良いだろうと判断した私は、彼の身体を調べてみることにした。
私を世話してくれるメイドのヘレンの件もあり、医術や回復魔法は勉強している。私なら、ブライアンの体調を回復させる方法もすぐに分かるかもしれない。
それで、調べてみると意外な結果が分かった。
彼の体調不良は、病気だったり身体が弱いことが原因じゃなかった。身体の中に、微弱な毒物反応があった。反応は微弱だけれど、かなり長期間蓄積している。それが身体を弱らせている原因であることが判明した。
この毒物反応は、魔法を使える私だから判明した事実。ブライアンを診ていた医者も、見落としていたのだろう。だがもしかしたら、私の勘違いかもしれない。かなり慎重に、ブライアンの身体の状態を確認していく。
彼の体調不良は、本当に毒が原因なのか。
「ねぇ、先生。そろそろ、魔法の話の続きを」
「ちょっと待ちなさい。これが終わったら、昨日の続きを話すから」
魔法の話をしたいと求めてくるブライアンを少し黙らせて、最終確認。間違いないことを確認した。彼の体調不良の原因は、毒によるもの。
しかも、自然には発生しない毒。偶然に混入したものじゃない。この毒によって、ブライアンを殺したいという殺意を感じた。
「確認は終わりましたか? それじゃあ、魔法の話の続きを」
「その前に」
魔法の話を期待するブライアンには申し訳ないけれど、先に彼の身体と毒について話しておくべきだろう。
「私の身体の中から毒物が?」
「間違いないわ」
今までの調査結果と、体調不良の原因をブライアンに説明する。私の話を聞いて、流石に真剣な表情となった彼。鋭い眼差しで、私の顔を見つめてくる。
「毒性は弱いから、解毒は出来る。蓄積してきた分を全て取り除くのは、少し時間が必要かもしれない。けれど、必ず治る」
「そうなのか。ありがとう!」
私の言葉を疑わず、信じてくれたブライアン。その信頼に応えたい。
「ブライアンの家族は、他に身体が悪い人は?」
「ウィーデン家は代々、身体が弱い一族だと言われてきた。私の両親や、兄弟姉妹も全員が同じように病弱だ」
「もしかしたら、その原因はブライアンと同じように毒薬を飲まされていたからなのかもしれない」
ブライアンは、そう言い伝えられてきたから事実だと信じていたらしい。だけど、彼の身体を診てみたら病弱のようには見えなかった。毒が原因で弱っているだけ。
他のウィーデン家の人達は、どうだろうか。
「先生、家族の診断を頼む。病弱の原因が毒なのか、診てもらいたい」
ブライアンが頭を下げて頼んできた。もちろん、お願いされたので診てあげたいと思う。
「わかったわ。だけど、注意をして。ウィーデン家の一族に毒を盛った人物が身近に居ると思う。王族に毒薬を飲ませる事が出来るのは、それだけ近い関係の人物だろうから。その敵にバレないよう、ウィーデン家の皆を治療していきましょう」
「わかりました、先生」
ということで、私はブライアンと打ち合わせを綿密に行った。ウィーデン家の皆を診断して、毒状態なら回復する。どのタイミングで毒を盛られたのか、調査をする。そして、彼らに毒を盛った相手が誰なのかを探る。
私はブライアンに協力して、デュラレン王国の陰謀を探り始めた。
その間、何度も体調が悪くなるブライアン。それでも議論を続けようとするので、彼をなんとか治せないか試してみることにした。
他国の王子の体調不良の原因を探るのは、あまりよろしくないかもしれない。専属の医者も居るようだし、私が口出しするべきじゃないと迷ったりもした。だが彼は、話し合いで無理しようとする。なので治せるのなら、治してあげたほうが良いだろうと判断した私は、彼の身体を調べてみることにした。
私を世話してくれるメイドのヘレンの件もあり、医術や回復魔法は勉強している。私なら、ブライアンの体調を回復させる方法もすぐに分かるかもしれない。
それで、調べてみると意外な結果が分かった。
彼の体調不良は、病気だったり身体が弱いことが原因じゃなかった。身体の中に、微弱な毒物反応があった。反応は微弱だけれど、かなり長期間蓄積している。それが身体を弱らせている原因であることが判明した。
この毒物反応は、魔法を使える私だから判明した事実。ブライアンを診ていた医者も、見落としていたのだろう。だがもしかしたら、私の勘違いかもしれない。かなり慎重に、ブライアンの身体の状態を確認していく。
彼の体調不良は、本当に毒が原因なのか。
「ねぇ、先生。そろそろ、魔法の話の続きを」
「ちょっと待ちなさい。これが終わったら、昨日の続きを話すから」
魔法の話をしたいと求めてくるブライアンを少し黙らせて、最終確認。間違いないことを確認した。彼の体調不良の原因は、毒によるもの。
しかも、自然には発生しない毒。偶然に混入したものじゃない。この毒によって、ブライアンを殺したいという殺意を感じた。
「確認は終わりましたか? それじゃあ、魔法の話の続きを」
「その前に」
魔法の話を期待するブライアンには申し訳ないけれど、先に彼の身体と毒について話しておくべきだろう。
「私の身体の中から毒物が?」
「間違いないわ」
今までの調査結果と、体調不良の原因をブライアンに説明する。私の話を聞いて、流石に真剣な表情となった彼。鋭い眼差しで、私の顔を見つめてくる。
「毒性は弱いから、解毒は出来る。蓄積してきた分を全て取り除くのは、少し時間が必要かもしれない。けれど、必ず治る」
「そうなのか。ありがとう!」
私の言葉を疑わず、信じてくれたブライアン。その信頼に応えたい。
「ブライアンの家族は、他に身体が悪い人は?」
「ウィーデン家は代々、身体が弱い一族だと言われてきた。私の両親や、兄弟姉妹も全員が同じように病弱だ」
「もしかしたら、その原因はブライアンと同じように毒薬を飲まされていたからなのかもしれない」
ブライアンは、そう言い伝えられてきたから事実だと信じていたらしい。だけど、彼の身体を診てみたら病弱のようには見えなかった。毒が原因で弱っているだけ。
他のウィーデン家の人達は、どうだろうか。
「先生、家族の診断を頼む。病弱の原因が毒なのか、診てもらいたい」
ブライアンが頭を下げて頼んできた。もちろん、お願いされたので診てあげたいと思う。
「わかったわ。だけど、注意をして。ウィーデン家の一族に毒を盛った人物が身近に居ると思う。王族に毒薬を飲ませる事が出来るのは、それだけ近い関係の人物だろうから。その敵にバレないよう、ウィーデン家の皆を治療していきましょう」
「わかりました、先生」
ということで、私はブライアンと打ち合わせを綿密に行った。ウィーデン家の皆を診断して、毒状態なら回復する。どのタイミングで毒を盛られたのか、調査をする。そして、彼らに毒を盛った相手が誰なのかを探る。
私はブライアンに協力して、デュラレン王国の陰謀を探り始めた。
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