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第37話 魔法使いの会談
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「つまり、こうすれば良いですね先生!」
「その通り。だけど、こうすると効率がもっと上がるのよブライアン」
「なるほど!」
ブライアンとの魔法に関する話し合いは、非常に盛り上がっていた。彼は、とても優秀な魔法使いだった。私よりも才能があると思う。今は、経験と知識の差で勝っているだけで、時間をかければ私を超える魔法使いになるだろう。
天才的なブライアンに、私は惜しげもなく魔法の知識を提供した。魔法について、彼と語り合うことが楽しかったから。
先生と呼ばれることを受け入れて、私も彼のことをブライアンと呼ぶようになった。短時間で、ものすごく親しくなった。
今まで、こんなに魔法のことを語り合った経験はない。いつも一方的に、研究した内容を説明するだけだった。
私の身の回りには、私の研究内容に疑問や分からないなと思った部分を指摘して、一緒に議論し合えるような魔法使いは居なかった。ブライアンが初めてだった。
だから、私は熱中して教えた。ブライアンも、魔法の知識を求めた。
なぜ、彼のような才能ある魔法使いが世に出てこなかったのかしら。その答えは、すぐに判明した。
「ゴホッゴホッ!」
「大丈夫?」
どれくらい話していただろうか。わからないけれど、かなり時間が過ぎたと思う。突然、ブライアンが咳をした。かなり苦しそう。よく見ると、顔色も悪い。白かった彼の肌が更に白くなって、青ざめて見えるほど。
「だ、大丈夫です。ゴホッ。話を続けて、下さい」
「ブライアン様、今日はもうお休みになったほうが」
「ッ! まだ、大丈夫だって! ゴホッ」
メイドが止めようとするが、ブライアンは強がって笑顔を浮かべる。だけど、咳をして顔がゆがむ。これは、駄目そうだ。
「体調が悪いのに会いに来てしまって、ごめんなさい」
「いえ、違うんです先生。私は、元から身体が弱くて。今までにないぐらい長時間、話していたから少し体調が悪くなって……」
なるほど、ブライアンは身体が弱いらしい。それで、もしかしたら前は早いうちに亡くなったのかも。
今は、そんな事を考えるよりも彼の身体を気遣ったほうが良いだろう。
「それじゃあ、そろそろ私は帰ります」
「だ、駄目です! まだ、先生と話したい!」
今日はおしまい。そう言うと、彼は強く拒否した。まだ足りないから、続けたいと駄々をこねる。魔法に対して、すごく積極的なのは嬉しい。だけど、具合が悪いまま続けるわけにはいかない。
「駄目ですよ。具合が悪いのなら、休みなさい」
「ッ! じゃ、じゃあ、先生に言われた通り休む。それで私の体調が良くなったら、また会いに来てくれ!」
「えぇ、わかりました。また会いに来ると、約束します」
「……すまない。無理を言ってしまって」
「いえいえ、私もすごく楽しかったですよ」
「そうですか!」
彼は落ち着きを取り戻して、今日の話し合いは終わりだということを受け入れた。今日は、これでおしまい。また会うことを約束して、私は宿に戻った。
しばらくの間、デュラレン王国に滞在することをブライアンと約束した。お母様に相談しないと。
それから、気になったのはブライアンの体調について。どうにかして、彼の身体を治療することは出来ないかしら。ちょっと調べてみよう。
「その通り。だけど、こうすると効率がもっと上がるのよブライアン」
「なるほど!」
ブライアンとの魔法に関する話し合いは、非常に盛り上がっていた。彼は、とても優秀な魔法使いだった。私よりも才能があると思う。今は、経験と知識の差で勝っているだけで、時間をかければ私を超える魔法使いになるだろう。
天才的なブライアンに、私は惜しげもなく魔法の知識を提供した。魔法について、彼と語り合うことが楽しかったから。
先生と呼ばれることを受け入れて、私も彼のことをブライアンと呼ぶようになった。短時間で、ものすごく親しくなった。
今まで、こんなに魔法のことを語り合った経験はない。いつも一方的に、研究した内容を説明するだけだった。
私の身の回りには、私の研究内容に疑問や分からないなと思った部分を指摘して、一緒に議論し合えるような魔法使いは居なかった。ブライアンが初めてだった。
だから、私は熱中して教えた。ブライアンも、魔法の知識を求めた。
なぜ、彼のような才能ある魔法使いが世に出てこなかったのかしら。その答えは、すぐに判明した。
「ゴホッゴホッ!」
「大丈夫?」
どれくらい話していただろうか。わからないけれど、かなり時間が過ぎたと思う。突然、ブライアンが咳をした。かなり苦しそう。よく見ると、顔色も悪い。白かった彼の肌が更に白くなって、青ざめて見えるほど。
「だ、大丈夫です。ゴホッ。話を続けて、下さい」
「ブライアン様、今日はもうお休みになったほうが」
「ッ! まだ、大丈夫だって! ゴホッ」
メイドが止めようとするが、ブライアンは強がって笑顔を浮かべる。だけど、咳をして顔がゆがむ。これは、駄目そうだ。
「体調が悪いのに会いに来てしまって、ごめんなさい」
「いえ、違うんです先生。私は、元から身体が弱くて。今までにないぐらい長時間、話していたから少し体調が悪くなって……」
なるほど、ブライアンは身体が弱いらしい。それで、もしかしたら前は早いうちに亡くなったのかも。
今は、そんな事を考えるよりも彼の身体を気遣ったほうが良いだろう。
「それじゃあ、そろそろ私は帰ります」
「だ、駄目です! まだ、先生と話したい!」
今日はおしまい。そう言うと、彼は強く拒否した。まだ足りないから、続けたいと駄々をこねる。魔法に対して、すごく積極的なのは嬉しい。だけど、具合が悪いまま続けるわけにはいかない。
「駄目ですよ。具合が悪いのなら、休みなさい」
「ッ! じゃ、じゃあ、先生に言われた通り休む。それで私の体調が良くなったら、また会いに来てくれ!」
「えぇ、わかりました。また会いに来ると、約束します」
「……すまない。無理を言ってしまって」
「いえいえ、私もすごく楽しかったですよ」
「そうですか!」
彼は落ち着きを取り戻して、今日の話し合いは終わりだということを受け入れた。今日は、これでおしまい。また会うことを約束して、私は宿に戻った。
しばらくの間、デュラレン王国に滞在することをブライアンと約束した。お母様に相談しないと。
それから、気になったのはブライアンの体調について。どうにかして、彼の身体を治療することは出来ないかしら。ちょっと調べてみよう。
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