37 / 49
第37話 魔法使いの会談
しおりを挟む
「つまり、こうすれば良いですね先生!」
「その通り。だけど、こうすると効率がもっと上がるのよブライアン」
「なるほど!」
ブライアンとの魔法に関する話し合いは、非常に盛り上がっていた。彼は、とても優秀な魔法使いだった。私よりも才能があると思う。今は、経験と知識の差で勝っているだけで、時間をかければ私を超える魔法使いになるだろう。
天才的なブライアンに、私は惜しげもなく魔法の知識を提供した。魔法について、彼と語り合うことが楽しかったから。
先生と呼ばれることを受け入れて、私も彼のことをブライアンと呼ぶようになった。短時間で、ものすごく親しくなった。
今まで、こんなに魔法のことを語り合った経験はない。いつも一方的に、研究した内容を説明するだけだった。
私の身の回りには、私の研究内容に疑問や分からないなと思った部分を指摘して、一緒に議論し合えるような魔法使いは居なかった。ブライアンが初めてだった。
だから、私は熱中して教えた。ブライアンも、魔法の知識を求めた。
なぜ、彼のような才能ある魔法使いが世に出てこなかったのかしら。その答えは、すぐに判明した。
「ゴホッゴホッ!」
「大丈夫?」
どれくらい話していただろうか。わからないけれど、かなり時間が過ぎたと思う。突然、ブライアンが咳をした。かなり苦しそう。よく見ると、顔色も悪い。白かった彼の肌が更に白くなって、青ざめて見えるほど。
「だ、大丈夫です。ゴホッ。話を続けて、下さい」
「ブライアン様、今日はもうお休みになったほうが」
「ッ! まだ、大丈夫だって! ゴホッ」
メイドが止めようとするが、ブライアンは強がって笑顔を浮かべる。だけど、咳をして顔がゆがむ。これは、駄目そうだ。
「体調が悪いのに会いに来てしまって、ごめんなさい」
「いえ、違うんです先生。私は、元から身体が弱くて。今までにないぐらい長時間、話していたから少し体調が悪くなって……」
なるほど、ブライアンは身体が弱いらしい。それで、もしかしたら前は早いうちに亡くなったのかも。
今は、そんな事を考えるよりも彼の身体を気遣ったほうが良いだろう。
「それじゃあ、そろそろ私は帰ります」
「だ、駄目です! まだ、先生と話したい!」
今日はおしまい。そう言うと、彼は強く拒否した。まだ足りないから、続けたいと駄々をこねる。魔法に対して、すごく積極的なのは嬉しい。だけど、具合が悪いまま続けるわけにはいかない。
「駄目ですよ。具合が悪いのなら、休みなさい」
「ッ! じゃ、じゃあ、先生に言われた通り休む。それで私の体調が良くなったら、また会いに来てくれ!」
「えぇ、わかりました。また会いに来ると、約束します」
「……すまない。無理を言ってしまって」
「いえいえ、私もすごく楽しかったですよ」
「そうですか!」
彼は落ち着きを取り戻して、今日の話し合いは終わりだということを受け入れた。今日は、これでおしまい。また会うことを約束して、私は宿に戻った。
しばらくの間、デュラレン王国に滞在することをブライアンと約束した。お母様に相談しないと。
それから、気になったのはブライアンの体調について。どうにかして、彼の身体を治療することは出来ないかしら。ちょっと調べてみよう。
「その通り。だけど、こうすると効率がもっと上がるのよブライアン」
「なるほど!」
ブライアンとの魔法に関する話し合いは、非常に盛り上がっていた。彼は、とても優秀な魔法使いだった。私よりも才能があると思う。今は、経験と知識の差で勝っているだけで、時間をかければ私を超える魔法使いになるだろう。
天才的なブライアンに、私は惜しげもなく魔法の知識を提供した。魔法について、彼と語り合うことが楽しかったから。
先生と呼ばれることを受け入れて、私も彼のことをブライアンと呼ぶようになった。短時間で、ものすごく親しくなった。
今まで、こんなに魔法のことを語り合った経験はない。いつも一方的に、研究した内容を説明するだけだった。
私の身の回りには、私の研究内容に疑問や分からないなと思った部分を指摘して、一緒に議論し合えるような魔法使いは居なかった。ブライアンが初めてだった。
だから、私は熱中して教えた。ブライアンも、魔法の知識を求めた。
なぜ、彼のような才能ある魔法使いが世に出てこなかったのかしら。その答えは、すぐに判明した。
「ゴホッゴホッ!」
「大丈夫?」
どれくらい話していただろうか。わからないけれど、かなり時間が過ぎたと思う。突然、ブライアンが咳をした。かなり苦しそう。よく見ると、顔色も悪い。白かった彼の肌が更に白くなって、青ざめて見えるほど。
「だ、大丈夫です。ゴホッ。話を続けて、下さい」
「ブライアン様、今日はもうお休みになったほうが」
「ッ! まだ、大丈夫だって! ゴホッ」
メイドが止めようとするが、ブライアンは強がって笑顔を浮かべる。だけど、咳をして顔がゆがむ。これは、駄目そうだ。
「体調が悪いのに会いに来てしまって、ごめんなさい」
「いえ、違うんです先生。私は、元から身体が弱くて。今までにないぐらい長時間、話していたから少し体調が悪くなって……」
なるほど、ブライアンは身体が弱いらしい。それで、もしかしたら前は早いうちに亡くなったのかも。
今は、そんな事を考えるよりも彼の身体を気遣ったほうが良いだろう。
「それじゃあ、そろそろ私は帰ります」
「だ、駄目です! まだ、先生と話したい!」
今日はおしまい。そう言うと、彼は強く拒否した。まだ足りないから、続けたいと駄々をこねる。魔法に対して、すごく積極的なのは嬉しい。だけど、具合が悪いまま続けるわけにはいかない。
「駄目ですよ。具合が悪いのなら、休みなさい」
「ッ! じゃ、じゃあ、先生に言われた通り休む。それで私の体調が良くなったら、また会いに来てくれ!」
「えぇ、わかりました。また会いに来ると、約束します」
「……すまない。無理を言ってしまって」
「いえいえ、私もすごく楽しかったですよ」
「そうですか!」
彼は落ち着きを取り戻して、今日の話し合いは終わりだということを受け入れた。今日は、これでおしまい。また会うことを約束して、私は宿に戻った。
しばらくの間、デュラレン王国に滞在することをブライアンと約束した。お母様に相談しないと。
それから、気になったのはブライアンの体調について。どうにかして、彼の身体を治療することは出来ないかしら。ちょっと調べてみよう。
46
お気に入りに追加
3,096
あなたにおすすめの小説
もう私、好きなようにさせていただきますね? 〜とりあえず、元婚約者はコテンパン〜
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「婚約破棄ですね、はいどうぞ」
婚約者から、婚約破棄を言い渡されたので、そういう対応を致しました。
もう面倒だし、食い下がる事も辞めたのですが、まぁ家族が許してくれたから全ては大団円ですね。
……え? いまさら何ですか? 殿下。
そんな虫のいいお話に、まさか私が「はい分かりました」と頷くとは思っていませんよね?
もう私の、使い潰されるだけの生活からは解放されたのです。
だって私はもう貴方の婚約者ではありませんから。
これはそうやって、自らが得た自由の為に戦う令嬢の物語。
※本作はそれぞれ違うタイプのざまぁをお届けする、『野菜の夏休みざまぁ』作品、4作の内の1作です。
他作品は検索画面で『野菜の夏休みざまぁ』と打つとヒット致します。
【完結】え?今になって婚約破棄ですか?私は構いませんが大丈夫ですか?
ゆうぎり
恋愛
カリンは幼少期からの婚約者オリバーに学園で婚約破棄されました。
卒業3か月前の事です。
卒業後すぐの結婚予定で、既に招待状も出し終わり済みです。
もちろんその場で受け入れましたよ。一向に構いません。
カリンはずっと婚約解消を願っていましたから。
でも大丈夫ですか?
婚約破棄したのなら既に他人。迷惑だけはかけないで下さいね。
※ゆるゆる設定です
※軽い感じで読み流して下さい
実家から絶縁されたので好きに生きたいと思います
榎夜
ファンタジー
婚約者が妹に奪われた挙句、家から絶縁されました。
なので、これからは自分自身の為に生きてもいいですよね?
【ご報告】
書籍化のお話を頂きまして、31日で非公開とさせていただきますm(_ _)m
発売日等は現在調整中です。
婚約破棄をされた悪役令嬢は、すべてを見捨てることにした
アルト
ファンタジー
今から七年前。
婚約者である王太子の都合により、ありもしない罪を着せられ、国外追放に処された一人の令嬢がいた。偽りの悪業の経歴を押し付けられ、人里に彼女の居場所はどこにもなかった。
そして彼女は、『魔の森』と呼ばれる魔窟へと足を踏み入れる。
そして現在。
『魔の森』に住まうとある女性を訪ねてとある集団が彼女の勧誘にと向かっていた。
彼らの正体は女神からの神託を受け、結成された魔王討伐パーティー。神託により指名された最後の一人の勧誘にと足を運んでいたのだが——。
【完結】『サヨナラ』そう呟き、崖から身を投げようとする私の手を誰かに引かれました。
仰木 あん
ファンタジー
継母に苛められ、義理の妹には全てを取り上げられる。
実の父にも蔑まれ、生きる希望を失ったアメリアは、家を抜け出し、海へと向かう。
たどり着いた崖から身を投げようとするアメリアは、見知らぬ人物に手を引かれ、一命を取り留める。
そんなところから、彼女の運命は好転をし始める。
そんなお話。
フィクションです。
名前、団体、関係ありません。
設定はゆるいと思われます。
ハッピーなエンドに向かっております。
12、13、14、15話は【胸糞展開】になっておりますのでご注意下さい。
登場人物
アメリア=フュルスト;主人公…二十一歳
キース=エネロワ;公爵…二十四歳
マリア=エネロワ;キースの娘…五歳
オリビエ=フュルスト;アメリアの実父
ソフィア;アメリアの義理の妹二十歳
エリザベス;アメリアの継母
ステルベン=ギネリン;王国の王
王子の転落 ~僕が婚約破棄した公爵令嬢は優秀で人望もあった~
今川幸乃
恋愛
ベルガルド王国の王子カールにはアシュリーという婚約者がいた。
しかしカールは自分より有能で周囲の評判もよく、常に自分の先回りをして世話をしてくるアシュリーのことを嫉妬していた。
そんな時、カールはカミラという伯爵令嬢と出会う。
彼女と過ごす時間はアシュリーと一緒の時間と違って楽しく、気楽だった。
こんな日々が続けばいいのに、と思ったカールはアシュリーとの婚約破棄を宣言する。
しかしアシュリーはカールが思っていた以上に優秀で、家臣や貴族たちの人望も高かった。
そのため、婚約破棄後にカールは思った以上の非難にさらされることになる。
※王子視点多めの予定
聖女であることを隠す公爵令嬢は国外で幸せになりたい
カレイ
恋愛
公爵令嬢オデットはある日、浮気というありもしない罪で国外追放を受けた。それは王太子妃として王族に嫁いだ姉が仕組んだことで。
聖女の力で虐待を受ける弟ルイスを護っていたオデットは、やっと巡ってきたチャンスだとばかりにルイスを連れ、その日のうちに国を出ることに。しかしそれも一筋縄ではいかず敵が塞がるばかり。
その度に助けてくれるのは、侍女のティアナと、何故か浮気相手と疑われた副騎士団長のサイアス。謎にスキルの高い二人と行動を共にしながら、オデットはルイスを救うため奮闘する。
※胸糞悪いシーンがいくつかあります。苦手な方はお気をつけください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる