13 / 49
第13話 お嬢様のお願い ※専属料理人ローワン視点
しおりを挟む
突然、調理場にナディーンお嬢様がメイドを連れて現れた。なにやら話したいことがあるらしい。
もしかして、我々の作る料理に不満を持っておられるのか。直接、文句を言うためにやって来たということなのか。
最近、ナディーン様の食事の最中のお顔が不満そうだという話を聞いていた。その事かもしれない。
わざわざ、こんな場所まで足を運ぶなんてよっぽどのことだ。もしかして、解雇を告げに来たんじゃ。そんな、最悪な考えが脳裏をよぎる。
俺は不安を抱きながら、お嬢様に対応する。
「あの、お嬢様。話したいこととは、一体?」
「実は貴方に、新しい調理法を伝授しに来たの」
「……調理法、ですか?」
文句を言いに来たんじゃないようだ。予想外のことに、俺は戸惑う。そんな、俺の反応で勘違いしたのか、申し訳ないという顔でお嬢様が謝る。
「ごめんなさい。こんな小娘が教えるだなんて不快に思うでしょう」
「いいえ、そんな! 不快だなんて、全く思っていないです!!」
不快だとは思わなかった。ただ、驚いただけ。お嬢様は、俺に何を教えようとしてくれているのか。教えてもらう俺は、どう反応するのが正解なのか。困ってしまう。
「一度、私の教えた通りにやってもらいたいの」
「わかりました。やってみましょう!」
ナディーンお嬢様は、とても真剣な表情だ。ふざけたり、馬鹿にするような様子はない。ならば俺も、ストランド伯爵家の専属料理人として、お嬢様と真剣に向き合うべきだろう。
そして俺は、ナディーンお嬢様に様々なことを教えてもらった。今まで聞いたこともない調理法、斬新な料理のレシピ。味わったことのない調味料。一体どうやって、ナディーンお嬢様はこの知識を得たというのか。
気になったけれど、今はそんなことよりも集中して、お嬢様の教えを学ぶ。これを学べば、俺は料理人として成長できる。
料理に関することを、たっぷりと教えてもらった。その後に、ナディーンお嬢様は話してくれた。
「これは私が魔法を研究して見つけた、研究成果なのよ。私は魔法使いだから、この知識を発見しても上手く活用することが出来ないのよ。だから、専門の人に伝授して役立ててもらおうと思ったの」
「そうだったのですか!」
魔法は、こんな事も出来るのかと、お嬢様のお話を聞いて驚いた。そして、教えてもらったからには上手く使いこなさなければならない。お嬢様は、料理人である俺を信頼して教えてくれたのだから。気合が入った。
「それから、貴方の部下の料理人たちや屋敷で働いている人には教えてもいいけど、その他の人達にはあまり教えないように。無闇矢鱈と、広めようとはしないでね」
「もちろんです! 我々の秘伝とします」
「あ、うん。そこまで頑なに秘密にしなくても、大丈夫よ。外に漏れてしまっても、別に怒らないから」
ナディーンお嬢様に色々と教えてもらって、料理人として誇りと情熱が高まった。これは、ますます精進しなければ!
もしかして、我々の作る料理に不満を持っておられるのか。直接、文句を言うためにやって来たということなのか。
最近、ナディーン様の食事の最中のお顔が不満そうだという話を聞いていた。その事かもしれない。
わざわざ、こんな場所まで足を運ぶなんてよっぽどのことだ。もしかして、解雇を告げに来たんじゃ。そんな、最悪な考えが脳裏をよぎる。
俺は不安を抱きながら、お嬢様に対応する。
「あの、お嬢様。話したいこととは、一体?」
「実は貴方に、新しい調理法を伝授しに来たの」
「……調理法、ですか?」
文句を言いに来たんじゃないようだ。予想外のことに、俺は戸惑う。そんな、俺の反応で勘違いしたのか、申し訳ないという顔でお嬢様が謝る。
「ごめんなさい。こんな小娘が教えるだなんて不快に思うでしょう」
「いいえ、そんな! 不快だなんて、全く思っていないです!!」
不快だとは思わなかった。ただ、驚いただけ。お嬢様は、俺に何を教えようとしてくれているのか。教えてもらう俺は、どう反応するのが正解なのか。困ってしまう。
「一度、私の教えた通りにやってもらいたいの」
「わかりました。やってみましょう!」
ナディーンお嬢様は、とても真剣な表情だ。ふざけたり、馬鹿にするような様子はない。ならば俺も、ストランド伯爵家の専属料理人として、お嬢様と真剣に向き合うべきだろう。
そして俺は、ナディーンお嬢様に様々なことを教えてもらった。今まで聞いたこともない調理法、斬新な料理のレシピ。味わったことのない調味料。一体どうやって、ナディーンお嬢様はこの知識を得たというのか。
気になったけれど、今はそんなことよりも集中して、お嬢様の教えを学ぶ。これを学べば、俺は料理人として成長できる。
料理に関することを、たっぷりと教えてもらった。その後に、ナディーンお嬢様は話してくれた。
「これは私が魔法を研究して見つけた、研究成果なのよ。私は魔法使いだから、この知識を発見しても上手く活用することが出来ないのよ。だから、専門の人に伝授して役立ててもらおうと思ったの」
「そうだったのですか!」
魔法は、こんな事も出来るのかと、お嬢様のお話を聞いて驚いた。そして、教えてもらったからには上手く使いこなさなければならない。お嬢様は、料理人である俺を信頼して教えてくれたのだから。気合が入った。
「それから、貴方の部下の料理人たちや屋敷で働いている人には教えてもいいけど、その他の人達にはあまり教えないように。無闇矢鱈と、広めようとはしないでね」
「もちろんです! 我々の秘伝とします」
「あ、うん。そこまで頑なに秘密にしなくても、大丈夫よ。外に漏れてしまっても、別に怒らないから」
ナディーンお嬢様に色々と教えてもらって、料理人として誇りと情熱が高まった。これは、ますます精進しなければ!
40
お気に入りに追加
3,100
あなたにおすすめの小説
[完結]いらない子と思われていた令嬢は・・・・・・
青空一夏
恋愛
私は両親の目には映らない。それは妹が生まれてから、ずっとだ。弟が生まれてからは、もう私は存在しない。
婚約者は妹を選び、両親は当然のようにそれを喜ぶ。
「取られる方が悪いんじゃないの? 魅力がないほうが負け」
妹の言葉を肯定する家族達。
そうですか・・・・・・私は邪魔者ですよね、だから私はいなくなります。
※以前投稿していたものを引き下げ、大幅に改稿したものになります。
婚約破棄をされ、父に追放まで言われた私は、むしろ喜んで出て行きます! ~家を出る時に一緒に来てくれた執事の溺愛が始まりました~
ゆうき@初書籍化作品発売中
恋愛
男爵家の次女として生まれたシエルは、姉と妹に比べて平凡だからという理由で、父親や姉妹からバカにされ、虐げられる生活を送っていた。
そんな生活に嫌気がさしたシエルは、とある計画を考えつく。それは、婚約者に社交界で婚約を破棄してもらい、その責任を取って家を出て、自由を手に入れるというものだった。
シエルの専属の執事であるラルフや、幼い頃から実の兄のように親しくしてくれていた婚約者の協力の元、シエルは無事に婚約を破棄され、父親に見捨てられて家を出ることになった。
ラルフも一緒に来てくれることとなり、これで念願の自由を手に入れたシエル。しかし、シエルにはどこにも行くあてはなかった。
それをラルフに伝えると、隣の国にあるラルフの故郷に行こうと提案される。
それを承諾したシエルは、これからの自由で幸せな日々を手に入れられると胸を躍らせていたが、その幸せは家族によって邪魔をされてしまう。
なんと、家族はシエルとラルフを広大な湖に捨て、自らの手を汚さずに二人を亡き者にしようとしていた――
☆誤字脱字が多いですが、見つけ次第直しますのでご了承ください☆
☆全文字はだいたい14万文字になっています☆
☆完結まで予約済みなので、エタることはありません!☆
婚約破棄され家を出た傷心令嬢は辺境伯に拾われ溺愛されるそうです 〜今更謝っても、もう遅いですよ?〜
八代奏多
恋愛
「フィーナ、すまないが貴女との婚約を破棄させてもらう」
侯爵令嬢のフィーナ・アストリアがパーティー中に婚約者のクラウス王太子から告げられたのはそんな言葉だった。
その王太子は隣に寄り添う公爵令嬢に愛おしげな視線を向けていて、フィーナが捨てられたのは明らかだった。
フィーナは失意してパーティー会場から逃げるように抜け出す。
そして、婚約破棄されてしまった自分のせいで家族に迷惑がかからないように侯爵家当主の父に勘当するようにお願いした。
そうして身分を捨てたフィーナは生活費を稼ぐために魔法技術が発達していない隣国に渡ろうとするも、道中で魔物に襲われて意識を失ってしまう。
死にたくないと思いながら目を開けると、若い男に助け出されていて……
※小説家になろう様・カクヨム様でも公開しております。
妹に婚約者を取られましたが、辺境で楽しく暮らしています
今川幸乃
ファンタジー
おいしい物が大好きのオルロンド公爵家の長女エリサは次期国王と目されているケビン王子と婚約していた。
それを羨んだ妹のシシリーは悪い噂を流してエリサとケビンの婚約を破棄させ、自分がケビンの婚約者に収まる。
そしてエリサは田舎・偏屈・頑固と恐れられる辺境伯レリクスの元に厄介払い同然で嫁に出された。
当初は見向きもされないエリサだったが、次第に料理や作物の知識で周囲を驚かせていく。
一方、ケビンは極度のナルシストで、エリサはそれを知っていたからこそシシリーにケビンを譲らなかった。ケビンと結ばれたシシリーはすぐに彼の本性を知り、後悔することになる。
【完結】お父様。私、悪役令嬢なんですって。何ですかそれって。
紅月
恋愛
小説家になろうで書いていたものを加筆、訂正したリメイク版です。
「何故、私の娘が処刑されなければならないんだ」
最愛の娘が冤罪で処刑された。
時を巻き戻し、復讐を誓う家族。
娘は前と違う人生を歩み、家族は元凶へ復讐の手を伸ばすが、巻き戻す前と違う展開のため様々な事が見えてきた。
醜い傷ありと蔑まれてきた私の顔に刻まれていたのは、選ばれし者の証である聖痕でした。今更、態度を改められても許せません。
木山楽斗
恋愛
エルーナの顔には、生まれつき大きな痣がある。
その痣のせいで、彼女は醜い傷ありと蔑まれて生きてきた。父親や姉達から嫌われて、婚約者からは婚約破棄されて、彼女は、痣のせいで色々と辛い人生を送っていたのである。
ある時、彼女の痣に関してとある事実が判明した。
彼女の痣は、聖痕と呼ばれる選ばれし者の証だったのだ。
その事実が判明して、彼女の周囲の人々の態度は変わった。父親や姉達からは媚を売られて、元婚約者からは復縁を迫られて、今までの態度とは正反対の態度を取ってきたのだ。
流石に、エルーナもその態度は頭にきた。
今更、態度を改めても許せない。それが彼女の素直な気持ちだったのだ。
※5話目の投稿で、間違って別の作品の5話を投稿してしまいました。申し訳ありませんでした。既に修正済みです。
実家から絶縁されたので好きに生きたいと思います
榎夜
ファンタジー
婚約者が妹に奪われた挙句、家から絶縁されました。
なので、これからは自分自身の為に生きてもいいですよね?
【ご報告】
書籍化のお話を頂きまして、31日で非公開とさせていただきますm(_ _)m
発売日等は現在調整中です。
喋ることができなくなった行き遅れ令嬢ですが、幸せです。
加藤ラスク
恋愛
セシル = マクラグレンは昔とある事件のせいで喋ることができなくなっていた。今は王室内事務局で働いており、真面目で誠実だと評判だ。しかし後輩のラーラからは、行き遅れ令嬢などと嫌味を言われる日々。
そんなセシルの密かな喜びは、今大人気のイケメン騎士団長クレイグ = エヴェレストに会えること。クレイグはなぜか毎日事務局に顔を出し、要件がある時は必ずセシルを指名していた。そんなある日、重要な書類が紛失する事件が起きて……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる