30 / 31
第30話 辺境で最悪な夫婦生活 ※ランドリック視点
しおりを挟む
辺境へ送られるということは、貴族社会では死んだも同然ということ。
そこに行ってしまえば、戻ってくることは不可能。生きたまま王都に来ることは、もう二度とないだろう。
唯一の救いは、レイティアが一緒に行くこと。辺境で、夫婦になることを認めてもらった。彼女はかなり嫌がっていたし、巻き込んでしまったのは申し訳ないけれど。仕方ないだろう。
「嫌よ! 私は、家に帰るんだから!」
「ダメだ、レイティア。命令に従わないと」
「お前のせいで! 私は、こんな目に……ッ!」
「本当にすまない」
怒り続けるレイティアに、俺は何度も謝った。それで気が済むのなら、いくらでも謝ろうと思う。
辺境での生活が始まった。
何もすることはない。何もさせてもらえない。自ら死を選ぶことさえ許されない。ただ、時間が過ぎていくのを眺めるだけ。病気か老衰によって、死ぬまで待つだけの日々。
横で文句を言い続けるレイティア。もうそろそろ、受け入れてもいいんじゃないのか。文句を言ったって無駄なんだから。
「こんな生活、耐えられない! 私は、もっと優雅で華やかな生活をしたいのに!」
「そんなこと言っても、どうしようもないじゃないか。ここで一生を過ごさないといけないんだから」
「うるさい! お前のせいで、私は……!」
聞かされ続けた言葉。もう何度も繰り返して、俺は責められ続ける。聞き飽きた。まだ俺は、謝らないといけないのか? もう十分に謝ったが。
簡素な結婚式を行った。俺の思い出にある結婚式と比べたら、とんでもなく質素。だけど何もしないより全然マシで、用意してもらったのが本当に嬉しかった。
それなのに、レイティアは終始不機嫌な様子。
「せっかく用意してもらったのに、その顔はやめてくれ」
「は? こんな結婚式、意味ないじゃない! 私が望んでいるものと違うのよ!」
この時から、レイティアに対する申し訳ない気持ちは一気に薄れていった。
それからも、文句を言い続けるレイティア。言っても仕方ないのに、言い続ける。それを聞いて、だんだんと腹が立ってくる。
なんで俺は、レイティアなんか選んでしまったのか。
強く意識すると、腕に浮かび上がってくる金色の輪を眺める。それを見て、彼女のことを思い出していた。今も精霊の契約で繋がり続けている、アンリエッタのこと。
「はぁ……」
あの時、アンリエッタと一緒になる選択をしていれば、俺は今も幸せだったのか。選択を間違えてしまったせいで、今のような状況に陥ってしまったのか。
どうするべきだったのか。悩み続ける毎日。
「今すぐ、戻りたい……。こんな辺境じゃなく、私のいるべき場所に」
文句を言っているレイティアにうんざりして、後悔する日々を送るだけ。
こんなんじゃ、生きていても意味がない。地獄よりも最悪な場所だと思う。
もう十分に罰を受けたはずだ。こんな毎日が死ぬまで続くだなんて。俺の人生は、なんて最悪なんだろうか。救われないんだろうか。
そこに行ってしまえば、戻ってくることは不可能。生きたまま王都に来ることは、もう二度とないだろう。
唯一の救いは、レイティアが一緒に行くこと。辺境で、夫婦になることを認めてもらった。彼女はかなり嫌がっていたし、巻き込んでしまったのは申し訳ないけれど。仕方ないだろう。
「嫌よ! 私は、家に帰るんだから!」
「ダメだ、レイティア。命令に従わないと」
「お前のせいで! 私は、こんな目に……ッ!」
「本当にすまない」
怒り続けるレイティアに、俺は何度も謝った。それで気が済むのなら、いくらでも謝ろうと思う。
辺境での生活が始まった。
何もすることはない。何もさせてもらえない。自ら死を選ぶことさえ許されない。ただ、時間が過ぎていくのを眺めるだけ。病気か老衰によって、死ぬまで待つだけの日々。
横で文句を言い続けるレイティア。もうそろそろ、受け入れてもいいんじゃないのか。文句を言ったって無駄なんだから。
「こんな生活、耐えられない! 私は、もっと優雅で華やかな生活をしたいのに!」
「そんなこと言っても、どうしようもないじゃないか。ここで一生を過ごさないといけないんだから」
「うるさい! お前のせいで、私は……!」
聞かされ続けた言葉。もう何度も繰り返して、俺は責められ続ける。聞き飽きた。まだ俺は、謝らないといけないのか? もう十分に謝ったが。
簡素な結婚式を行った。俺の思い出にある結婚式と比べたら、とんでもなく質素。だけど何もしないより全然マシで、用意してもらったのが本当に嬉しかった。
それなのに、レイティアは終始不機嫌な様子。
「せっかく用意してもらったのに、その顔はやめてくれ」
「は? こんな結婚式、意味ないじゃない! 私が望んでいるものと違うのよ!」
この時から、レイティアに対する申し訳ない気持ちは一気に薄れていった。
それからも、文句を言い続けるレイティア。言っても仕方ないのに、言い続ける。それを聞いて、だんだんと腹が立ってくる。
なんで俺は、レイティアなんか選んでしまったのか。
強く意識すると、腕に浮かび上がってくる金色の輪を眺める。それを見て、彼女のことを思い出していた。今も精霊の契約で繋がり続けている、アンリエッタのこと。
「はぁ……」
あの時、アンリエッタと一緒になる選択をしていれば、俺は今も幸せだったのか。選択を間違えてしまったせいで、今のような状況に陥ってしまったのか。
どうするべきだったのか。悩み続ける毎日。
「今すぐ、戻りたい……。こんな辺境じゃなく、私のいるべき場所に」
文句を言っているレイティアにうんざりして、後悔する日々を送るだけ。
こんなんじゃ、生きていても意味がない。地獄よりも最悪な場所だと思う。
もう十分に罰を受けたはずだ。こんな毎日が死ぬまで続くだなんて。俺の人生は、なんて最悪なんだろうか。救われないんだろうか。
1,765
お気に入りに追加
2,942
あなたにおすすめの小説

思い出してしまったのです
月樹《つき》
恋愛
同じ姉妹なのに、私だけ愛されない。
妹のルルだけが特別なのはどうして?
婚約者のレオナルド王子も、どうして妹ばかり可愛がるの?
でもある時、鏡を見て思い出してしまったのです。
愛されないのは当然です。
だって私は…。

聖女の力を失ったと言われて王太子様から婚約破棄の上国外追放を命じられましたが、恐ろしい魔獣の国だと聞かされていた隣国で溺愛されています
綾森れん
恋愛
「力を失った聖女などいらない。お前との婚約は破棄する!」
代々、聖女が王太子と結婚してきた聖ラピースラ王国。
現在の聖女レイチェルの祈りが役に立たないから聖騎士たちが勝てないのだと責められ、レイチェルは国外追放を命じられてしまった。
聖堂を出ると王都の民衆に石を投げられる。
「お願い、やめて!」
レイチェルが懇願したとき不思議な光が彼女を取り巻き、レイチェルは転移魔法で隣国に移動してしまう。
恐ろしい魔獣の国だと聞かされていた隣国で、レイチェルはなぜか竜人の盟主から溺愛される。
(本作は小説家になろう様に掲載中の別作品『精霊王の末裔』と同一世界観ですが、200年前の物語なので未読でも一切問題ありません!)

まったく心当たりのない理由で婚約破棄されるのはいいのですが、私は『精霊のいとし子』ですよ……?
空月
恋愛
精霊信仰の盛んなクレセント王国。
その王立学園の一大イベント・舞踏会の場で、アリシアは突然婚約破棄を言い渡された。
まったく心当たりのない理由をつらつらと言い連ねられる中、アリシアはとある理由で激しく動揺するが、そこに現れたのは──。


義妹が聖女を引き継ぎましたが無理だと思います
成行任世
恋愛
稀少な聖属性を持つ義妹が聖女の役も婚約者も引き継ぐ(奪う)というので聖女の祈りを義妹に託したら王都が壊滅の危機だそうですが、私はもう聖女ではないので知りません。

夫の告白に衝撃「家を出て行け!」幼馴染と再婚するから子供も置いて出ていけと言われた。
window
恋愛
伯爵家の長男レオナルド・フォックスと公爵令嬢の長女イリス・ミシュランは結婚した。
三人の子供に恵まれて平穏な生活を送っていた。
だがその日、夫のレオナルドの言葉で幸せな家庭は崩れてしまった。
レオナルドは幼馴染のエレナと再婚すると言い妻のイリスに家を出て行くように言う。
イリスは驚くべき告白に動揺したような表情になる。
子供の親権も放棄しろと言われてイリスは戸惑うことばかりでどうすればいいのか分からなくて混乱した。

私を売女と呼んだあなたの元に戻るはずありませんよね?
ミィタソ
恋愛
アインナーズ伯爵家のレイナは、幼い頃からリリアナ・バイスター伯爵令嬢に陰湿ないじめを受けていた。
レイナには、親同士が決めた婚約者――アインス・ガルタード侯爵家がいる。
アインスは、その艶やかな黒髪と怪しい色気を放つ紫色の瞳から、令嬢の間では惑わしのアインス様と呼ばれるほど人気があった。
ある日、パーティに参加したレイナが一人になると、子爵家や男爵家の令嬢を引き連れたリリアナが現れ、レイナを貶めるような酷い言葉をいくつも投げかける。
そして、事故に見せかけるようにドレスの裾を踏みつけられたレイナは、転んでしまう。
上まで避けたスカートからは、美しい肌が見える。
「売女め、婚約は破棄させてもらう!」

なんでも思い通りにしないと気が済まない妹から逃げ出したい
木崎優
恋愛
「君には大変申し訳なく思っている」
私の婚約者はそう言って、心苦しそうに顔を歪めた。「私が悪いの」と言いながら瞳を潤ませている、私の妹アニエスの肩を抱きながら。
アニエスはいつだって私の前に立ちはだかった。
これまで何ひとつとして、私の思い通りになったことはない。すべてアニエスが決めて、両親はアニエスが言うことならと頷いた。
だからきっと、この婚約者の入れ替えも両親は快諾するのだろう。アニエスが決めたのなら間違いないからと。
もういい加減、妹から離れたい。
そう思った私は、魔術師の弟子ノエルに結婚を前提としたお付き合いを申し込んだ。互いに利のある契約として。
だけど弟子だと思ってたその人は実は魔術師で、しかも私を好きだったらしい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる