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第13話 行動の結果 ※ランドリック視点
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パーティーが終わって翌日。俺は、父親に報告しに行く。アンリエッタとの婚約を破棄して、レイティアと新しく婚約を結ぶつもりであることを告げるのだ。
俺の報告を聞いた父親は、激怒した。
「結婚日を発表するパーティーで、アンリエッタ嬢に婚約破棄を告げただとッ!? お前は一体、何をしているんだ!!」
怒鳴り散らす父親に対し、俺は恐れながら答えた。
「い、いや、だって。アンリエッタと結婚しても、上手くいく気がしなかったんだ。レイティアと一緒になった方が幸せになれると思ったんだよ」
俺の言葉を聞いた父親はため息をつく。そして言った。
「それだけじゃない! 精霊の契約を結ぶなんて、迂闊すぎる……。契約書の内容を確認するために、後でバロウクリフ侯爵家に問い合わせる必要があるな」
あごに手を当てて、考え込む父親。そんな深刻になることなのか? ただ、婚約を破棄する事実を証明する書類。確認不足で、慰謝料を支払わないといけなくなった。そこは反省しようと思うけど。
その他に、心配するようなことがあるのか。
「契約書の内容は、さっき俺が説明した通りです。わざわざ、問い合わせる必要などあるんですか?」
「お前の報告など、もう信用できるわけない。見落としている可能性もある。ちゃんと、自分の目で確認しておかないと安心できない」
契約を結んだあとだけど、俺はちゃんと確認した。レイティアも一緒にだ。つまり父は、契約内容を後から改ざんされる可能性があると考えたのか。
しまったな。あの場で、成立済みの契約書は俺が持って帰るべきだったか。契約書は、アンリエッタが持ち帰った。だから父は、俺を信用できないと怒っているのか。
「申し訳ありません。契約書の内容を改ざんされるかもしれないとは、考えてもいませんでした……」
「馬鹿者。精霊の契約を後から改ざんすることなど、不可能。私が疑っているのは、お前の目だ」
素直に謝る俺だが、父親の怒りはまだ収まらないようだ。
「とにかく、お前のような愚か者にメディチ公爵家を継がせるわけにはいかないな。跡継ぎ選びは、一からやり直す」
「そ、そんな! 私に爵位を譲ってくれると言ったではありませんか!?」
「当然だ。こんな大問題を起こされた以上、お前が当主として相応しいとは思えないからな!」
「くっ……」
最悪だ。こんな展開になるなんて予想外だった。長男である俺は、次期当主の座が確実だったのに。それが突然、崩れ去った。婚約を破棄しただけなのに。
「何か文句があるのか? あるなら言ってみろ」
「……」
父親が睨んでくるので、黙り込むしかない。この場で何か言っても、聞いてもらえないだろう。だから今は、何も言わずに受け入れるしかない。悔しいが。
「もう報告することは無いか? なら、さっさと部屋から出ていけ」
「……失礼します」
不機嫌なままの父に、部屋から追い出された。これから俺は、これからどうすればいいのか。
しばらく考えてみたけど、いい案は思いつかなかった。そうだ、レイティアに相談しよう。彼女ならきっと、いいアイデアをくれるはずだ。
俺の報告を聞いた父親は、激怒した。
「結婚日を発表するパーティーで、アンリエッタ嬢に婚約破棄を告げただとッ!? お前は一体、何をしているんだ!!」
怒鳴り散らす父親に対し、俺は恐れながら答えた。
「い、いや、だって。アンリエッタと結婚しても、上手くいく気がしなかったんだ。レイティアと一緒になった方が幸せになれると思ったんだよ」
俺の言葉を聞いた父親はため息をつく。そして言った。
「それだけじゃない! 精霊の契約を結ぶなんて、迂闊すぎる……。契約書の内容を確認するために、後でバロウクリフ侯爵家に問い合わせる必要があるな」
あごに手を当てて、考え込む父親。そんな深刻になることなのか? ただ、婚約を破棄する事実を証明する書類。確認不足で、慰謝料を支払わないといけなくなった。そこは反省しようと思うけど。
その他に、心配するようなことがあるのか。
「契約書の内容は、さっき俺が説明した通りです。わざわざ、問い合わせる必要などあるんですか?」
「お前の報告など、もう信用できるわけない。見落としている可能性もある。ちゃんと、自分の目で確認しておかないと安心できない」
契約を結んだあとだけど、俺はちゃんと確認した。レイティアも一緒にだ。つまり父は、契約内容を後から改ざんされる可能性があると考えたのか。
しまったな。あの場で、成立済みの契約書は俺が持って帰るべきだったか。契約書は、アンリエッタが持ち帰った。だから父は、俺を信用できないと怒っているのか。
「申し訳ありません。契約書の内容を改ざんされるかもしれないとは、考えてもいませんでした……」
「馬鹿者。精霊の契約を後から改ざんすることなど、不可能。私が疑っているのは、お前の目だ」
素直に謝る俺だが、父親の怒りはまだ収まらないようだ。
「とにかく、お前のような愚か者にメディチ公爵家を継がせるわけにはいかないな。跡継ぎ選びは、一からやり直す」
「そ、そんな! 私に爵位を譲ってくれると言ったではありませんか!?」
「当然だ。こんな大問題を起こされた以上、お前が当主として相応しいとは思えないからな!」
「くっ……」
最悪だ。こんな展開になるなんて予想外だった。長男である俺は、次期当主の座が確実だったのに。それが突然、崩れ去った。婚約を破棄しただけなのに。
「何か文句があるのか? あるなら言ってみろ」
「……」
父親が睨んでくるので、黙り込むしかない。この場で何か言っても、聞いてもらえないだろう。だから今は、何も言わずに受け入れるしかない。悔しいが。
「もう報告することは無いか? なら、さっさと部屋から出ていけ」
「……失礼します」
不機嫌なままの父に、部屋から追い出された。これから俺は、これからどうすればいいのか。
しばらく考えてみたけど、いい案は思いつかなかった。そうだ、レイティアに相談しよう。彼女ならきっと、いいアイデアをくれるはずだ。
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