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第8話 お幸せに
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「な、なんでそんな事を……!?」
貴族の身分を放棄する。理解できないという表情で私を見るランドリック。まぁ、そうでしょうね。でも、私にとっては最良の選択。
「貴方と一緒に居る時間は、本当に辛く苦しい日々でした」
「なっ!?」
彼の傲慢な振る舞いを間近で見せつけられて、自分が同じ貴族仲間だと見られるのが本当に嫌だった。そのせいで、貴族という存在まで大嫌いになった。どうにかして私は、その存在から外れたい。ずっと、そう思っていた。
「反吐が出るくらい嫌いな貴方の婚約者で居続けて、面倒が増えないように気を遣い続けて本当に最悪でした」
「……」
思い出すだけでうんざりする。結婚するまでは清いままでいるべきだと説得して、鼻息荒くする彼から逃げ切った。指一本触らせなかったことだけが不幸中の幸い。
たぶん、それの仕返しでもしようと考えて、今回の婚約破棄騒動を巻き起こしたのでしょう。大勢の前で恥をかかせてやろうと考えた。
この状況は、私にとっても都合が良い。そのおかげで、今日集まったパーティーの参加者である貴族たちが証人になってくれる。契約書もあるし、望んでいた展開。
「レイティアも」
「な、なによ!?」
私が声をかけると、友人だった彼女がビクッと反応する。怯えた表情を浮かべて、ランドリックの腕に抱きついている。見せつけるようにしているが、無駄なのにね。
「ランドリックとの秘密の関係を、あんなに漏らしちゃダメじゃない。私に精神的なダメージを与えようとしたつもりのようですが、残念ながら効果はありませんでしたから。切り札は、もっと大事に扱わないと」
「ふ、ふんッ! 強がったって無駄よ。貴女は私にランドリックを奪われた。それが事実よ!」
だから、もとから私はランドリックなんて愛していなかったのに。私にとって無価値なものを奪い取って勝ち誇るレイティアは、本当に滑稽に見えた。私は彼女の言葉を無視して、忠告を続ける。
「それから貴女、ランドリックのことをノロケるたび醜悪な顔になっていましたよ。気付いていました?」
「ッ!?」
嘲笑交じりに言うと、レイティアの顔が真っ赤に染まった。今まで私が被ってきた屈辱を、少しは感じたかしら? そうだったら、少しは溜飲が下がるのだけれど。
今までやられたことを少しぐらいは反撃しようと思って言ってみたけれど、あまり気分は晴れないわね。私には向いていない。やはり、関わらないようにするのが一番かしら。
「でも、そんな最悪な日々も今日で終わり。清々しました」
ニコニコと、最上級の笑顔で言い切る。今の私は、本当に気分が良くて仕方がない。これから先の未来を考えると、楽しみで胸が躍りそうになる。
これでようやく解放される。この日のために頑張ってきたと言ってもいい。
さぁ、ここからが私の新しい人生の始まりだ!
「婚約破棄してくれて本当にありがとう。私、とっても幸せです」
晴れやかな気分で、噛みしめるように言った。やりきった。ランドリックに婚約を破棄してもらうことに成功した。この時を待っていたのよ。
「貴方たちの今後なんて私にとって、どうでもいいけれど。一応、言っておきます」
「「!?」」
近寄って、反射的に後ずさった二人の手を無理やり掴んだ。
「婚約おめでとう。どうぞ、お幸せに。2人で一生一緒にね」
「「……」」
2人の婚約を祝福する。言うことだけ言って、私はパーティー会場を立ち去った。もう、この場に居たくないから。背後でへたり込むランドリックとレイティアの姿なんて、一度も視界に入れることなく帰った。
貴族の身分を放棄する。理解できないという表情で私を見るランドリック。まぁ、そうでしょうね。でも、私にとっては最良の選択。
「貴方と一緒に居る時間は、本当に辛く苦しい日々でした」
「なっ!?」
彼の傲慢な振る舞いを間近で見せつけられて、自分が同じ貴族仲間だと見られるのが本当に嫌だった。そのせいで、貴族という存在まで大嫌いになった。どうにかして私は、その存在から外れたい。ずっと、そう思っていた。
「反吐が出るくらい嫌いな貴方の婚約者で居続けて、面倒が増えないように気を遣い続けて本当に最悪でした」
「……」
思い出すだけでうんざりする。結婚するまでは清いままでいるべきだと説得して、鼻息荒くする彼から逃げ切った。指一本触らせなかったことだけが不幸中の幸い。
たぶん、それの仕返しでもしようと考えて、今回の婚約破棄騒動を巻き起こしたのでしょう。大勢の前で恥をかかせてやろうと考えた。
この状況は、私にとっても都合が良い。そのおかげで、今日集まったパーティーの参加者である貴族たちが証人になってくれる。契約書もあるし、望んでいた展開。
「レイティアも」
「な、なによ!?」
私が声をかけると、友人だった彼女がビクッと反応する。怯えた表情を浮かべて、ランドリックの腕に抱きついている。見せつけるようにしているが、無駄なのにね。
「ランドリックとの秘密の関係を、あんなに漏らしちゃダメじゃない。私に精神的なダメージを与えようとしたつもりのようですが、残念ながら効果はありませんでしたから。切り札は、もっと大事に扱わないと」
「ふ、ふんッ! 強がったって無駄よ。貴女は私にランドリックを奪われた。それが事実よ!」
だから、もとから私はランドリックなんて愛していなかったのに。私にとって無価値なものを奪い取って勝ち誇るレイティアは、本当に滑稽に見えた。私は彼女の言葉を無視して、忠告を続ける。
「それから貴女、ランドリックのことをノロケるたび醜悪な顔になっていましたよ。気付いていました?」
「ッ!?」
嘲笑交じりに言うと、レイティアの顔が真っ赤に染まった。今まで私が被ってきた屈辱を、少しは感じたかしら? そうだったら、少しは溜飲が下がるのだけれど。
今までやられたことを少しぐらいは反撃しようと思って言ってみたけれど、あまり気分は晴れないわね。私には向いていない。やはり、関わらないようにするのが一番かしら。
「でも、そんな最悪な日々も今日で終わり。清々しました」
ニコニコと、最上級の笑顔で言い切る。今の私は、本当に気分が良くて仕方がない。これから先の未来を考えると、楽しみで胸が躍りそうになる。
これでようやく解放される。この日のために頑張ってきたと言ってもいい。
さぁ、ここからが私の新しい人生の始まりだ!
「婚約破棄してくれて本当にありがとう。私、とっても幸せです」
晴れやかな気分で、噛みしめるように言った。やりきった。ランドリックに婚約を破棄してもらうことに成功した。この時を待っていたのよ。
「貴方たちの今後なんて私にとって、どうでもいいけれど。一応、言っておきます」
「「!?」」
近寄って、反射的に後ずさった二人の手を無理やり掴んだ。
「婚約おめでとう。どうぞ、お幸せに。2人で一生一緒にね」
「「……」」
2人の婚約を祝福する。言うことだけ言って、私はパーティー会場を立ち去った。もう、この場に居たくないから。背後でへたり込むランドリックとレイティアの姿なんて、一度も視界に入れることなく帰った。
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