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第4話 婚約相手に対する不満 ※ランドリック視点

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 婚約相手のアンリエッタについて、いつも気に入らなかった。

 メディチ公爵家のために親が決めたこと。だが、こんな女と結婚しないといけないなんて、冗談じゃないと思っていた。

 とにかく固すぎる。貴族の令嬢とはこういうものなのかもしれないけど、それでもアンリエッタは融通が利かなすぎだろう。婚前の男女が寝るなんて破廉恥だと言い、キスすら許してくれなかった。

 結婚するまで許してくれないなんて、普通は我慢できない。俺を焦らして、優位に立とうなんて考えていそうだな。ちょっと美人だからって、いい気になりやがって。その態度が気に食わない。

 そもそも、あの女は俺に対する敬意が足りない。相性も悪く、性格だって合わない。そんな女と生涯を共にする? 冗談じゃない! 

 だから俺は、別の女を求めることにした。そして出会ったのが、レイティア。

 彼女は、アンリエッタの友だちらしい。だがアイツと違って、とても可愛かった。相性がよく、ノリも良かった。俺の言うことを素直に聞いて、何でもしてくれた。

 最初は遊びだったし、適当に飽きたら別れようと思っていたのだが、だんだん本気になった。彼女のような女性を、生涯を共に歩む伴侶として迎えたいと思った。

 自分が愛する女性は、自分で選びたい。親に決められた相手ではなく、自分の意志で。それが自然だと思った。そうするべきだと。

 だから、プロポーズした。喜んで受けてくれたレイティア。そこからは、どんどん愛が燃え上がっていった。

 これからも、俺は彼女と一緒に生きていく。

 問題は、アンリエッタをどう排除するのか。彼女との婚約を破棄するタイミングはどうするか。結婚の予定日まで決まって、焦っていた。このままじゃ、結婚しないといけなくなる。

 レイティアに相談してみたら、いいアイデアをくれた。

「既成事実を作ればいいわ」
「どういうことだ?」
「みんなが見ている前で、婚約を破棄してしまえばいいのよ! そうすれば、みんなが認めてくれるでしょ!?」

 なるほど、それは名案だ。確かにそれなら、少し強引だけど婚約を破棄することができるかも。先に言ってしまえば、もう撤回はできないだろう。

 よし、それでいこう! ついでに、愛するレイティアのことも話してしまった方がいいか。そっちの方がインパクトがあるから。

 俺たちは、アンリエッタとの婚約を破棄するための作戦を練った。これで邪魔者が排除できる。俺は、本当に愛しているレイティアと一緒に幸せな生活を手に入れるんだ。
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