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第16話 噂の新人パーティー ※第三者視点
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「くっ、ここまでか」
ダメージを受けすぎた。目前に迫ったモンスターを見つめながら、中年の冒険者は覚悟を決めるしかなかった。半ばから折れた剣を地面に立てて片膝をつき、ボロボロになった鎧がどっしりと冒険者の全身に重くのしかかる。
動けない。目の前の敵が、俺を狙っている。いつ攻撃を仕掛けてくるか、敵の気分次第。次の瞬間には、自分の首が飛んでいてもおかしくない状況だった。
何とか今まで戦い抜いたが、もう無理だ。戦えない。仲間たちは倒れて動けない。まだ生きているのか。生きていてほしい。
だが、状況は絶望的。生きていたとしても……。
さらに数が増え続けるモンスターの大群を見て、熟練の冒険者の心が折れる。俺の人生はここまで。生き残ることを諦めかけた。その時。
「大丈夫ですか?」
「っ!?」
聞こえてきたのは若い女性の声。ここは危険だから逃げるんだと、伝えなければ。体は動かない。だけど、まだ声は出せる。
「にげ、っ!?」
口を開こうとしたが、目の前が光った。次の瞬間、感じていた痛みが薄れていく。動けなかった体が、また動くようになる。
「え。これは……」
「エミリー、けが人の治療を。ナディーヌは前線に。ジャメルは周囲の警戒ね」
「「「了解」」」
男は目を見開き、ぽかんと口を開けて呆然とする。何が起きているのか理解していない彼を放置して、駆けつけた者たちが動き出す。指示を受けて、それぞれの役目を果たしていく。
「う、ううん」
「どう、なって……」
「な!?」
驚きの連続。モンスターの攻撃を受けて倒れていた冒険者たちが、目を覚ました。それを見た時、彼は理解した。魔法で回復して、助けてくれたんだと。
死にかけていた者を回復する、上級の魔法だ。もしかして彼女たちは、神殿の連中なのかと予想した。冒険者の男は駆けつけてくれた者たちの様子を観察して、正体について考える。彼女たちは、誰なのか。
神殿の連中であれば、後で助けたお礼に高額の報酬を請求してくるかもしれない。でも、死にかけていたところを助けてもらったのも事実だから。報酬を請求されても仕方ないか。払うしかないのか。
「……すごい」
「我々が苦労した敵を、あんなに簡単に倒している」
「あっという間だ」
「助けに入ったら、邪魔になるか」
集まっていたモンスターの大群を次々と殲滅して、奇襲にも対処していた。とても戦い慣れている様子。勢いは完全に彼女たちにあった。その一方的な戦いを、熟練の冒険者パーティーは見ているだけ。助けに入っても邪魔になると分かっていたから。
しばらくして、戦闘が終わる。駆けつけた者たちの中に負傷した人はゼロだった。しかも、死の危機が迫っていた他の冒険者を回復して、守りながら完全勝利である。
「危ない所を助けてくれて、感謝する」
熟練冒険者の男が頭を下げる。それに釣られて、彼の仲間の冒険者たちも頭を下げた。本当に危なかった。あのまま助けがなければ。死んでいた。命を救われたと、助けられた者たちは心の底から感謝した。
冒険者の活動を続けてきて、そんな経験は初めてだった。
冒険者は基本的に自己責任である。顔見知りであれば助けることもあるかもしれないが、見ず知らずの人を助けられるほど余裕のある者は少ない。しかし、駆けつけてくれた者たちは違った。
「間に合って、よかったです」
そう答えたのは、美しい美少女だった。まだ若いのに堂々としている。凛々しくも優しい雰囲気があり、強者のオーラを感じた。
そんな彼女の姿を見て、熟練の冒険者の男は思い出した。最近、王都で話題になっている新人冒険者について。
新人なのに、数多くの依頼をこなしているらしい。しかも、あのアンクティワン商会が後ろ盾になっていて、その活躍は凄まじいもの。
噂によると、その新人たちは困っている冒険者を見かけたら助けるらしい。今までの冒険者には居なかった、神殿の聖女のような存在だと。
しかも、助けてもらったお礼の報酬は受け取らず。次に困っている人を見かけたら、貴方が助けてください。そう言って、去っていくそうだ。
一部の人間は、人気集めをしているだけだと言う。だが、助けられた者たちは本当に感謝して、言われた通り困っている者を助けるようになった。その輪が、どんどん広がっている。
冒険者たちの雰囲気が、その新人たちの登場によってガラッと変わった。
最近は、王都周辺に生息しているモンスターが例年にないほど活発化しており、犠牲者も出ていた。助け合いがなければ、もっと多くの命が失われていたかもしれない。そんな状況で、他の人を助けるなんて。
「まだ奥に、モンスターが集まっているかもしれない。対処しておかないと、王都の方に迫って来るかもしれないぞ」
「それは、危ないわね」
周囲を警戒していた男性の報告を聞いて、その場に居た全員の表情が引き締まる。もしそうなったら、大変なことになる。
「我々は、対処に向かいます。皆さんは、王都に戻って報告を」
「いや、しかしっ!」
自分たちも戦える。そう言おうとしたが、武器と防具の状態が悪く、全滅寸前だったことを思い出して口を閉じた。そして、彼女の提案を受け入れる。
「……わかった。俺たちは、急いで王都に戻る。ギルドへの報告も引き受けた」
「おねがいします」
熟練の冒険者パーティーは、後を任せて帰還する。不甲斐ない自分たちに代わって、強者である彼女たちが戦ってくれていることに感謝しながら。
別れる寸前、熟練の冒険者は聞いた。
「助けてもらった感謝のお礼は、君たちが無事王都に戻ってきてから支払えば良いのか?」
報酬はどうするのか。彼女は振り返り、にこりと微笑んで口を開く。
「お礼は、いりません」
「いや、しかし。それでは」
噂に聞いていた通りの返答。だけど、それじゃあ困る。どうやって感謝を伝えればいいのか。
「それなら、困っている人を見かけたら、今回のように貴方たちが助けてあげてください」
その言葉を聞いたとき、彼女たちが王都で噂になっている冒険者パーティーであることを確信した。
やはり彼女たちが、そうなのか。
「っ! わかった! 君たちは強いみたいだから大丈夫だろうけど、くれぐれも気をつけて」
「はい。そちらも、お気をつけて」
そう言って、彼女たちは対処に向かった。その姿を見送って、熟練の冒険者たちも王都へと急ぎ戻る。
ダメージを受けすぎた。目前に迫ったモンスターを見つめながら、中年の冒険者は覚悟を決めるしかなかった。半ばから折れた剣を地面に立てて片膝をつき、ボロボロになった鎧がどっしりと冒険者の全身に重くのしかかる。
動けない。目の前の敵が、俺を狙っている。いつ攻撃を仕掛けてくるか、敵の気分次第。次の瞬間には、自分の首が飛んでいてもおかしくない状況だった。
何とか今まで戦い抜いたが、もう無理だ。戦えない。仲間たちは倒れて動けない。まだ生きているのか。生きていてほしい。
だが、状況は絶望的。生きていたとしても……。
さらに数が増え続けるモンスターの大群を見て、熟練の冒険者の心が折れる。俺の人生はここまで。生き残ることを諦めかけた。その時。
「大丈夫ですか?」
「っ!?」
聞こえてきたのは若い女性の声。ここは危険だから逃げるんだと、伝えなければ。体は動かない。だけど、まだ声は出せる。
「にげ、っ!?」
口を開こうとしたが、目の前が光った。次の瞬間、感じていた痛みが薄れていく。動けなかった体が、また動くようになる。
「え。これは……」
「エミリー、けが人の治療を。ナディーヌは前線に。ジャメルは周囲の警戒ね」
「「「了解」」」
男は目を見開き、ぽかんと口を開けて呆然とする。何が起きているのか理解していない彼を放置して、駆けつけた者たちが動き出す。指示を受けて、それぞれの役目を果たしていく。
「う、ううん」
「どう、なって……」
「な!?」
驚きの連続。モンスターの攻撃を受けて倒れていた冒険者たちが、目を覚ました。それを見た時、彼は理解した。魔法で回復して、助けてくれたんだと。
死にかけていた者を回復する、上級の魔法だ。もしかして彼女たちは、神殿の連中なのかと予想した。冒険者の男は駆けつけてくれた者たちの様子を観察して、正体について考える。彼女たちは、誰なのか。
神殿の連中であれば、後で助けたお礼に高額の報酬を請求してくるかもしれない。でも、死にかけていたところを助けてもらったのも事実だから。報酬を請求されても仕方ないか。払うしかないのか。
「……すごい」
「我々が苦労した敵を、あんなに簡単に倒している」
「あっという間だ」
「助けに入ったら、邪魔になるか」
集まっていたモンスターの大群を次々と殲滅して、奇襲にも対処していた。とても戦い慣れている様子。勢いは完全に彼女たちにあった。その一方的な戦いを、熟練の冒険者パーティーは見ているだけ。助けに入っても邪魔になると分かっていたから。
しばらくして、戦闘が終わる。駆けつけた者たちの中に負傷した人はゼロだった。しかも、死の危機が迫っていた他の冒険者を回復して、守りながら完全勝利である。
「危ない所を助けてくれて、感謝する」
熟練冒険者の男が頭を下げる。それに釣られて、彼の仲間の冒険者たちも頭を下げた。本当に危なかった。あのまま助けがなければ。死んでいた。命を救われたと、助けられた者たちは心の底から感謝した。
冒険者の活動を続けてきて、そんな経験は初めてだった。
冒険者は基本的に自己責任である。顔見知りであれば助けることもあるかもしれないが、見ず知らずの人を助けられるほど余裕のある者は少ない。しかし、駆けつけてくれた者たちは違った。
「間に合って、よかったです」
そう答えたのは、美しい美少女だった。まだ若いのに堂々としている。凛々しくも優しい雰囲気があり、強者のオーラを感じた。
そんな彼女の姿を見て、熟練の冒険者の男は思い出した。最近、王都で話題になっている新人冒険者について。
新人なのに、数多くの依頼をこなしているらしい。しかも、あのアンクティワン商会が後ろ盾になっていて、その活躍は凄まじいもの。
噂によると、その新人たちは困っている冒険者を見かけたら助けるらしい。今までの冒険者には居なかった、神殿の聖女のような存在だと。
しかも、助けてもらったお礼の報酬は受け取らず。次に困っている人を見かけたら、貴方が助けてください。そう言って、去っていくそうだ。
一部の人間は、人気集めをしているだけだと言う。だが、助けられた者たちは本当に感謝して、言われた通り困っている者を助けるようになった。その輪が、どんどん広がっている。
冒険者たちの雰囲気が、その新人たちの登場によってガラッと変わった。
最近は、王都周辺に生息しているモンスターが例年にないほど活発化しており、犠牲者も出ていた。助け合いがなければ、もっと多くの命が失われていたかもしれない。そんな状況で、他の人を助けるなんて。
「まだ奥に、モンスターが集まっているかもしれない。対処しておかないと、王都の方に迫って来るかもしれないぞ」
「それは、危ないわね」
周囲を警戒していた男性の報告を聞いて、その場に居た全員の表情が引き締まる。もしそうなったら、大変なことになる。
「我々は、対処に向かいます。皆さんは、王都に戻って報告を」
「いや、しかしっ!」
自分たちも戦える。そう言おうとしたが、武器と防具の状態が悪く、全滅寸前だったことを思い出して口を閉じた。そして、彼女の提案を受け入れる。
「……わかった。俺たちは、急いで王都に戻る。ギルドへの報告も引き受けた」
「おねがいします」
熟練の冒険者パーティーは、後を任せて帰還する。不甲斐ない自分たちに代わって、強者である彼女たちが戦ってくれていることに感謝しながら。
別れる寸前、熟練の冒険者は聞いた。
「助けてもらった感謝のお礼は、君たちが無事王都に戻ってきてから支払えば良いのか?」
報酬はどうするのか。彼女は振り返り、にこりと微笑んで口を開く。
「お礼は、いりません」
「いや、しかし。それでは」
噂に聞いていた通りの返答。だけど、それじゃあ困る。どうやって感謝を伝えればいいのか。
「それなら、困っている人を見かけたら、今回のように貴方たちが助けてあげてください」
その言葉を聞いたとき、彼女たちが王都で噂になっている冒険者パーティーであることを確信した。
やはり彼女たちが、そうなのか。
「っ! わかった! 君たちは強いみたいだから大丈夫だろうけど、くれぐれも気をつけて」
「はい。そちらも、お気をつけて」
そう言って、彼女たちは対処に向かった。その姿を見送って、熟練の冒険者たちも王都へと急ぎ戻る。
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