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第4話 聖女の騎士 ※元女騎士ナディーヌ視点
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私の名前はナディーヌ。カプレ男爵家の四女である。
男爵家の四女という平民と地位の変わらないような私が、聖女の騎士という任務を授かった。本来であれば、もっと上の権威のある人間が就くべき役目。それを王子が特権を乱用して、無理矢理私に役目を与えてきたのだ。
目的は、つまらない嫌がらせ。
聖女ノエラ様は、素晴らしい人だった。私のような身分が低く頼りない女なんかを騎士として寄こされても、嫌な顔一つせず笑顔で迎えてくれた。
これまでに彼女は、多くの人々を助けてきた。席代最高と言われている聖女の力を使って、人を救うことができる存在。まさに、聖女の名に相応しい人物だった。
それなのに、神殿や婚約相手であるエリック王子のノエラ様に対する扱いはとても酷いものであった。はたから見ていても、気の毒に思うくらい。
神殿の大神官たちは、彼女の力をとことん利用した。数多くの仕事を押し付けて、成果は自分たちのモノに。出世や利益のために、彼女をいいように使っていたのだ。
まるで道具のように扱う彼らを見て、私は憤りを感じていた。神殿の連中に命じられて、酷使されるノエラ様が可哀想でならなかった。
その様子を私は、横で見ていることしかできなかった。ノエラ様の騎士である私が助けることが出来なかった。それなのに、怒りを露わにしてしまう。
「この仕事の量は、いくらなんでも多すぎます! 神殿の連中は押し付けすぎです! これでは、ノエラ様が倒れてしまいます。どうして、拒否しないのですか!?」
「困っている人が居るのだから、可能な限り助けたいのです。それが、聖女としての使命ですからね」
私よりも怒るべき人が冷静だった。ノエラ様は、微笑むだけ。
あまりにも健気なその姿を見ていると、涙が出そうになるほど胸が苦しくなった。私は、何も言えなかった。困っている人々を助けるために彼女は頑張っている。
ならば私は、彼女の負担を少しでも減らすためにも騎士としての実力を磨き続けるしかない。そんな思いから、私は日々鍛錬を続けていた。いつか、彼女を助けられるように。
聖女の騎士として、ふさわしい実力を身に着ける。そして、彼女を騎士として守り続ける。そう、決意した。
ある日、私はノエラ様に問いかけられた。これからも、私と一緒に来てくれますかと。
「もちろん! 私は、いつまでもノエラ様と一緒に居続けます!」
迷わず即答する。すると、ノエラ様は嬉しそうな笑みを浮かべた。それから再び、真剣な表情になって聞かれる。
「この世界から、私の記憶を消し去るつもりです。その時、一緒に貴女の存在も消す可能性があります。それでも、一緒に来てくれる?」
今度は、真剣に考える。記憶を消す。それは、どういう意味なのか理解するために時間が必要だった。正しく理解するのは難しい。
なぜ、そんなことをするのか。どのような方法で実行するのか。分からないことが多すぎる。だけど、答えはすでに決まっている。
「もちろん、ノエラ様と一緒に行きます」
「ありがとう、ナディーヌ。そう言ってくれて、とても嬉しいわ。これからも一緒に頑張りましょうね」
「はい!」
こうして私は、ノエラ様の作戦の一員に加えられたのであった。
男爵家の四女という平民と地位の変わらないような私が、聖女の騎士という任務を授かった。本来であれば、もっと上の権威のある人間が就くべき役目。それを王子が特権を乱用して、無理矢理私に役目を与えてきたのだ。
目的は、つまらない嫌がらせ。
聖女ノエラ様は、素晴らしい人だった。私のような身分が低く頼りない女なんかを騎士として寄こされても、嫌な顔一つせず笑顔で迎えてくれた。
これまでに彼女は、多くの人々を助けてきた。席代最高と言われている聖女の力を使って、人を救うことができる存在。まさに、聖女の名に相応しい人物だった。
それなのに、神殿や婚約相手であるエリック王子のノエラ様に対する扱いはとても酷いものであった。はたから見ていても、気の毒に思うくらい。
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まるで道具のように扱う彼らを見て、私は憤りを感じていた。神殿の連中に命じられて、酷使されるノエラ様が可哀想でならなかった。
その様子を私は、横で見ていることしかできなかった。ノエラ様の騎士である私が助けることが出来なかった。それなのに、怒りを露わにしてしまう。
「この仕事の量は、いくらなんでも多すぎます! 神殿の連中は押し付けすぎです! これでは、ノエラ様が倒れてしまいます。どうして、拒否しないのですか!?」
「困っている人が居るのだから、可能な限り助けたいのです。それが、聖女としての使命ですからね」
私よりも怒るべき人が冷静だった。ノエラ様は、微笑むだけ。
あまりにも健気なその姿を見ていると、涙が出そうになるほど胸が苦しくなった。私は、何も言えなかった。困っている人々を助けるために彼女は頑張っている。
ならば私は、彼女の負担を少しでも減らすためにも騎士としての実力を磨き続けるしかない。そんな思いから、私は日々鍛錬を続けていた。いつか、彼女を助けられるように。
聖女の騎士として、ふさわしい実力を身に着ける。そして、彼女を騎士として守り続ける。そう、決意した。
ある日、私はノエラ様に問いかけられた。これからも、私と一緒に来てくれますかと。
「もちろん! 私は、いつまでもノエラ様と一緒に居続けます!」
迷わず即答する。すると、ノエラ様は嬉しそうな笑みを浮かべた。それから再び、真剣な表情になって聞かれる。
「この世界から、私の記憶を消し去るつもりです。その時、一緒に貴女の存在も消す可能性があります。それでも、一緒に来てくれる?」
今度は、真剣に考える。記憶を消す。それは、どういう意味なのか理解するために時間が必要だった。正しく理解するのは難しい。
なぜ、そんなことをするのか。どのような方法で実行するのか。分からないことが多すぎる。だけど、答えはすでに決まっている。
「もちろん、ノエラ様と一緒に行きます」
「ありがとう、ナディーヌ。そう言ってくれて、とても嬉しいわ。これからも一緒に頑張りましょうね」
「はい!」
こうして私は、ノエラ様の作戦の一員に加えられたのであった。
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