13 / 19
第13話 大事なお話
しおりを挟む
「ようこそおいでくださいました、ダルセル様」
「急な訪問にも関わらず、真摯な対応を感謝するコルネリア殿」
応接室に入ってきたダルセル様を、緊張しながら迎える。どうしても、あの光景が脳裏によぎって、身体がこわばる。なんとか、彼には気付かれないように隠す。
今のところ、とても紳士的な対応だったから。そんなに危険視する必要はないかもしれない。分かっているけれど、身体は緊張してしまう。
大丈夫。私は、何もしていない。いきなり魔術を放たれるような事は何も。部屋の中には、私達の他に使用人達も控えている。こんな場所で、いきなり殺されることはないはず。
ダルセル様と会うのは、今回が初めてだ。今まで、顔を合わせて事もない。彼との接点がない。だけど私は、一方的に彼のことを知っていた。
あの光景で見た人物と一緒だった。私を魔術で焼き殺した、ダルセル様。
「それで本日は、どういったご用件なのでしょうか?」
向かい合って座り、要件を聞く。なぜ私に会いに来たのか。するとダルセル様は、いきなりこんな事を言った。
「そんなに緊張しなくても良い。この場で君に向かって、魔術を放ったりはしない」
「……ッ!」
思わず身構えてしまう。なぜ彼が、そんな事を言ったのか。
「やはり、君も知っているようだね」
「……一体、何の話ですか?」
「君が危惧している、未来についての話だよ」
「なぜ、それを?」
まさか、私以外にもあの光景について知っている人物が居るなんて思わなかった。観念して、問いかける。
もしかして私と同じようにダルセル様も、いくつもの可能性を見たのかしら。
「この話は、他の誰にも聞かれたくない。なので、彼らを下がらせてくれ」
2人だけで話をするなんて、危ないかもしれない。だが、使用人を下がらせないとダルセル様は話してくれないようだ。
「……わかりましたわ。キリラン、皆と一緒に下がっていて」
「了解しました、お嬢様。ご用があれば、すぐにお呼び下さい」
少し考えてから、ダルセル様のことを信じてみることにした。まだ私は、彼を怖いと思っている。だけど、あの光景について誰かと話したかった。ダルセル様は、何か知っているようだから。
このままずっと1人で、あの光景について抱えきれることは出来ない。
使用人達は何も聞かずに指示を聞いて、部屋から出ていってくれた。これで部屋に私達2人だけになった。
「それでは、話をしよう。王子の婚約破棄から始まった、色々な出来事について」
「はい。聞かせて下さい」
それからダルセル様は、説明してくれた。どうやら、私とは少し事情が違うようだけれど、彼もあの光景について色々と知っていた。
「急な訪問にも関わらず、真摯な対応を感謝するコルネリア殿」
応接室に入ってきたダルセル様を、緊張しながら迎える。どうしても、あの光景が脳裏によぎって、身体がこわばる。なんとか、彼には気付かれないように隠す。
今のところ、とても紳士的な対応だったから。そんなに危険視する必要はないかもしれない。分かっているけれど、身体は緊張してしまう。
大丈夫。私は、何もしていない。いきなり魔術を放たれるような事は何も。部屋の中には、私達の他に使用人達も控えている。こんな場所で、いきなり殺されることはないはず。
ダルセル様と会うのは、今回が初めてだ。今まで、顔を合わせて事もない。彼との接点がない。だけど私は、一方的に彼のことを知っていた。
あの光景で見た人物と一緒だった。私を魔術で焼き殺した、ダルセル様。
「それで本日は、どういったご用件なのでしょうか?」
向かい合って座り、要件を聞く。なぜ私に会いに来たのか。するとダルセル様は、いきなりこんな事を言った。
「そんなに緊張しなくても良い。この場で君に向かって、魔術を放ったりはしない」
「……ッ!」
思わず身構えてしまう。なぜ彼が、そんな事を言ったのか。
「やはり、君も知っているようだね」
「……一体、何の話ですか?」
「君が危惧している、未来についての話だよ」
「なぜ、それを?」
まさか、私以外にもあの光景について知っている人物が居るなんて思わなかった。観念して、問いかける。
もしかして私と同じようにダルセル様も、いくつもの可能性を見たのかしら。
「この話は、他の誰にも聞かれたくない。なので、彼らを下がらせてくれ」
2人だけで話をするなんて、危ないかもしれない。だが、使用人を下がらせないとダルセル様は話してくれないようだ。
「……わかりましたわ。キリラン、皆と一緒に下がっていて」
「了解しました、お嬢様。ご用があれば、すぐにお呼び下さい」
少し考えてから、ダルセル様のことを信じてみることにした。まだ私は、彼を怖いと思っている。だけど、あの光景について誰かと話したかった。ダルセル様は、何か知っているようだから。
このままずっと1人で、あの光景について抱えきれることは出来ない。
使用人達は何も聞かずに指示を聞いて、部屋から出ていってくれた。これで部屋に私達2人だけになった。
「それでは、話をしよう。王子の婚約破棄から始まった、色々な出来事について」
「はい。聞かせて下さい」
それからダルセル様は、説明してくれた。どうやら、私とは少し事情が違うようだけれど、彼もあの光景について色々と知っていた。
78
お気に入りに追加
2,234
あなたにおすすめの小説
[完結]婚約破棄ですか? 困りましたね。え、別の方と婚約? どなたですか?
日向はび
恋愛
未来の妃となるべく必死で努力してきたアリーシャ。
そんなアリーシャに婚約破棄が言い渡される。アリーシャが思ったのは、手にした知識をこれからどう活かしていけばいいのかということだった。困ったアリーシャに、国王はある提案をする。
婚約破棄ですか? ならば国王に溺愛されている私が断罪致します。
久方
恋愛
「エミア・ローラン! お前との婚約を破棄する!」
煌びやかな舞踏会の真っ最中に突然、婚約破棄を言い渡されたエミア・ローラン。
その理由とやらが、とてつもなくしょうもない。
だったら良いでしょう。
私が綺麗に断罪して魅せますわ!
令嬢エミア・ローランの考えた秘策とは!?
乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?
シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。
……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。
婚約破棄、果てにはパーティー追放まで!? 事故死を望まれた私は、第2王子に『聖女』の力を見出され性悪女にざまぁします
アトハ
恋愛
「マリアンヌ公爵令嬢! これ以上貴様の悪行を見過ごすことはできん! 我が剣と誇りにかけて、貴様を断罪する!」
王子から突如突き付けられたのは、身に覚えのない罪状、そして婚約破棄。
更にはモンスターの蔓延る危険な森の中で、私ことマリアンヌはパーティーメンバーを追放されることとなりました。
このまま私がモンスターに襲われて"事故死"すれば、想い人と一緒になれる……という、何とも身勝手かつ非常識な理由で。
パーティーメンバーを追放された私は、森の中で鍋をかき混ぜるマイペースな変人と出会います。
どうにも彼は、私と殿下の様子に詳しいようで。
というかまさか第二王子じゃないですか?
なんでこんなところで、パーティーも組まずにのんびり鍋を食べてるんですかね!?
そして私は、聖女の力なんて持っていないですから。人違いですから!
※ 他の小説サイト様にも投稿しています
私の婚約者を狙ってる令嬢から男をとっかえひっかえしてる売女と罵られました
ゆの
恋愛
「ユーリ様!!そこの女は色んな男をとっかえひっかえしてる売女ですのよ!!騙されないでくださいましっ!!」
国王の誕生日を祝う盛大なパーティの最中に、私の婚約者を狙ってる令嬢に思いっきり罵られました。
なにやら証拠があるようで…?
※投稿前に何度か読み直し、確認してはいるのですが誤字脱字がある場合がございます。その時は優しく教えて頂けると助かります(´˘`*)
※勢いで書き始めましたが。完結まで書き終えてあります。
王太子に婚約破棄されてから一年、今更何の用ですか?
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しいます。
ゴードン公爵家の長女ノヴァは、辺境の冒険者街で薬屋を開業していた。ちょうど一年前、婚約者だった王太子が平民娘相手に恋の熱病にかかり、婚約を破棄されてしまっていた。王太子の恋愛問題が王位継承問題に発展するくらいの大問題となり、平民娘に負けて社交界に残れないほどの大恥をかかされ、理不尽にも公爵家を追放されてしまったのだ。ようやく傷心が癒えたノヴァのところに、やつれた王太子が現れた。
一体だれが悪いのか?それはわたしと言いました
LIN
恋愛
ある日、国民を苦しめて来たという悪女が処刑された。身分を笠に着て、好き勝手にしてきた第一王子の婚約者だった。理不尽に虐げられることもなくなり、ようやく平和が戻ったのだと、人々は喜んだ。
その後、第一王子は自分を支えてくれる優しい聖女と呼ばれる女性と結ばれ、国王になった。二人の優秀な側近に支えられて、三人の子供達にも恵まれ、幸せしか無いはずだった。
しかし、息子である第一王子が嘗ての悪女のように不正に金を使って豪遊していると報告を受けた国王は、王族からの追放を決めた。命を取らない事が温情だった。
追放されて何もかもを失った元第一王子は、王都から離れた。そして、その時の出会いが、彼の人生を大きく変えていくことになる…
※いきなり処刑から始まりますのでご注意ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる