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第13話 大事なお話

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「ようこそおいでくださいました、ダルセル様」
「急な訪問にも関わらず、真摯な対応を感謝するコルネリア殿」

 応接室に入ってきたダルセル様を、緊張しながら迎える。どうしても、あの光景が脳裏によぎって、身体がこわばる。なんとか、彼には気付かれないように隠す。

 今のところ、とても紳士的な対応だったから。そんなに危険視する必要はないかもしれない。分かっているけれど、身体は緊張してしまう。

 大丈夫。私は、何もしていない。いきなり魔術を放たれるような事は何も。部屋の中には、私達の他に使用人達も控えている。こんな場所で、いきなり殺されることはないはず。



 ダルセル様と会うのは、今回が初めてだ。今まで、顔を合わせて事もない。彼との接点がない。だけど私は、一方的に彼のことを知っていた。

 あの光景で見た人物と一緒だった。私を魔術で焼き殺した、ダルセル様。

「それで本日は、どういったご用件なのでしょうか?」

 向かい合って座り、要件を聞く。なぜ私に会いに来たのか。するとダルセル様は、いきなりこんな事を言った。

「そんなに緊張しなくても良い。この場で君に向かって、魔術を放ったりはしない」
「……ッ!」

 思わず身構えてしまう。なぜ彼が、そんな事を言ったのか。

「やはり、君も知っているようだね」
「……一体、何の話ですか?」
「君が危惧している、未来についての話だよ」
「なぜ、それを?」

 まさか、私以外にもあの光景について知っている人物が居るなんて思わなかった。観念して、問いかける。

 もしかして私と同じようにダルセル様も、いくつもの可能性を見たのかしら。

「この話は、他の誰にも聞かれたくない。なので、彼らを下がらせてくれ」

 2人だけで話をするなんて、危ないかもしれない。だが、使用人を下がらせないとダルセル様は話してくれないようだ。

「……わかりましたわ。キリラン、皆と一緒に下がっていて」
「了解しました、お嬢様。ご用があれば、すぐにお呼び下さい」

 少し考えてから、ダルセル様のことを信じてみることにした。まだ私は、彼を怖いと思っている。だけど、あの光景について誰かと話したかった。ダルセル様は、何か知っているようだから。

 このままずっと1人で、あの光景について抱えきれることは出来ない。

 使用人達は何も聞かずに指示を聞いて、部屋から出ていってくれた。これで部屋に私達2人だけになった。

「それでは、話をしよう。王子の婚約破棄から始まった、色々な出来事について」
「はい。聞かせて下さい」

 それからダルセル様は、説明してくれた。どうやら、私とは少し事情が違うようだけれど、彼もあの光景について色々と知っていた。
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