37 / 39
第37話 後処理 ※エライユ侯爵家当主視点
しおりを挟む
エライユ侯爵家の当主は、反乱を起こすつもりなど一切なかった。
国王が働かなくなったと聞いた時にも、別に良いと思っていた。自分が治めている領地が平和であれば、それでいい。
だが、パトリック王子がやらかしてしまったことは問題だった。彼のせいで聖域が失われてしまった。流石に放置することは出来ない。誰かが立ち上がって、正すべきだろうと思った。上級貴族の誰かがやってくれるのではないかと、期待していた。
ところが、誰も立ち上がろうとしない。それどころか他の貴族達が、エライユ侯爵家の当主を担ぎ上げた。
国王が働かなくなった時、どうでもいいと思っていた彼だけど、念のために備えていた。密かに帝国と関係を築き上げて、内政に励んでいた。だから、余裕があった。その事を他の貴族達も把握していた。
そのせいで、彼に任さたら大丈夫だろうと信頼されていた。面倒だと思いながら、彼は立ち上がった。こうなってしまう事まで予測して、準備はしていた。仕方ない。
そして彼は、上手くやった。備えていたからこそ、大変な状況にも対応することが出来た。
重要人物達を確保して王都を制圧した後、色々と処理するべき課題が多数あった。
エルメノン王国の現状について、どうしてこうなったのか王国民に公表した。教会の不祥事と、王子のやらかしたことも隠さずに。彼らに敵意を集めて、処刑する。
現国王と王妃も処刑した。喚き散らして抵抗を続けたパトリック王子と比べると、覚悟を持って受け入れた2人の最期は、それなりに立派であった。息子を放任して、部下を放任して、国王なのに国まで放任して色々と問題はあったけれど。
王族は処刑されて、エルメノン王国は滅んだ。
教会については残すかどうか、議論が行われた。王子の婚約者だったサブリナ嬢が使い物にならないことが判明して、他にも色々と問題があるので教会は取り潰されることに。
エルメノン王国と一緒に、象徴だった聖域についても一緒に消し去ってしまおう。これで、教会も必要なくなってしまった。
そうなると、新たな国防戦略を考えないといけない。今まで王国には、聖域という強固な盾があり、それに守られてきた。その盾が失われてしまったから、防衛に力を入れる必要がある。どうやって魔物の被害に恐れることなく平和を保つのか。必死に考えないといけなかった。
とても大変な仕事だろう。これからどんどん忙しくなることを予想して、エライユ侯爵家の当主は溜息を吐いた。
今まで本当に、我々は聖域に頼り切って生きていたと実感する。それを失うなんてパトリック王子は、なんてことをしてくれたんだと怒りを覚える。
早々に処刑してしまったのは、失敗だったかもしれないな。もう少し痛めつけて、反省させておくべきだったかもしれない。いやでも、あんな愚か者には何を言っても無駄だったろうな。
エライユ侯爵家の当主は気持ちを切り替え、これからどうするべきか考え始めた。
国王が働かなくなったと聞いた時にも、別に良いと思っていた。自分が治めている領地が平和であれば、それでいい。
だが、パトリック王子がやらかしてしまったことは問題だった。彼のせいで聖域が失われてしまった。流石に放置することは出来ない。誰かが立ち上がって、正すべきだろうと思った。上級貴族の誰かがやってくれるのではないかと、期待していた。
ところが、誰も立ち上がろうとしない。それどころか他の貴族達が、エライユ侯爵家の当主を担ぎ上げた。
国王が働かなくなった時、どうでもいいと思っていた彼だけど、念のために備えていた。密かに帝国と関係を築き上げて、内政に励んでいた。だから、余裕があった。その事を他の貴族達も把握していた。
そのせいで、彼に任さたら大丈夫だろうと信頼されていた。面倒だと思いながら、彼は立ち上がった。こうなってしまう事まで予測して、準備はしていた。仕方ない。
そして彼は、上手くやった。備えていたからこそ、大変な状況にも対応することが出来た。
重要人物達を確保して王都を制圧した後、色々と処理するべき課題が多数あった。
エルメノン王国の現状について、どうしてこうなったのか王国民に公表した。教会の不祥事と、王子のやらかしたことも隠さずに。彼らに敵意を集めて、処刑する。
現国王と王妃も処刑した。喚き散らして抵抗を続けたパトリック王子と比べると、覚悟を持って受け入れた2人の最期は、それなりに立派であった。息子を放任して、部下を放任して、国王なのに国まで放任して色々と問題はあったけれど。
王族は処刑されて、エルメノン王国は滅んだ。
教会については残すかどうか、議論が行われた。王子の婚約者だったサブリナ嬢が使い物にならないことが判明して、他にも色々と問題があるので教会は取り潰されることに。
エルメノン王国と一緒に、象徴だった聖域についても一緒に消し去ってしまおう。これで、教会も必要なくなってしまった。
そうなると、新たな国防戦略を考えないといけない。今まで王国には、聖域という強固な盾があり、それに守られてきた。その盾が失われてしまったから、防衛に力を入れる必要がある。どうやって魔物の被害に恐れることなく平和を保つのか。必死に考えないといけなかった。
とても大変な仕事だろう。これからどんどん忙しくなることを予想して、エライユ侯爵家の当主は溜息を吐いた。
今まで本当に、我々は聖域に頼り切って生きていたと実感する。それを失うなんてパトリック王子は、なんてことをしてくれたんだと怒りを覚える。
早々に処刑してしまったのは、失敗だったかもしれないな。もう少し痛めつけて、反省させておくべきだったかもしれない。いやでも、あんな愚か者には何を言っても無駄だったろうな。
エライユ侯爵家の当主は気持ちを切り替え、これからどうするべきか考え始めた。
41
◆◆◆ 更新中の作品 ◆◆◆
【新作】婚約者を妹に取られましたが、社交パーティーの評価で見返してやるつもりです
https://www.alphapolis.co.jp/novel/88950443/595922033
【完結】欲しいというなら、あげましょう。婚約破棄したら返品は受け付けません。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/88950443/82917838
【新作】婚約者を妹に取られましたが、社交パーティーの評価で見返してやるつもりです
https://www.alphapolis.co.jp/novel/88950443/595922033
【完結】欲しいというなら、あげましょう。婚約破棄したら返品は受け付けません。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/88950443/82917838
お気に入りに追加
2,807
あなたにおすすめの小説
【完結】残酷な現実はお伽噺ではないのよ
綾雅(要らない悪役令嬢1巻重版)
恋愛
「アンジェリーナ・ナイトレイ。貴様との婚約を破棄し、我が国の聖女ミサキを害した罪で流刑に処す」
物語でよくある婚約破棄は、王族の信頼を揺るがした。婚約は王家と公爵家の契約であり、一方的な破棄はありえない。王子に腰を抱かれた聖女は、物語ではない現実の残酷さを突きつけられるのであった。
★公爵令嬢目線 ★聖女目線、両方を掲載します。
【同時掲載】アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、小説家になろう
2023/01/11……カクヨム、恋愛週間 21位
2023/01/10……小説家になろう、日間恋愛異世界転生/転移 1位
2023/01/09……アルファポリス、HOT女性向け 28位
2023/01/09……エブリスタ、恋愛トレンド 28位
2023/01/08……完結
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。
神のいとし子は追放された私でした〜異母妹を選んだ王太子様、今のお気持ちは如何ですか?〜
星里有乃
恋愛
「アメリアお姉様は、私達の幸せを考えて、自ら身を引いてくださいました」
「オレは……王太子としてではなく、一人の男としてアメリアの妹、聖女レティアへの真実の愛に目覚めたのだ!」
(レティアったら、何を血迷っているの……だって貴女本当は、霊感なんてこれっぽっちも無いじゃない!)
美貌の聖女レティアとは対照的に、とにかく目立たない姉のアメリア。しかし、地味に装っているアメリアこそが、この国の神のいとし子なのだが、悪魔と契約した妹レティアはついに姉を追放してしまう。
やがて、神のいとし子の祈りが届かなくなった国は災いが増え、聖女の力を隠さなくなったアメリアに救いの手を求めるが……。
* 2023年01月15日、連載完結しました。
* ヒロインアメリアの相手役が第1章は精霊ラルド、第2章からは隣国の王子アッシュに切り替わります。最終章に該当する黄昏の章で、それぞれの関係性を決着させています。お読みくださった読者様、ありがとうございました!
* 初期投稿ではショートショート作品の予定で始まった本作ですが、途中から長編版に路線を変更して完結させました。
* この作品は小説家になろうさんとアルファポリスさんに投稿しております。
* ブクマ、感想、ありがとうございます。

愚か者の話をしよう
鈴宮(すずみや)
恋愛
シェイマスは、婚約者であるエーファを心から愛している。けれど、控えめな性格のエーファは、聖女ミランダがシェイマスにちょっかいを掛けても、穏やかに微笑むばかり。
そんな彼女の反応に物足りなさを感じつつも、シェイマスはエーファとの幸せな未来を夢見ていた。
けれどある日、シェイマスは父親である国王から「エーファとの婚約は破棄する」と告げられて――――?
もう私、好きなようにさせていただきますね? 〜とりあえず、元婚約者はコテンパン〜
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「婚約破棄ですね、はいどうぞ」
婚約者から、婚約破棄を言い渡されたので、そういう対応を致しました。
もう面倒だし、食い下がる事も辞めたのですが、まぁ家族が許してくれたから全ては大団円ですね。
……え? いまさら何ですか? 殿下。
そんな虫のいいお話に、まさか私が「はい分かりました」と頷くとは思っていませんよね?
もう私の、使い潰されるだけの生活からは解放されたのです。
だって私はもう貴方の婚約者ではありませんから。
これはそうやって、自らが得た自由の為に戦う令嬢の物語。
※本作はそれぞれ違うタイプのざまぁをお届けする、『野菜の夏休みざまぁ』作品、4作の内の1作です。
他作品は検索画面で『野菜の夏休みざまぁ』と打つとヒット致します。

【12話完結】私はイジメられた側ですが。国のため、貴方のために王妃修行に努めていたら、婚約破棄を告げられ、友人に裏切られました。
西東友一
恋愛
国のため、貴方のため。
私は厳しい王妃修行に努めてまいりました。
それなのに第一王子である貴方が開いた舞踏会で、「この俺、次期国王である第一王子エドワード・ヴィクトールは伯爵令嬢のメリー・アナラシアと婚約破棄する」
と宣言されるなんて・・・

こんな国、捨てて差し上げますわ
藍田ひびき
恋愛
「ユリアーナ!本日をもって、お前との婚約を破棄する!」
『豊穣の聖女』ユリアーナは婚約者である王太子アルベリクから、突然に婚約破棄を言い渡された。しかもアルベリクは妹のフランシーヌと新たに婚約すると言う。
聖女を掲げる神殿側はそれを不服とし、ユリアーナとフランシーヌのどちらが聖女に相応しいか、試験をするように助言するが…?
※ 4/27 誤字修正しました。
※ なろうにも投稿しています。

あなたが婚約破棄したいと言うから、聖女を代替わりしたんですよ?思い通りにならなくて残念でしたね
相馬香子
恋愛
わたくし、シャーミィは婚約者である第一王子のラクンボ様に、婚約破棄を要求されました。
新たに公爵令嬢のロデクシーナ様を婚約者に迎えたいそうです。
あなたのことは大嫌いだから構いませんが、わたくしこの国の聖女ですよ?聖女は王族に嫁ぐというこの国の慣例があるので、婚約破棄をするには聖女の代替わりが必要ですが?
は?もたもたせずにとっととやれと?
・・・もげろ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる