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第25話 徐々に日常へ
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帝国の補給部隊というのが村に到着して、無事に食料の問題は解決しそう。食料の心配をしなくて大丈夫というのは、本当に助かる。精神的にも余裕が生まれるから。
王国の難民たちにも配給して、帝国が彼らを助けるつもりでいることが分かった。ソレズテリエ帝国は、かなり余裕のある国のようだ。
疲労困憊の村人と交代して兵士達が、森の警戒や見回りの仕事をしてくれていた。村の安全が確保されて、皆が安心できるようになった。
私が聖域を展開していたので、実は最初から安全は確保されていたんだけれど。
兵士達が働いている姿を見せてくれたからこそ、村人たちはより安心できるようになった。魔物の襲撃に怯えなくて済むは、やっぱり大きい。
足りなくなっていた寝床の用意も兵士達が協力して、すぐに完了した。
森の奥から逃げてくる人も居なくなって、かなり状況は落ち着いていた。ようやく一息つけたという感じだった。
村はここだけじゃなくて、近くにもあるらしい。だけど、この村が一番大変だろうと予想したシュテファン様が滞在して、兵士を指揮してくれた。村が落ち着いたのを確認してから、他の村の様子も見に行くことになったらしい。
何人か兵士を派遣して、無事なことを報告で聞いているらしいけれど。自分の目で確かめるために直接、出向くそうだ。
そして私も、同行してくれとお願いされた。
「君の治療の力で助けてもらいたい」
「わかりました」
他の村に逃げてきた人達が居て、治療が必要な怪我人も居るらしい。その人達を、私の力で救ってほしいとお願いされたので、もちろん私は承諾した。
帝国の貴族であるシュテファン様は私の監視、というか観察をしているみたいだ。だけど、悪い感じではない。怪しんでいるとか疑っているとか、私が逃げ出すんじゃないかと警戒している雰囲気はない。
「治療を続けて大丈夫なのか? 疲れていないか?」
「大丈夫ですよ。まだまだ、余裕です」
他の村に逃げ込んだ難民たちを治療するために、私は他の村まで出張して怪我人の治療を行っていた。
「疲れを感じたら無理をせず、必ず休憩するように」
「わかりました。疲れたら言いますね」
教会に居た時は、ここまで心配されることはなかった。シュテファン様は、かなり過保護で気を使ってくれていた。まるで、小さな子供を心配する親のような態度で。
別の村へ移動する時など、積極的に話しかけてくれたりもした。
「私が治めている領地は、小麦粉が特産品なんだよ。その小麦粉で作ったパンは格別でね。一度食べればやみつきになるよ。君も気にいると思う。ソレズテリエ帝国には他にも、特産品や美味しいものが沢山あって――」
「そうなんですか。食べてみたいですね」
「いつか食べに行くといい」
帝国にある特産品、名物、有名観光地や歴史などについて詳しく教えてもらった。それは自慢などではなく、おそらく私を帝国好きにさせることが目的なんだと思う。
その方法は少しズレていて、遠回りのような気もするけれど。
だけど色々と教えてもらって、ソレズテリエ帝国という国に興味を持てたのは確かだった。
王国の難民たちにも配給して、帝国が彼らを助けるつもりでいることが分かった。ソレズテリエ帝国は、かなり余裕のある国のようだ。
疲労困憊の村人と交代して兵士達が、森の警戒や見回りの仕事をしてくれていた。村の安全が確保されて、皆が安心できるようになった。
私が聖域を展開していたので、実は最初から安全は確保されていたんだけれど。
兵士達が働いている姿を見せてくれたからこそ、村人たちはより安心できるようになった。魔物の襲撃に怯えなくて済むは、やっぱり大きい。
足りなくなっていた寝床の用意も兵士達が協力して、すぐに完了した。
森の奥から逃げてくる人も居なくなって、かなり状況は落ち着いていた。ようやく一息つけたという感じだった。
村はここだけじゃなくて、近くにもあるらしい。だけど、この村が一番大変だろうと予想したシュテファン様が滞在して、兵士を指揮してくれた。村が落ち着いたのを確認してから、他の村の様子も見に行くことになったらしい。
何人か兵士を派遣して、無事なことを報告で聞いているらしいけれど。自分の目で確かめるために直接、出向くそうだ。
そして私も、同行してくれとお願いされた。
「君の治療の力で助けてもらいたい」
「わかりました」
他の村に逃げてきた人達が居て、治療が必要な怪我人も居るらしい。その人達を、私の力で救ってほしいとお願いされたので、もちろん私は承諾した。
帝国の貴族であるシュテファン様は私の監視、というか観察をしているみたいだ。だけど、悪い感じではない。怪しんでいるとか疑っているとか、私が逃げ出すんじゃないかと警戒している雰囲気はない。
「治療を続けて大丈夫なのか? 疲れていないか?」
「大丈夫ですよ。まだまだ、余裕です」
他の村に逃げ込んだ難民たちを治療するために、私は他の村まで出張して怪我人の治療を行っていた。
「疲れを感じたら無理をせず、必ず休憩するように」
「わかりました。疲れたら言いますね」
教会に居た時は、ここまで心配されることはなかった。シュテファン様は、かなり過保護で気を使ってくれていた。まるで、小さな子供を心配する親のような態度で。
別の村へ移動する時など、積極的に話しかけてくれたりもした。
「私が治めている領地は、小麦粉が特産品なんだよ。その小麦粉で作ったパンは格別でね。一度食べればやみつきになるよ。君も気にいると思う。ソレズテリエ帝国には他にも、特産品や美味しいものが沢山あって――」
「そうなんですか。食べてみたいですね」
「いつか食べに行くといい」
帝国にある特産品、名物、有名観光地や歴史などについて詳しく教えてもらった。それは自慢などではなく、おそらく私を帝国好きにさせることが目的なんだと思う。
その方法は少しズレていて、遠回りのような気もするけれど。
だけど色々と教えてもらって、ソレズテリエ帝国という国に興味を持てたのは確かだった。
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