18 / 39
第18話 影響と対策 ※パトリック王子視点
しおりを挟む
「魔物が街を襲って、大変なことになっている? 馬鹿な、そんなはずないだろう」
部下からの報告を聞いたとき、パトリック王子は信じなかった。今までに、魔物が街を襲撃したという話は聞いたことがなかったから。
エルメノン王国には聖域があるから、どこも安全なはずだ。聖域の外にいる魔物も定期的に駆除しているという報告を聞いていた。だから、街を襲うほどの数も居ないはずなのに。襲ってきても、撃退できるはずだろう。問題になるはずがない。
パトリック王子は、再調査を命じた。正確な情報を求めて、兵士を派遣する。
「くそ。なんて、面倒な」
次々と情報が集まってくると、事実であることが判明した。非常事態であることを認識した。放置できない問題であることを理解すると、彼は面倒だと感じていた。
サブリナから聖女と聖域に関する話を聞いていたパトリック王子は、クローディを追放した影響が少しぐらいあると予想していた。でもまさか、こんなに大きな影響があるなんて思っていなかった。
エルメノン王国の聖域が消えてしまった。聖域を維持している聖女が居なくなったということ。つまり、クローディは死んだのか。処刑せずに、追放で済ませたのに。こんなに早く死んでしまうとは。そして、こんなに大きな影響があったなんて。
追放ではなく、幽閉にしておくべきだったか。しばらく閉じ込めておいて、聖域を維持させておくべきだった。そして、役目を引き継いだ後に追い出すべきだったか。選択を間違ったと、パトリック王子は反省する。
クローディが1人で聖域を維持していることについては、追放した後に聞いた。
なぜ、そんな大事なことを彼女は黙っていたのだろう。婚約者だった頃であれば、言えばよかったのに。もしかすると、言っていたのかもしれない。パトリック王子は覚えていなかった。しかし、それは当然だと思った。
クローディは、いつも淡々としていて必死さがない。必死な様子で言われたことが一度もないから、気付けなかった。彼女がもっと強く主張していれば、気付けていたはずなのに。つまり、必死に言わない彼女の責任だとパトリック王子は考えた。
教会からも、聖域を維持する役目があった聖女のクローディを勝手に追放したことについて、彼は責任を追求された。
クローディがサブリナをイジメた。問題があったから追放したと反論。そもそも、1人だけに役目を背負わせていたことが大きな問題。複数名で協力して聖域の維持をさせておけば、こんな事態にはならなかったはずだ。パトリック王子が主張すると、教会の連中は黙り込んだ。
そんな教会の奴らに、聖域の再展開を急がせた。素晴らしい聖女であるサブリナを中心にするように命じて。
サブリナに任せておけば大丈夫だろうと、パトリック王子はひとまず安心した。
魔物に襲われた街についても、魔物の問題を対処するべきなのは統治を任せている貴族達の仕事のはずだ。ちゃんと仕事をするように徹底させる。それで、問題ない。
本来であれば、この命令も王が出すべきものなのに。父は、いつものように誰かに任せて、自分は動かないつもりらしい。だから仕方なく、私が代わりとして動く。
本当に、無責任な奴らばかりだとパトリック王子は思った。それに比べて自分は、しっかり行動できていると自信を持っていた。
部下からの報告を聞いたとき、パトリック王子は信じなかった。今までに、魔物が街を襲撃したという話は聞いたことがなかったから。
エルメノン王国には聖域があるから、どこも安全なはずだ。聖域の外にいる魔物も定期的に駆除しているという報告を聞いていた。だから、街を襲うほどの数も居ないはずなのに。襲ってきても、撃退できるはずだろう。問題になるはずがない。
パトリック王子は、再調査を命じた。正確な情報を求めて、兵士を派遣する。
「くそ。なんて、面倒な」
次々と情報が集まってくると、事実であることが判明した。非常事態であることを認識した。放置できない問題であることを理解すると、彼は面倒だと感じていた。
サブリナから聖女と聖域に関する話を聞いていたパトリック王子は、クローディを追放した影響が少しぐらいあると予想していた。でもまさか、こんなに大きな影響があるなんて思っていなかった。
エルメノン王国の聖域が消えてしまった。聖域を維持している聖女が居なくなったということ。つまり、クローディは死んだのか。処刑せずに、追放で済ませたのに。こんなに早く死んでしまうとは。そして、こんなに大きな影響があったなんて。
追放ではなく、幽閉にしておくべきだったか。しばらく閉じ込めておいて、聖域を維持させておくべきだった。そして、役目を引き継いだ後に追い出すべきだったか。選択を間違ったと、パトリック王子は反省する。
クローディが1人で聖域を維持していることについては、追放した後に聞いた。
なぜ、そんな大事なことを彼女は黙っていたのだろう。婚約者だった頃であれば、言えばよかったのに。もしかすると、言っていたのかもしれない。パトリック王子は覚えていなかった。しかし、それは当然だと思った。
クローディは、いつも淡々としていて必死さがない。必死な様子で言われたことが一度もないから、気付けなかった。彼女がもっと強く主張していれば、気付けていたはずなのに。つまり、必死に言わない彼女の責任だとパトリック王子は考えた。
教会からも、聖域を維持する役目があった聖女のクローディを勝手に追放したことについて、彼は責任を追求された。
クローディがサブリナをイジメた。問題があったから追放したと反論。そもそも、1人だけに役目を背負わせていたことが大きな問題。複数名で協力して聖域の維持をさせておけば、こんな事態にはならなかったはずだ。パトリック王子が主張すると、教会の連中は黙り込んだ。
そんな教会の奴らに、聖域の再展開を急がせた。素晴らしい聖女であるサブリナを中心にするように命じて。
サブリナに任せておけば大丈夫だろうと、パトリック王子はひとまず安心した。
魔物に襲われた街についても、魔物の問題を対処するべきなのは統治を任せている貴族達の仕事のはずだ。ちゃんと仕事をするように徹底させる。それで、問題ない。
本来であれば、この命令も王が出すべきものなのに。父は、いつものように誰かに任せて、自分は動かないつもりらしい。だから仕方なく、私が代わりとして動く。
本当に、無責任な奴らばかりだとパトリック王子は思った。それに比べて自分は、しっかり行動できていると自信を持っていた。
50
◆◆◆ 更新中の作品 ◆◆◆
【新作】婚約者を妹に取られましたが、社交パーティーの評価で見返してやるつもりです
https://www.alphapolis.co.jp/novel/88950443/595922033
【完結】欲しいというなら、あげましょう。婚約破棄したら返品は受け付けません。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/88950443/82917838
【新作】婚約者を妹に取られましたが、社交パーティーの評価で見返してやるつもりです
https://www.alphapolis.co.jp/novel/88950443/595922033
【完結】欲しいというなら、あげましょう。婚約破棄したら返品は受け付けません。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/88950443/82917838
お気に入りに追加
2,807
あなたにおすすめの小説

その婚約破棄喜んで
空月 若葉
恋愛
婚約者のエスコートなしに卒業パーティーにいる私は不思議がられていた。けれどなんとなく気がついている人もこの中に何人かは居るだろう。
そして、私も知っている。これから私がどうなるのか。私の婚約者がどこにいるのか。知っているのはそれだけじゃないわ。私、知っているの。この世界の秘密を、ね。
注意…主人公がちょっと怖いかも(笑)
4話で完結します。短いです。の割に詰め込んだので、かなりめちゃくちゃで読みにくいかもしれません。もし改善できるところを見つけてくださった方がいれば、教えていただけると嬉しいです。
完結後、番外編を付け足しました。
カクヨムにも掲載しています。

婚約破棄が私を笑顔にした
夜月翠雨
恋愛
「カトリーヌ・シャロン! 本日をもって婚約を破棄する!」
学園の教室で婚約者であるフランシスの滑稽な姿にカトリーヌは笑いをこらえるので必死だった。
そこに聖女であるアメリアがやってくる。
フランシスの瞳は彼女に釘付けだった。
彼女と出会ったことでカトリーヌの運命は大きく変わってしまう。
短編を小分けにして投稿しています。よろしくお願いします。
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。


婚約破棄された私は、処刑台へ送られるそうです
秋月乃衣
恋愛
ある日システィーナは婚約者であるイデオンの王子クロードから、王宮敷地内に存在する聖堂へと呼び出される。
そこで聖女への非道な行いを咎められ、婚約破棄を言い渡された挙句投獄されることとなる。
いわれの無い罪を否定する機会すら与えられず、寒く冷たい牢の中で断頭台に登るその時を待つシスティーナだったが──
他サイト様でも掲載しております。
女神に頼まれましたけど
実川えむ
ファンタジー
雷が光る中、催される、卒業パーティー。
その主役の一人である王太子が、肩までのストレートの金髪をかきあげながら、鼻を鳴らして見下ろす。
「リザベーテ、私、オーガスタス・グリフィン・ロウセルは、貴様との婚約を破棄すっ……!?」
ドンガラガッシャーン!
「ひぃぃっ!?」
情けない叫びとともに、婚約破棄劇場は始まった。
※王道の『婚約破棄』モノが書きたかった……
※ざまぁ要素は後日談にする予定……

【12話完結】私はイジメられた側ですが。国のため、貴方のために王妃修行に努めていたら、婚約破棄を告げられ、友人に裏切られました。
西東友一
恋愛
国のため、貴方のため。
私は厳しい王妃修行に努めてまいりました。
それなのに第一王子である貴方が開いた舞踏会で、「この俺、次期国王である第一王子エドワード・ヴィクトールは伯爵令嬢のメリー・アナラシアと婚約破棄する」
と宣言されるなんて・・・
王太子に婚約破棄言い渡された公爵令嬢は、その場で処刑されそうです。
克全
恋愛
8話1万0357文字で完結済みです。
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に投稿しています。
コーンウォリス公爵家に令嬢ルイ―ザは、王国の実権を握ろうとするロビンソン辺境伯家当主フランシスに操られる、王太子ルークのよって絶体絶命の危機に陥っていました。宰相を務める父上はもちろん、有能で忠誠心の豊かな有力貴族達が全員紛争国との調停に送られていました。万座の席で露骨な言い掛かりで付けられ、婚約を破棄されたばかりか人質にまでされそうになったルイ―ザ嬢は、命懸けで名誉を守る決意をしたのです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる