追放された聖女のお話~私はもう貴方達のことは護りません~

キョウキョウ

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第17話 隣国から逃げてきた人達

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「休める場所を用意しました! 皆さん、こちらです!」
「す、すまない」
「ありがとう。本当に、ありがとう」
「ようやく、安心して眠ることが出来る……」
「もう、魔物に怯えなくていいのね……。ううっ」

 疲れ切った様子の人達が、村の人に案内されて移動していく。私は、村長と一緒に歩きながら詳しい状況について教えてもらっていた。

「彼らは、エルメノン王国から命からがら逃げてきたそうだ。住んでいた街が魔物に襲われたらしい」
「エルメノン王国から……」

 私と同じように国境にある森を越えて、この村に辿り着いたということ。ここまで逃げてくるなんて、そんなに酷い状況だったのか。

 まだ王国は、聖域を再展開していないみたい。王国にある街が、襲われる可能性もあるだろう。

 しかし、魔物の問題に対処するための兵士が待機しているはず。その人達は、何をしていたのか。魔物に襲われた街や王国民を守らなかったのかしら。

 この村にも、魔物に対処するため備えている人達が居る。

「逃げてきた者から聞いた話によると、森のあの辺りを通って来たようだ。そして、彼らの後ろから魔物が追いかけてきて、今も付近に潜んでいるかもしれない」

 村の中央に、武装した村人たちが集まっている。皆、やる気に満ち溢れているようだ。武器を手に取り、いつでも戦える状態のようだ。

「少し前にも、テリーとアメリアの2人が魔物に襲われた話は知っているな。例年と違って、魔物の動きが変化しているようだ。気を引き締めて、確認しに行くぞ」
「「「おう!」」」

 これから、森の状況や魔物の動きについて調査に向かうようだ。この村のように、王国の街の人達は対処できなかったのか。

 村長が立ち止まると、私の方に向いて真剣な表情を浮かべて言った。

「こっちに、酷い怪我をした人がいる。彼らの治療を君に任せたい」
「わかりました」

 王国の人達が魔物に襲われて、逃げることになった原因は私にもあるのでしょう。誰にも知らせず勝手に聖域を解放して、街を無防備にしてしまった。

 そんな私が、彼らを治療してもいいのでしょうか。いや、今は何も考えないようにしましょう。目の前に居る怪我人の治療に専念する。良いとか悪いとか、考えない。

 すべてが終わってから反省する。落ち着いてから、どうするべきか考えましょう。今は、目の前のことだけに集中して。

 村長からの頼みを引き受けて、怪我をしている人達を助ける。

「君の面倒を見ると言ったのに、こんな事を頼んで申し訳ないと思っている。だけど今は、今は君の力が必要なんだ。頼む」
「大丈夫です。任せて下さい」

 私も助けられた。村に受け入れてもらった。だから今度は、私の番。出来る限りのことをしよう。聖女の力を使って、村の人達と一緒に皆を救う。私は怪我をしている人達の所へ急いだ。
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◆◆◆ 更新中の作品 ◆◆◆

【新作】趣味の魔法研究のデータを勝手に破棄されて、婚約破棄を突きつけられた令嬢のお話
https://www.alphapolis.co.jp/novel/88950443/846943520
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