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第11話 襲撃の顛末
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「な、何者だ!」
闇から飛び出した複数の人影は、素早い動きで男たちを次々と倒していく。剣戟の音が夜空に響き渡り、男たちの悲鳴が辺りを覆う。
そんな状況を見て、慌てふためくレイモンド。しかし、彼の問いかけに答える者は誰もいない。
「うぅぅぅ」
「制圧、完了しました」
あっという間に、武装した男たちは拘束された。彼らは地面に倒れ伏し、うめき声を上げている。地面に倒れていた御者が、いつの間にか立ち上がっていた。私の前に立ち、危険から守るような位置にいた。
「ブラックウェル家の護衛、ジョンと申します。エドガー様から、エレノアお嬢様の護衛を命じられておりました」
御者は、丁寧に頭を下げながら名乗った。その言葉に、私は驚きと安堵の入り混じった感情を覚える。
「そうでしたか。ありがとうございます、ジョン」
私は精一杯の感謝の言葉を伝えた。どうやら彼は、倒された演技をしていたらしい。彼に怪我がなくて本当に良かった。
しかし、ジョンの表情は一転、怒りに変わる。
「ですが、無茶しすぎですお嬢様! 何をしでかすのかわからない、あんな男の前に姿をさらすなんて、馬鹿ですか!?」
ジョンの声は、夜道に響き渡る。その怒号に、私は思わず身をすくませた。
「ご、ごめんなさい」
私は小さな声で謝った。ジョンにここまで言わせてしまうぐらい、私の行動は危険だったのだ。馬車の中で隠れておくべきだったと、深く反省する。
「無礼な物言いになってしまい、申し訳ございません。今回の計画を事前にお伝えしていなかった我々にも非がありますので、お嬢様だけの責任ではございません。ですが、本当に注意くださいますように願います」
ジョンは、怒りを和らげるように一息つくと、真摯な表情で忠告してくれた。
「わかったわ。忠告、感謝します」
「お嬢様が無事で良かったです」
「ええ。あなた達が守ってくれたおかげで」
そうこうしているうちに、レイモンドと彼の仲間たち全員が捕縛されたようだ。彼らは手足を縛られ、地面に座らされている。
「くそっ! なんで、こんなことに!」
捕まったレイモンドは、悔しそうに叫んでいた。その表情を見て、私は複雑な感情を覚える。あなたが自分で蒔いた種だ。婚約破棄も、浮気による慰謝料も。
そして、今回の襲撃も相応の責任を支払うことになるでしょうね。
「エレノア! 俺が悪かった。謝るから、この男たちを離すように言ってくれッ! 頼む!」
「……」
レイモンドは、必死に私に助けを求めてくる。しかし、私は無言で見つめ返すだけだ。
計画した襲撃。復讐のために、とんでもない目に遭わせる考えが彼にあった。今回の罰は、かなり重いでしょう。ラザフォード家は取り潰しになると思う。
「謝るから!」
離れたところで捕まっているレイモンド。彼に近づき、一言ぐらい言ってやりたい気持ちもあった。けれど、ジョンの忠告に従って近寄るのは止めておく。
彼らがいれば問題はないと思うけれど、これ以上は余計な仕事を増やしたくない。後の処理は彼らに任せて、私は馬車の中に戻った。レイモンドが叫ぶ声を背中で感じながら。
闇から飛び出した複数の人影は、素早い動きで男たちを次々と倒していく。剣戟の音が夜空に響き渡り、男たちの悲鳴が辺りを覆う。
そんな状況を見て、慌てふためくレイモンド。しかし、彼の問いかけに答える者は誰もいない。
「うぅぅぅ」
「制圧、完了しました」
あっという間に、武装した男たちは拘束された。彼らは地面に倒れ伏し、うめき声を上げている。地面に倒れていた御者が、いつの間にか立ち上がっていた。私の前に立ち、危険から守るような位置にいた。
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御者は、丁寧に頭を下げながら名乗った。その言葉に、私は驚きと安堵の入り混じった感情を覚える。
「そうでしたか。ありがとうございます、ジョン」
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しかし、ジョンの表情は一転、怒りに変わる。
「ですが、無茶しすぎですお嬢様! 何をしでかすのかわからない、あんな男の前に姿をさらすなんて、馬鹿ですか!?」
ジョンの声は、夜道に響き渡る。その怒号に、私は思わず身をすくませた。
「ご、ごめんなさい」
私は小さな声で謝った。ジョンにここまで言わせてしまうぐらい、私の行動は危険だったのだ。馬車の中で隠れておくべきだったと、深く反省する。
「無礼な物言いになってしまい、申し訳ございません。今回の計画を事前にお伝えしていなかった我々にも非がありますので、お嬢様だけの責任ではございません。ですが、本当に注意くださいますように願います」
ジョンは、怒りを和らげるように一息つくと、真摯な表情で忠告してくれた。
「わかったわ。忠告、感謝します」
「お嬢様が無事で良かったです」
「ええ。あなた達が守ってくれたおかげで」
そうこうしているうちに、レイモンドと彼の仲間たち全員が捕縛されたようだ。彼らは手足を縛られ、地面に座らされている。
「くそっ! なんで、こんなことに!」
捕まったレイモンドは、悔しそうに叫んでいた。その表情を見て、私は複雑な感情を覚える。あなたが自分で蒔いた種だ。婚約破棄も、浮気による慰謝料も。
そして、今回の襲撃も相応の責任を支払うことになるでしょうね。
「エレノア! 俺が悪かった。謝るから、この男たちを離すように言ってくれッ! 頼む!」
「……」
レイモンドは、必死に私に助けを求めてくる。しかし、私は無言で見つめ返すだけだ。
計画した襲撃。復讐のために、とんでもない目に遭わせる考えが彼にあった。今回の罰は、かなり重いでしょう。ラザフォード家は取り潰しになると思う。
「謝るから!」
離れたところで捕まっているレイモンド。彼に近づき、一言ぐらい言ってやりたい気持ちもあった。けれど、ジョンの忠告に従って近寄るのは止めておく。
彼らがいれば問題はないと思うけれど、これ以上は余計な仕事を増やしたくない。後の処理は彼らに任せて、私は馬車の中に戻った。レイモンドが叫ぶ声を背中で感じながら。
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