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第5章 家族旅行編
第38話 温泉街観光
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朝食が終わって、少し部屋でゆっくりした後、旅の荷物をまとめて旅館のチェックアウトを済ませた。旅行の荷物を車に積んでから、家族皆で温泉街をゆっくり歩いてみるとこになった。
その温泉街には、お土産屋がたくさん並んでいて、あちこちに温泉まんじゅうやら温泉卵やらが売っていたりして、昨日も見たけれど懐かしい気持ちになった。
しかし、見慣れない部分もある。どの店にも軒先には呼び込みをしている男の人が居た。その男性たちは皆、色鮮やかな浴衣を着ていて道行く女性たちの視線を釘付けにしていた。看板息子とでも言うのかな。
そんな景色を通り抜けて、その辺りでは一番大きそうな土産店に家族皆で入った。店の中に入るとすぐに、家族皆が散り散りになってお土産を見始める。
僕は、香織さんと一緒にお店を回ることに。はぐれないように、密着するぐらいの距離感を保ちながら店内を歩いた。
「あっちを見に行きましょう」
「うん」
僕は、特に見たい物もなかったので香織さんに任せてついていくことに。すると、そこには春姉さんが居た。
「やっぱり、温泉に来たのならお土産は温泉まんじゅうかなぁ」
大きな箱に入った温泉まんじゅうを持って、購入するかどうか考えているようだ。そんな彼女に近寄り、話しかける。
「春姉さんは、誰にお土産を買っていくの?」
「バイト仲間に買っていこうと思ってね。しかし、どれがいいかな。安いのでいいか」
僕が尋ねると、春姉さんが答えてくれる。真剣な表情で値段と量をチェックしながら、どれを買おうか悩んでいた。
「優は、これとこれ、どっちがいいと思う?」
「え? うーん、そうだな」
急に質問されて戸惑ったが、よく見て考えてみる。パッケージを見ると、どちらも美味しそうだった。なので、直感で選んでみた。
「じゃあ、こっちかな」
「よし。これを買おう」
春姉さんは、僕が選んだ商品を買うことに決めたようだ。どうしようか悩んでいたのに、即決してしまっていいのだろうか。
「え。僕の選んだので良かったの?」
「もちろん。あの子達も、弟が選んでくれたお土産って言ったら、喜んで食べるだろうから」
納得しているのなら、それで良いけど。そんな会話をしていると、香織さんも僕の選んだ商品をカゴに入れていた。
「香織さんも買うの?」
「うん。私も職場の子に買っていって、息子が選んだものだよって言って渡そうかと思ってる。それで皆、喜んでくれるから」
もっと真剣に考えて選ぶべきだったかな。ちょっと後悔したけれど、2人とも気に入ってくれているようなので安心した。その後も、店内を見て回る。
「他に、欲しいものは何かある?」
「あのプリンとか、美味しそうかも」
香織さんに聞かれて、目についた物があった。
大きくデカデカと温泉地限定とアピールされた文字が目に入る。それは、この温泉街でしか買えないご当地プリンらしい。美味しそうとだ思って香織さんに伝えると、早速カゴに入れて購入を決めたようだ。
そんなご当地お菓子のコーナーには、沙希姉さんが居た。
「ユウ、見てみろ。温泉地限定だってさ」
「うん、限定品らしいね」
彼女の手には、芋をチップスにした有名なお菓子があった。とても大きな文字で、温泉地限定と印刷されている。そういうのも売っているんだなと思いながら、一緒に眺めた。
沙希姉さんは、こういう限定品という響きに弱そうだった。僕も、同じようなものだから、よく分かる。限定のお菓子に夢中になって、沙希姉さんは購入を決めた。
「帰りの車の中で、皆で食べよう!」
それぞれ違う種類のモノを4つも棚から取り出すと、レジへと向かった。購入したあれを全部、帰りの車の中で食べる気なのかな。食べ切れるだろうか。
小物が置いてある場所には、紗綾姉さんと葵が居た。
「2人は、何を見ているの?」
近寄って2人に聞いてみると、葵が商品が置かれた棚を指さした。僕も、そっちを見てみる。
「……アレ。……ストラップ」
「へぇ。キレイだね」
携帯につけるようなストラップが、可愛らしく飾られていた。色とりどりな紐状の物が繋がれていて、その先には小さな鈴が付いていたり、可愛い動物の形をした物があった。その他にも、温泉に関係あるマスコットがついた物や、勾玉や小さい水晶がついた物、何をモチーフにしているかわからない物など、種類は様々だ。
紗綾姉さんと葵は真剣に吟味しているようで、目が鋭くなっていた。話しかけると邪魔になりそうだったので、静かにその場から離れる。2人が気に入る商品を見つけられるように祈りながら。
「ゆうくんには、ちょっと早いかな」
「まだ未成年だから、飲めないのが残念」
地酒がズラリと並んだ棚の前で香織さんが、どれを購入しようか悩み始めた。どれも美味しそうだから、迷ってしまうよね。
昨晩も、美味しそうな日本酒を飲んでいたのを思い出す。あの時、一緒に飲みたいと思ったけれど残念ながら年齢制限があるのでダメだった。そして今も、一緒に相談しながら選ぶことが出来ない。
前の世界の記憶で、お酒は飲んだことがあるんだけどな。味も、それなりに知っているんだけどなぁ。そんなことを思いながらも、黙って香織さんが選ぶのを見守っていた。
「あの棚、ちょっと見てもいい?」
「もちろん、構わないわよ」
皆の様子を見て回った後、僕は気になるお土産を発見したので、香織さんと一緒に確認してみる。
それは、旅館で出されている料理に使われている調味料が置かれた棚だった。
昨日の夜、そして今朝の旅館で出された料理は美味しかった。家でも再現してみたいと思っていたので、調味料が手に入るかもしれないとワクワクした。
どれも見たことがないメーカーのものばかりだな。試食もできるとのことなので、いくつか味見してみた。そして、気になったものを購入することに。これで、家でも作れそうだ。楽しみだな。
お土産屋での買い物を終えた僕達は、駐車場へ戻って車に荷物を積み込んだ。それから再び家族皆で温泉街を歩いて、名産だというお茶を頂いてから、家族皆で記念撮影をした。
温泉街を十分に堪能したので、僕たちは帰路につくことに。今日は香織さんが車を運転して、温泉街を走り抜ける。
出発して暫くの間は、皆でワイワイと賑やかな雰囲気だった。少し時間が経過すると、車内が静まり返った。皆、疲れて寝てしまったようだ。
「ゆうくんも、疲れていたら眠っていていいからね」
運転中の香織さんが、僕に優しく声をかけてくれた。確かに少しだけ眠いけれど、せっかくの家族旅行だし、最後まで起きていることにした。
「大丈夫だよ。昨日、いっぱい寝たからね。温泉も気持ちよかったね」
「そうね。久しぶりに、ゆっくり浸かれた気がする」
そんな会話をしながら、家に帰るまでのドライブを香織さんと楽しんだ。
その温泉街には、お土産屋がたくさん並んでいて、あちこちに温泉まんじゅうやら温泉卵やらが売っていたりして、昨日も見たけれど懐かしい気持ちになった。
しかし、見慣れない部分もある。どの店にも軒先には呼び込みをしている男の人が居た。その男性たちは皆、色鮮やかな浴衣を着ていて道行く女性たちの視線を釘付けにしていた。看板息子とでも言うのかな。
そんな景色を通り抜けて、その辺りでは一番大きそうな土産店に家族皆で入った。店の中に入るとすぐに、家族皆が散り散りになってお土産を見始める。
僕は、香織さんと一緒にお店を回ることに。はぐれないように、密着するぐらいの距離感を保ちながら店内を歩いた。
「あっちを見に行きましょう」
「うん」
僕は、特に見たい物もなかったので香織さんに任せてついていくことに。すると、そこには春姉さんが居た。
「やっぱり、温泉に来たのならお土産は温泉まんじゅうかなぁ」
大きな箱に入った温泉まんじゅうを持って、購入するかどうか考えているようだ。そんな彼女に近寄り、話しかける。
「春姉さんは、誰にお土産を買っていくの?」
「バイト仲間に買っていこうと思ってね。しかし、どれがいいかな。安いのでいいか」
僕が尋ねると、春姉さんが答えてくれる。真剣な表情で値段と量をチェックしながら、どれを買おうか悩んでいた。
「優は、これとこれ、どっちがいいと思う?」
「え? うーん、そうだな」
急に質問されて戸惑ったが、よく見て考えてみる。パッケージを見ると、どちらも美味しそうだった。なので、直感で選んでみた。
「じゃあ、こっちかな」
「よし。これを買おう」
春姉さんは、僕が選んだ商品を買うことに決めたようだ。どうしようか悩んでいたのに、即決してしまっていいのだろうか。
「え。僕の選んだので良かったの?」
「もちろん。あの子達も、弟が選んでくれたお土産って言ったら、喜んで食べるだろうから」
納得しているのなら、それで良いけど。そんな会話をしていると、香織さんも僕の選んだ商品をカゴに入れていた。
「香織さんも買うの?」
「うん。私も職場の子に買っていって、息子が選んだものだよって言って渡そうかと思ってる。それで皆、喜んでくれるから」
もっと真剣に考えて選ぶべきだったかな。ちょっと後悔したけれど、2人とも気に入ってくれているようなので安心した。その後も、店内を見て回る。
「他に、欲しいものは何かある?」
「あのプリンとか、美味しそうかも」
香織さんに聞かれて、目についた物があった。
大きくデカデカと温泉地限定とアピールされた文字が目に入る。それは、この温泉街でしか買えないご当地プリンらしい。美味しそうとだ思って香織さんに伝えると、早速カゴに入れて購入を決めたようだ。
そんなご当地お菓子のコーナーには、沙希姉さんが居た。
「ユウ、見てみろ。温泉地限定だってさ」
「うん、限定品らしいね」
彼女の手には、芋をチップスにした有名なお菓子があった。とても大きな文字で、温泉地限定と印刷されている。そういうのも売っているんだなと思いながら、一緒に眺めた。
沙希姉さんは、こういう限定品という響きに弱そうだった。僕も、同じようなものだから、よく分かる。限定のお菓子に夢中になって、沙希姉さんは購入を決めた。
「帰りの車の中で、皆で食べよう!」
それぞれ違う種類のモノを4つも棚から取り出すと、レジへと向かった。購入したあれを全部、帰りの車の中で食べる気なのかな。食べ切れるだろうか。
小物が置いてある場所には、紗綾姉さんと葵が居た。
「2人は、何を見ているの?」
近寄って2人に聞いてみると、葵が商品が置かれた棚を指さした。僕も、そっちを見てみる。
「……アレ。……ストラップ」
「へぇ。キレイだね」
携帯につけるようなストラップが、可愛らしく飾られていた。色とりどりな紐状の物が繋がれていて、その先には小さな鈴が付いていたり、可愛い動物の形をした物があった。その他にも、温泉に関係あるマスコットがついた物や、勾玉や小さい水晶がついた物、何をモチーフにしているかわからない物など、種類は様々だ。
紗綾姉さんと葵は真剣に吟味しているようで、目が鋭くなっていた。話しかけると邪魔になりそうだったので、静かにその場から離れる。2人が気に入る商品を見つけられるように祈りながら。
「ゆうくんには、ちょっと早いかな」
「まだ未成年だから、飲めないのが残念」
地酒がズラリと並んだ棚の前で香織さんが、どれを購入しようか悩み始めた。どれも美味しそうだから、迷ってしまうよね。
昨晩も、美味しそうな日本酒を飲んでいたのを思い出す。あの時、一緒に飲みたいと思ったけれど残念ながら年齢制限があるのでダメだった。そして今も、一緒に相談しながら選ぶことが出来ない。
前の世界の記憶で、お酒は飲んだことがあるんだけどな。味も、それなりに知っているんだけどなぁ。そんなことを思いながらも、黙って香織さんが選ぶのを見守っていた。
「あの棚、ちょっと見てもいい?」
「もちろん、構わないわよ」
皆の様子を見て回った後、僕は気になるお土産を発見したので、香織さんと一緒に確認してみる。
それは、旅館で出されている料理に使われている調味料が置かれた棚だった。
昨日の夜、そして今朝の旅館で出された料理は美味しかった。家でも再現してみたいと思っていたので、調味料が手に入るかもしれないとワクワクした。
どれも見たことがないメーカーのものばかりだな。試食もできるとのことなので、いくつか味見してみた。そして、気になったものを購入することに。これで、家でも作れそうだ。楽しみだな。
お土産屋での買い物を終えた僕達は、駐車場へ戻って車に荷物を積み込んだ。それから再び家族皆で温泉街を歩いて、名産だというお茶を頂いてから、家族皆で記念撮影をした。
温泉街を十分に堪能したので、僕たちは帰路につくことに。今日は香織さんが車を運転して、温泉街を走り抜ける。
出発して暫くの間は、皆でワイワイと賑やかな雰囲気だった。少し時間が経過すると、車内が静まり返った。皆、疲れて寝てしまったようだ。
「ゆうくんも、疲れていたら眠っていていいからね」
運転中の香織さんが、僕に優しく声をかけてくれた。確かに少しだけ眠いけれど、せっかくの家族旅行だし、最後まで起きていることにした。
「大丈夫だよ。昨日、いっぱい寝たからね。温泉も気持ちよかったね」
「そうね。久しぶりに、ゆっくり浸かれた気がする」
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