16 / 50
第1章 姉妹編
閑話07 佐藤沙希とのスポーツ観戦
しおりを挟む
「わっはっはっは!」
テンションが上がりっぱなしで気分良く、意味不明な笑い声をあげていると、優が注意してくる。
「沙希姉さん、そんな大声出してたら近所迷惑だよ」
「良いんだよ! 今日は、シーズン開幕戦だろ。特別な日なんだから、許してくれ。それよりも、私のことを呼ぶときはあ・ね・き、だろ」
「えっと、あ、あねき、ご飯は?」
まだ呼び方には慣れていないようだったが、いつかはこの呼び方を定着させたいと何度もそう呼ばせる。
優に言われたことを考える。
「んっと、試合を見ながら食べたいからさ、お皿こっちに持ってきてよ」
「もう、仕方ないなぁ……」
母さんや春姉さんが居たなら、テレビを見ながら食べるのは、行儀が悪いと言って止められる。だが今日は、家には居ないからOK。なんといってもシーズン開幕戦を後回しにすることは出来ない。一秒たりとも見逃せないから。
今年もやってきた、開幕戦を前にテンションが上がりっぱなしである。試合の前の練習が中継される中、解説が今日の試合のスターティングメンバーを読み上げる。
本当は球場で見たかった。けど、今年は優が大変だったのでチケットを買い忘れてしまったのだ。
優は倒れてから、色々と変わった。料理をするようになったし、優しくもなった。男らしく、キレイにもなった。
しばらくすると、テレビの前に置いてあるテーブルの上に、優が運んできたお皿を並べてくれる。相変わらず、食欲をそそる豪華な夕食に腹がなりそうになる。ただ、いつもよりも量が多い。
「あれっ? お皿多くないか?」
「僕も、こっちで食べようかと思って」
確かに二人分あるようだったが、おかしいことに気づく。
「紗綾と葵は?」
「紗綾姉さんは、用があるからってさっき出かけて行っちゃった。葵は部屋で寝てるみたいで、呼んでも来なかったから。それで今日は、二人きり」
「んー……、そっか。じゃ、先に食べちゃおうか」
二人でいただきますと手を合わせて、夕食を開始する。その時にちょうど、選手の守備練習が終わって、もうすぐ試合が始まる。
しかし、いつものように試合に集中できない。私の横に座って、優も一緒に夕食を食べながら試合を見ている。なんていうか、良い。男と一緒に野球観戦なんて、夢のようなシチュエーション。
「な、なぁ。優も、野球とか興味あるのか?」
「えっ? うーん、そうだなぁ。見るよりも、やる方がいいかも」
「ほ、ほんとか!? じゃぁさ、今度一緒にキャッチボールやるか?」
会話の内容が、なんとなく恋人のような雰囲気を想像させて内心で赤面する。
「いいよ、明日にでもやろう」
「そ、そうか。やるか!」
約束を取り付けて、胸中で喜びながら夕食に手を付ける。明日は、とても良い日になりそうだ。
ご飯を食べ終わり、優と一緒に試合を見る。
俺が途中で解説を加えると、優は感心したように頷いてくれた。興味深そうに試合を一緒に見てくれていた。
球場が熱気にあふれているのが、テレビを見ていても伝わってくる。
球場に行けなかったことを、やっぱり残念に思った。だが、今日一緒に優と試合を見れて良かったとも思う。
いつか優と一緒に、球場まで足を運んで試合を見に行きたいな、と思った。
「やったぁ。勝ったね!」
俺の贔屓にしているチームが勝利して、優が嬉しそうにこちらを見て言う。
「ははっ、このチームは開幕戦だけは強いからなぁ! この勢いに乗って、シーズン通して頑張ってもらいたいけどな」
そう言うと、でもやったねと何度も言って喜んでくれる。
うちの家族は、あまりスポーツを見ない。だから、こんなに共感してくれることはなかったので、家族と一緒に試合を見るというのも良い物だと思った。
「な、なぁ優。もしよかったら、明日の試合も一緒に見ないか?」
「うん、いいよ! 明日もチームを応援しよう!」
なんだか、いろいろと約束を取り付けて悪い気がした。だが、それでもうれしさの方が大きくて、優が嫌な顔をせずに約束してくれたことに女としての喜びを感じる。
やっぱり優は変わった。以前に比べて優しくなったし、以前ダメだったこともするようになった。
このままずっと、今の優のままで居てくれと願う。とりあえず、明日のために優のグローブを準備しようかな。
テンションが上がりっぱなしで気分良く、意味不明な笑い声をあげていると、優が注意してくる。
「沙希姉さん、そんな大声出してたら近所迷惑だよ」
「良いんだよ! 今日は、シーズン開幕戦だろ。特別な日なんだから、許してくれ。それよりも、私のことを呼ぶときはあ・ね・き、だろ」
「えっと、あ、あねき、ご飯は?」
まだ呼び方には慣れていないようだったが、いつかはこの呼び方を定着させたいと何度もそう呼ばせる。
優に言われたことを考える。
「んっと、試合を見ながら食べたいからさ、お皿こっちに持ってきてよ」
「もう、仕方ないなぁ……」
母さんや春姉さんが居たなら、テレビを見ながら食べるのは、行儀が悪いと言って止められる。だが今日は、家には居ないからOK。なんといってもシーズン開幕戦を後回しにすることは出来ない。一秒たりとも見逃せないから。
今年もやってきた、開幕戦を前にテンションが上がりっぱなしである。試合の前の練習が中継される中、解説が今日の試合のスターティングメンバーを読み上げる。
本当は球場で見たかった。けど、今年は優が大変だったのでチケットを買い忘れてしまったのだ。
優は倒れてから、色々と変わった。料理をするようになったし、優しくもなった。男らしく、キレイにもなった。
しばらくすると、テレビの前に置いてあるテーブルの上に、優が運んできたお皿を並べてくれる。相変わらず、食欲をそそる豪華な夕食に腹がなりそうになる。ただ、いつもよりも量が多い。
「あれっ? お皿多くないか?」
「僕も、こっちで食べようかと思って」
確かに二人分あるようだったが、おかしいことに気づく。
「紗綾と葵は?」
「紗綾姉さんは、用があるからってさっき出かけて行っちゃった。葵は部屋で寝てるみたいで、呼んでも来なかったから。それで今日は、二人きり」
「んー……、そっか。じゃ、先に食べちゃおうか」
二人でいただきますと手を合わせて、夕食を開始する。その時にちょうど、選手の守備練習が終わって、もうすぐ試合が始まる。
しかし、いつものように試合に集中できない。私の横に座って、優も一緒に夕食を食べながら試合を見ている。なんていうか、良い。男と一緒に野球観戦なんて、夢のようなシチュエーション。
「な、なぁ。優も、野球とか興味あるのか?」
「えっ? うーん、そうだなぁ。見るよりも、やる方がいいかも」
「ほ、ほんとか!? じゃぁさ、今度一緒にキャッチボールやるか?」
会話の内容が、なんとなく恋人のような雰囲気を想像させて内心で赤面する。
「いいよ、明日にでもやろう」
「そ、そうか。やるか!」
約束を取り付けて、胸中で喜びながら夕食に手を付ける。明日は、とても良い日になりそうだ。
ご飯を食べ終わり、優と一緒に試合を見る。
俺が途中で解説を加えると、優は感心したように頷いてくれた。興味深そうに試合を一緒に見てくれていた。
球場が熱気にあふれているのが、テレビを見ていても伝わってくる。
球場に行けなかったことを、やっぱり残念に思った。だが、今日一緒に優と試合を見れて良かったとも思う。
いつか優と一緒に、球場まで足を運んで試合を見に行きたいな、と思った。
「やったぁ。勝ったね!」
俺の贔屓にしているチームが勝利して、優が嬉しそうにこちらを見て言う。
「ははっ、このチームは開幕戦だけは強いからなぁ! この勢いに乗って、シーズン通して頑張ってもらいたいけどな」
そう言うと、でもやったねと何度も言って喜んでくれる。
うちの家族は、あまりスポーツを見ない。だから、こんなに共感してくれることはなかったので、家族と一緒に試合を見るというのも良い物だと思った。
「な、なぁ優。もしよかったら、明日の試合も一緒に見ないか?」
「うん、いいよ! 明日もチームを応援しよう!」
なんだか、いろいろと約束を取り付けて悪い気がした。だが、それでもうれしさの方が大きくて、優が嫌な顔をせずに約束してくれたことに女としての喜びを感じる。
やっぱり優は変わった。以前に比べて優しくなったし、以前ダメだったこともするようになった。
このままずっと、今の優のままで居てくれと願う。とりあえず、明日のために優のグローブを準備しようかな。
0
お気に入りに追加
256
あなたにおすすめの小説
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
男女比の狂った世界で愛を振りまく
キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。
その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。
直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。
生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。
デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。
本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる