21 / 31
第21話 婚約の話 ※ウェヌスレッド視点
しおりを挟む
年齢的に、僕もそろそろ将来について真剣に考えないとダメな時期か。今のような気ままな生活は、いつか終わりがくる。それまでに覚悟を決めないといけない。
だけど僕は本当に、権力とか財力とかには全く興味がなかった。そんなものは面倒だと思っていた。幼い頃から父や兄たちの姿を見ていたから。彼らが付き合う相手の醜さを目の当たりにしてしまったから。
父や兄たちは本当に凄い。あんな者たちを相手にしながら、上手く対応しているのだから。僕には出来ない。貴族社会に溶け込むことは不可能。
自分の性格はよく理解しているし、今さら直せるとは思えない。
厄介なのは性格だけじゃない。この自分の顔も、色々と面倒だった。皆は羨むけれど、僕は凄く嫌だ。とにかく目立ってしまう。注目なんて集めたくないのに。面倒で厄介な出来事を引き寄せてしまう。
この顔を上手く利用すれば、もっと楽ができるかもしれない。だけど残念ながら、僕はそんなに器用でもなかった。
なので関わらないように、屋敷の部屋に籠もって過ごすのが一番。平穏で安らかな生活を送りたい。それが、僕の望みである。
今日も自分の部屋で1人、ぼんやりと考えていた時に舞い込んできたのが、婚約の話だった。
カナリニッジ侯爵家の当主と婚約する。相手は貴族の令嬢ではなく女当主らしくて、珍しいと思ったのが最初の印象。
今まで自由にさせてもらったからこそ、そろそろ僕も覚悟を決めないといけない。しばらく前から悩んでいた、自分の置かれた現状。変わらないといけない。
こうやって自由を許してくれたノルイン公爵家には、いつか恩返しをしたい。そう思っていた。婚約するのが恩返しになるのかどうか、それは分からない。
僕に縁談の話を持ってきたということは、カナリニッジ侯爵家と繋がりを持ちたいという思惑があるのだろう。そのために婚約するのは、僕でも家の役に立てるということ。そう考えた。
当主である父の指示に従い、婚約の話を受けることにした。受けると返事をするとトントン拍子で話が進み、婚約相手との初対面の日が即座に決まってしまった。
こんなに早く、話が進むなんて驚いた。まだ心の準備が出来ていない。もう少し、時間が欲しい。だが、先延ばしにすることは出来ないだろう。
予定通り、婚約するという相手と会うしかない。
だけど、憂鬱だな。どんな女性が来るのか不安だ。父が話を持ってきたということは、調査済みで問題ない相手だと思うが。どうだろう。
だけど僕は本当に、権力とか財力とかには全く興味がなかった。そんなものは面倒だと思っていた。幼い頃から父や兄たちの姿を見ていたから。彼らが付き合う相手の醜さを目の当たりにしてしまったから。
父や兄たちは本当に凄い。あんな者たちを相手にしながら、上手く対応しているのだから。僕には出来ない。貴族社会に溶け込むことは不可能。
自分の性格はよく理解しているし、今さら直せるとは思えない。
厄介なのは性格だけじゃない。この自分の顔も、色々と面倒だった。皆は羨むけれど、僕は凄く嫌だ。とにかく目立ってしまう。注目なんて集めたくないのに。面倒で厄介な出来事を引き寄せてしまう。
この顔を上手く利用すれば、もっと楽ができるかもしれない。だけど残念ながら、僕はそんなに器用でもなかった。
なので関わらないように、屋敷の部屋に籠もって過ごすのが一番。平穏で安らかな生活を送りたい。それが、僕の望みである。
今日も自分の部屋で1人、ぼんやりと考えていた時に舞い込んできたのが、婚約の話だった。
カナリニッジ侯爵家の当主と婚約する。相手は貴族の令嬢ではなく女当主らしくて、珍しいと思ったのが最初の印象。
今まで自由にさせてもらったからこそ、そろそろ僕も覚悟を決めないといけない。しばらく前から悩んでいた、自分の置かれた現状。変わらないといけない。
こうやって自由を許してくれたノルイン公爵家には、いつか恩返しをしたい。そう思っていた。婚約するのが恩返しになるのかどうか、それは分からない。
僕に縁談の話を持ってきたということは、カナリニッジ侯爵家と繋がりを持ちたいという思惑があるのだろう。そのために婚約するのは、僕でも家の役に立てるということ。そう考えた。
当主である父の指示に従い、婚約の話を受けることにした。受けると返事をするとトントン拍子で話が進み、婚約相手との初対面の日が即座に決まってしまった。
こんなに早く、話が進むなんて驚いた。まだ心の準備が出来ていない。もう少し、時間が欲しい。だが、先延ばしにすることは出来ないだろう。
予定通り、婚約するという相手と会うしかない。
だけど、憂鬱だな。どんな女性が来るのか不安だ。父が話を持ってきたということは、調査済みで問題ない相手だと思うが。どうだろう。
2,388
◆◆◆ 更新中の作品 ◆◆◆
【新作】婚約者を妹に取られましたが、社交パーティーの評価で見返してやるつもりです
https://www.alphapolis.co.jp/novel/88950443/595922033
【完結】欲しいというなら、あげましょう。婚約破棄したら返品は受け付けません。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/88950443/82917838
【新作】婚約者を妹に取られましたが、社交パーティーの評価で見返してやるつもりです
https://www.alphapolis.co.jp/novel/88950443/595922033
【完結】欲しいというなら、あげましょう。婚約破棄したら返品は受け付けません。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/88950443/82917838
お気に入りに追加
3,172
あなたにおすすめの小説

待ち合わせの時間になっても婚約者は迎えに来ませんでした。平民女性と駆け落ちしたですって!?
田太 優
恋愛
待ち合わせの時間になっても婚約者は迎えに来なかった。
そして知らされた衝撃の事実。
婚約者は駆け落ちしたのだ。
最初から意中の相手がいたから私は大切にされなかったのだろう。
その理由が判明して納得できた。
駆け落ちされたのだから婚約破棄して慰謝料を請求しないと。
悪役断罪?そもそも何かしましたか?
SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。
男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。
あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。
えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。
勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。

不実なあなたに感謝を
黒木メイ
恋愛
王太子妃であるベアトリーチェと踊るのは最初のダンスのみ。落ち人のアンナとは望まれるまま何度も踊るのに。王太子であるマルコが誰に好意を寄せているかははたから見れば一目瞭然だ。けれど、マルコが心から愛しているのはベアトリーチェだけだった。そのことに気づいていながらも受け入れられないベアトリーチェ。そんな時、マルコとアンナがとうとう一線を越えたことを知る。――――不実なあなたを恨んだ回数は数知れず。けれど、今では感謝すらしている。愚かなあなたのおかげで『幸せ』を取り戻すことができたのだから。
※異世界転移をしている登場人物がいますが主人公ではないためタグを外しています。
※曖昧設定。
※一旦完結。
※性描写は匂わせ程度。
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載予定。

結婚を先延ばしにされたのは婚約者が妹のことを好きだったからでした。妹は既婚者なので波乱の予感しかしません。
田太 優
恋愛
結婚を先延ばしにされ続け、私は我慢の限界だった。
曖昧な態度を取り続ける婚約者に婚約破棄する覚悟で結婚する気があるのか訊いたところ、妹のことが好きだったと言われ、婚約を解消したいと言われた。
妹は既婚者で夫婦関係も良好。
もし妹の幸せを壊そうとするなら私は容赦しない。

男爵令嬢の私の証言で公爵令嬢は全てを失うことになりました。嫌がらせなんてしなければ良かったのに。
田太 優
恋愛
公爵令嬢から嫌がらせのターゲットにされた私。
ただ耐えるだけの日々は、王子から秘密の依頼を受けたことで終わりを迎えた。
私に求められたのは公爵令嬢の嫌がらせを証言すること。
王子から公爵令嬢に告げる婚約破棄に協力することになったのだ。

妹と再婚約?殿下ありがとうございます!
八つ刻
恋愛
第一王子と侯爵令嬢は婚約を白紙撤回することにした。
第一王子が侯爵令嬢の妹と真実の愛を見つけてしまったからだ。
「彼女のことは私に任せろ」
殿下!言質は取りましたからね!妹を宜しくお願いします!
令嬢は妹を王子に丸投げし、自分は家族と平穏な幸せを手に入れる。

「平民との恋愛を選んだ王子、後悔するが遅すぎる」
ゆる
恋愛
平民との恋愛を選んだ王子、後悔するが遅すぎる
婚約者を平民との恋のために捨てた王子が見た、輝く未来。
それは、自分を裏切ったはずの侯爵令嬢の背中だった――。
グランシェル侯爵令嬢マイラは、次期国王の弟であるラウル王子の婚約者。
将来を約束された華やかな日々が待っている――はずだった。
しかしある日、ラウルは「愛する平民の女性」と結婚するため、婚約破棄を一方的に宣言する。
婚約破棄の衝撃、社交界での嘲笑、周囲からの冷たい視線……。
一時は心が折れそうになったマイラだが、父である侯爵や信頼できる仲間たちとともに、自らの人生を切り拓いていく決意をする。
一方、ラウルは平民女性リリアとの恋を選ぶものの、周囲からの反発や王家からの追放に直面。
「息苦しい」と捨てた婚約者が、王都で輝かしい成功を収めていく様子を知り、彼が抱えるのは後悔と挫折だった。

殿下に裏切られたことを感謝しています。だから妹と一緒に幸せになってください。なれるのであれば。
田太 優
恋愛
王子の誕生日パーティーは私を婚約者として正式に発表する場のはずだった。
しかし、事もあろうか王子は妹の嘘を信じて冤罪で私を断罪したのだ。
追い出された私は王家との関係を優先した親からも追い出される。
でも…面倒なことから解放され、私はやっと自分らしく生きられるようになった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる