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第14話 ローレインという女について
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「息子とその女の交際が発覚したのは、少し前のことだ」
それから、ノルイン公爵閣下は極秘裏に調査するよう指示した。ローレインを調べ始めた当初、普通のメイドという印象だったらしい。彼女の仕事ぶりは、特に問題もなかった。どうやら同僚からの評判は悪かったみたいだけど、致命的な問題はなく、給料分の仕事はしていたようだ。
それだけなら、よく居るメイドの一人。愛人として囲うぐらいなら許可しても良いと、そう考えた。けれども、ノルイン公爵閣下には何か嫌な予感があった。それで、もっと詳しく調べるように命じた。
その結果、そのメイドがとんでもない秘密を抱えていることが判明。名前と経歴を偽って、入り込んでいた。何か目的があって、公爵家の息子に接近したことが発覚。
調査を進めると、カナリニッジ侯爵家とライトナム侯爵家の間に起きた出来事にも辿り着いた。
「婚約破棄が起きた裏で、その女も絡んでいたらしいな」
「はい。その通りです、ノルイン公爵閣下」
ノルイン公爵閣下の言葉に私は頷き、肯定する。婚約破棄の件について、一瞬だけ話題になっていた。だが、侯爵家同士の小さな事件である。すぐに忘れ去られ、次の話題に塗り替えられるような些細な出来事。当事者以外でそれを覚えている貴族は、かなり少なかっただろう。
そんな出来事まで調べて、ノルイン公爵閣下は事実を知った。ものすごい調査力だと思う。公爵家ほどの権力と財力があれば、簡単なことなのかもしれないわね。
「ローレインという女は、一体どのような人物なのだ? 君の感じた印象を聞かせてもらいたい」
ノルイン公爵閣下が鋭い目つきで私を見てくる。今度は、私が彼女について語る番だった。
最初の出会い。婚約相手だったライトナム侯爵家の三男デーヴィスと一緒に屋敷へやってきたこと。
まるで自分が主人であるかのように、カナリニッジ侯爵家の屋敷内で横暴な振る舞いをしたこと。
こちらに見せつけるようにして、私の婚約相手だった男とイチャイチャしていたこと。
思い出すのも嫌だけど、あえて詳細に語っていく。感情を乗せすぎないように気を付けて、淡々とした口調で事実を伝えた。
ローレインという女について、私が知っている情報を全てノルイン公爵に伝えた。話を聞き終えたノルイン公爵は、信じられないという風に首を振った。
「婚約相手の家に、別の女を連れてくるなんて信じられないな。しかも、そんな相手と戯れ合うとは。婚約相手の男は、自分の立場をわかっていなかったのだな」
話を聞いたノルイン公爵閣下は、デーヴィスの行動について指摘した。酷いものだと。そっちの方が、インパクトがあったらしい。
「とにかく、ローレインという女についても、よくわかった。情報を提供してくれて感謝する、シャロット殿」
「いいえ、閣下のお役に立てたのなら嬉しいですわ」
私は、ノルイン公爵閣下に一礼する。彼は満足げな表情を浮かべた。不安に思っていたけれど、これで無事に終わりそう。安心しながら、私は心の中でそっと胸をなでおろす。
しかし、話はこれで終わりではなかった。
「シャロット殿には、なにか褒美を与えないと」
「いえいえ。お話ししただけなので、褒美なんてそんな」
恐縮しながら、私は慌てて首を横に振る。本当に話しただけなので、それで褒美を受け取るなんて恐れ多い。だけど、ノルイン公爵閣下はお構いなしだった。
「情報は大事だ。それを提供してくれたのだから、相応のものを与えなければならない」
そう言って、ノルイン公爵はあれこれ考え始めた。どうにかして、私に褒美を受け取らせる方法を。
それから、ノルイン公爵閣下は極秘裏に調査するよう指示した。ローレインを調べ始めた当初、普通のメイドという印象だったらしい。彼女の仕事ぶりは、特に問題もなかった。どうやら同僚からの評判は悪かったみたいだけど、致命的な問題はなく、給料分の仕事はしていたようだ。
それだけなら、よく居るメイドの一人。愛人として囲うぐらいなら許可しても良いと、そう考えた。けれども、ノルイン公爵閣下には何か嫌な予感があった。それで、もっと詳しく調べるように命じた。
その結果、そのメイドがとんでもない秘密を抱えていることが判明。名前と経歴を偽って、入り込んでいた。何か目的があって、公爵家の息子に接近したことが発覚。
調査を進めると、カナリニッジ侯爵家とライトナム侯爵家の間に起きた出来事にも辿り着いた。
「婚約破棄が起きた裏で、その女も絡んでいたらしいな」
「はい。その通りです、ノルイン公爵閣下」
ノルイン公爵閣下の言葉に私は頷き、肯定する。婚約破棄の件について、一瞬だけ話題になっていた。だが、侯爵家同士の小さな事件である。すぐに忘れ去られ、次の話題に塗り替えられるような些細な出来事。当事者以外でそれを覚えている貴族は、かなり少なかっただろう。
そんな出来事まで調べて、ノルイン公爵閣下は事実を知った。ものすごい調査力だと思う。公爵家ほどの権力と財力があれば、簡単なことなのかもしれないわね。
「ローレインという女は、一体どのような人物なのだ? 君の感じた印象を聞かせてもらいたい」
ノルイン公爵閣下が鋭い目つきで私を見てくる。今度は、私が彼女について語る番だった。
最初の出会い。婚約相手だったライトナム侯爵家の三男デーヴィスと一緒に屋敷へやってきたこと。
まるで自分が主人であるかのように、カナリニッジ侯爵家の屋敷内で横暴な振る舞いをしたこと。
こちらに見せつけるようにして、私の婚約相手だった男とイチャイチャしていたこと。
思い出すのも嫌だけど、あえて詳細に語っていく。感情を乗せすぎないように気を付けて、淡々とした口調で事実を伝えた。
ローレインという女について、私が知っている情報を全てノルイン公爵に伝えた。話を聞き終えたノルイン公爵は、信じられないという風に首を振った。
「婚約相手の家に、別の女を連れてくるなんて信じられないな。しかも、そんな相手と戯れ合うとは。婚約相手の男は、自分の立場をわかっていなかったのだな」
話を聞いたノルイン公爵閣下は、デーヴィスの行動について指摘した。酷いものだと。そっちの方が、インパクトがあったらしい。
「とにかく、ローレインという女についても、よくわかった。情報を提供してくれて感謝する、シャロット殿」
「いいえ、閣下のお役に立てたのなら嬉しいですわ」
私は、ノルイン公爵閣下に一礼する。彼は満足げな表情を浮かべた。不安に思っていたけれど、これで無事に終わりそう。安心しながら、私は心の中でそっと胸をなでおろす。
しかし、話はこれで終わりではなかった。
「シャロット殿には、なにか褒美を与えないと」
「いえいえ。お話ししただけなので、褒美なんてそんな」
恐縮しながら、私は慌てて首を横に振る。本当に話しただけなので、それで褒美を受け取るなんて恐れ多い。だけど、ノルイン公爵閣下はお構いなしだった。
「情報は大事だ。それを提供してくれたのだから、相応のものを与えなければならない」
そう言って、ノルイン公爵はあれこれ考え始めた。どうにかして、私に褒美を受け取らせる方法を。
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