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12.任務開始 ※ジョセフ視点

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 まだ辺りも薄暗い早朝に、部下が屋敷にやって来た。

 自室に通し、二人だけで話し合う。緊張した面持ちの彼を見て、おおよその目的は察した。だけど直接、彼からの報告を聞いておく。

「ようやく、準備が整いました」
「そうか」
「悪事の証拠を集めて、潜伏先の調査、敵の戦力分析に確保の用意まで全て準備完了しています。これを」

 部下から作戦の詳細が書かれた計画書を受け取って、ざっと目を通す。俺の求めていた情報が、バッチリ記載されている。このあとの計画も、問題なさそうだと確認を終えた。

「上手くコチラの罠にハマってくれた。当初の計画通り、というワケだな」
「はい、そうです」
「よくやった」

 俺は、ベッドから降りると準備を始める。もう、歩行補助の杖は必要ない。全身に巻いていた包帯も、全て取り払った。偽装工作は、今日で終わり。

「よし、最後の仕上げに向かおうか。現場の指揮は引き続き、お前に任せる。私は、緊急事態に備えて後方で待機しておくよ」
「了解しました!」
「焦るなよ」
「ハッ! 心得ております」

 先に、部下を現場に向かわせる。久しぶりの仕事。気合を入れて、鎧を装着する。愛用の剣を左腰に差して、すぐに準備は完了。これで、いつでも戦える。

「ジョセフ様、表に軍馬を用意しております」
「わかった」

 丁度良いタイミングで、執事が馬を用意していると知らせてくれる。彼には今回の任務の詳細について一部を説明してあった。なので特に驚くこともなく、色々と理解して支えてくれていた。

 部屋を出て、廊下を早足で歩きながら執事と話す。

「念の為に、屋敷の警備は厳重にしておいてくれ」
「はい。旦那様と奥様、ディアヌ様が傷付かないように警戒します」
「あぁ、頼む」

 父と母、それから俺の婚約者であるディアヌのこともしっかり頼んでおく。手短に指示して、玄関に向かう。

「ジョセフ、さま?」
「ディアヌか」

 外に出る直前で、ディアヌがやって来た。俺の姿を見て驚いている。当然だろう。彼女には何も説明していなかったからな。

 申し訳ないと感じるけれど、今は詳しく説明しているような時間は無かった。そう思って、色々と気になっているだろうディアヌには後で話す、とだけ伝える。

 何か言いたそうな彼女だが、ぐっと飲み込む。色々と気になっているようだけど、何も聞かずに送り出してくれた。その行動は、とてもありがたい。

 俺は、屋敷の前で待機していた厩番から軍馬を受け取る。そして、馬に飛び乗って現場に向かった。さっさと仕事を終わらせて、ディアヌに説明しないとな。
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