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第19話 試作品評会

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 ハルトヴィヒさんから頂いたアドバイスを参考にして、帝国のお客様の反応などを調査して情報を集め、店長スタッフのシンディさんやレオンさん、ギルバートさんと相談しながら新商品を開発する。

 とても忙しい日々。だけど楽しくて、あっという間に時間が過ぎていく。

 新商品の開発は急務だった。菓子店シェトレボーは今のところ大盛況だが、状況が落ち着いてきた時に帝国でも馴染めるような商品を用意しておかないと、客離れしてしまうだろうと私は予想していた。そうさせないために、事前に準備をしておく必要があった。

 帝国でも、シェトレボーを長く愛されるお店にしたいのだ。王国から追い出された私達は、新たな土地で腰を据える覚悟を決めた。そのために、帝国の人々とは良好な関係を築きたいと思っている。

 新しく開発した商品を、帝国人のハルトヴィヒさんにも食べてもらうことにした。彼の感想が、大きな参考になるだろう。

「どうですか?」

 全力を尽くした。ハルトヴィヒさんにも気に入ってもらいたい。少し緊張しながら私が尋ねると、彼は笑みを浮かべた。その表情は、良い反応。

「美味いよ。甘味のバランスも素晴らしい。それに、なんだか懐かしいような気持ちにさせられる味だ」

 その言葉を聞いて、ホッとした。私も新商品のお菓子を口に運び、味を確かめる。前に何度か味見したが、その時にも良く出来ていると自信を持って言えた。そして、ハルトヴィヒさんの感想を聞いたら、更に自信が深まる。うん、上出来ね。これなら帝国で受け入れてもらえそう。

「帝国に有るお茶が、これによく合いそうだ。それも一緒に提供してみると、良いかもしれないな」
「それは、とても良いアイデアですね! 早速、お店に用意してみようと思います」

 帝国には、お茶の文化があった。それを合わせるというアイデアは、良さそうだと思う。流石、ハルトヴィヒさん。飲み物とお菓子の組み合わせか。

 彼の話を聞いて、私も新しいアイデアが思い浮かんできたわ。お茶を材料に使ったお菓子を作ってみるというのも、面白そう。早速、次の機会にやってみることにしましょう。

 その日以降、お菓子作りの合間に帝国のお茶の研究も始まった。どんどん、帝国に馴染めるよう準備が進んでいく。

 ハルトヴィヒさんとの試作品評会は、とても楽しい時間だった。シェトレボーが、どんどん成長していくのを感じて嬉しい。色々な刺激を受けて、新たなお菓子を開発する、やる気も高まる。

 そしてなにより、ハルトヴィヒさんと一緒に仕事が出来ていることが嬉しかった。彼と二人で協力し合って、お菓子を作り続ける日々はとても充実している。

 王国に居た時には感じなかった、充実感。こんな日が、続けばいいと思った。
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