19 / 27
第19話 試作品評会
しおりを挟む
ハルトヴィヒさんから頂いたアドバイスを参考にして、帝国のお客様の反応などを調査して情報を集め、店長スタッフのシンディさんやレオンさん、ギルバートさんと相談しながら新商品を開発する。
とても忙しい日々。だけど楽しくて、あっという間に時間が過ぎていく。
新商品の開発は急務だった。菓子店シェトレボーは今のところ大盛況だが、状況が落ち着いてきた時に帝国でも馴染めるような商品を用意しておかないと、客離れしてしまうだろうと私は予想していた。そうさせないために、事前に準備をしておく必要があった。
帝国でも、シェトレボーを長く愛されるお店にしたいのだ。王国から追い出された私達は、新たな土地で腰を据える覚悟を決めた。そのために、帝国の人々とは良好な関係を築きたいと思っている。
新しく開発した商品を、帝国人のハルトヴィヒさんにも食べてもらうことにした。彼の感想が、大きな参考になるだろう。
「どうですか?」
全力を尽くした。ハルトヴィヒさんにも気に入ってもらいたい。少し緊張しながら私が尋ねると、彼は笑みを浮かべた。その表情は、良い反応。
「美味いよ。甘味のバランスも素晴らしい。それに、なんだか懐かしいような気持ちにさせられる味だ」
その言葉を聞いて、ホッとした。私も新商品のお菓子を口に運び、味を確かめる。前に何度か味見したが、その時にも良く出来ていると自信を持って言えた。そして、ハルトヴィヒさんの感想を聞いたら、更に自信が深まる。うん、上出来ね。これなら帝国で受け入れてもらえそう。
「帝国に有るお茶が、これによく合いそうだ。それも一緒に提供してみると、良いかもしれないな」
「それは、とても良いアイデアですね! 早速、お店に用意してみようと思います」
帝国には、お茶の文化があった。それを合わせるというアイデアは、良さそうだと思う。流石、ハルトヴィヒさん。飲み物とお菓子の組み合わせか。
彼の話を聞いて、私も新しいアイデアが思い浮かんできたわ。お茶を材料に使ったお菓子を作ってみるというのも、面白そう。早速、次の機会にやってみることにしましょう。
その日以降、お菓子作りの合間に帝国のお茶の研究も始まった。どんどん、帝国に馴染めるよう準備が進んでいく。
ハルトヴィヒさんとの試作品評会は、とても楽しい時間だった。シェトレボーが、どんどん成長していくのを感じて嬉しい。色々な刺激を受けて、新たなお菓子を開発する、やる気も高まる。
そしてなにより、ハルトヴィヒさんと一緒に仕事が出来ていることが嬉しかった。彼と二人で協力し合って、お菓子を作り続ける日々はとても充実している。
王国に居た時には感じなかった、充実感。こんな日が、続けばいいと思った。
とても忙しい日々。だけど楽しくて、あっという間に時間が過ぎていく。
新商品の開発は急務だった。菓子店シェトレボーは今のところ大盛況だが、状況が落ち着いてきた時に帝国でも馴染めるような商品を用意しておかないと、客離れしてしまうだろうと私は予想していた。そうさせないために、事前に準備をしておく必要があった。
帝国でも、シェトレボーを長く愛されるお店にしたいのだ。王国から追い出された私達は、新たな土地で腰を据える覚悟を決めた。そのために、帝国の人々とは良好な関係を築きたいと思っている。
新しく開発した商品を、帝国人のハルトヴィヒさんにも食べてもらうことにした。彼の感想が、大きな参考になるだろう。
「どうですか?」
全力を尽くした。ハルトヴィヒさんにも気に入ってもらいたい。少し緊張しながら私が尋ねると、彼は笑みを浮かべた。その表情は、良い反応。
「美味いよ。甘味のバランスも素晴らしい。それに、なんだか懐かしいような気持ちにさせられる味だ」
その言葉を聞いて、ホッとした。私も新商品のお菓子を口に運び、味を確かめる。前に何度か味見したが、その時にも良く出来ていると自信を持って言えた。そして、ハルトヴィヒさんの感想を聞いたら、更に自信が深まる。うん、上出来ね。これなら帝国で受け入れてもらえそう。
「帝国に有るお茶が、これによく合いそうだ。それも一緒に提供してみると、良いかもしれないな」
「それは、とても良いアイデアですね! 早速、お店に用意してみようと思います」
帝国には、お茶の文化があった。それを合わせるというアイデアは、良さそうだと思う。流石、ハルトヴィヒさん。飲み物とお菓子の組み合わせか。
彼の話を聞いて、私も新しいアイデアが思い浮かんできたわ。お茶を材料に使ったお菓子を作ってみるというのも、面白そう。早速、次の機会にやってみることにしましょう。
その日以降、お菓子作りの合間に帝国のお茶の研究も始まった。どんどん、帝国に馴染めるよう準備が進んでいく。
ハルトヴィヒさんとの試作品評会は、とても楽しい時間だった。シェトレボーが、どんどん成長していくのを感じて嬉しい。色々な刺激を受けて、新たなお菓子を開発する、やる気も高まる。
そしてなにより、ハルトヴィヒさんと一緒に仕事が出来ていることが嬉しかった。彼と二人で協力し合って、お菓子を作り続ける日々はとても充実している。
王国に居た時には感じなかった、充実感。こんな日が、続けばいいと思った。
92
◆◆◆ 更新中の作品 ◆◆◆
【新作】婚約者を妹に取られましたが、社交パーティーの評価で見返してやるつもりです
https://www.alphapolis.co.jp/novel/88950443/595922033
【完結】欲しいというなら、あげましょう。婚約破棄したら返品は受け付けません。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/88950443/82917838
【新作】婚約者を妹に取られましたが、社交パーティーの評価で見返してやるつもりです
https://www.alphapolis.co.jp/novel/88950443/595922033
【完結】欲しいというなら、あげましょう。婚約破棄したら返品は受け付けません。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/88950443/82917838
お気に入りに追加
1,468
あなたにおすすめの小説
どうやらお前、死んだらしいぞ? ~変わり者令嬢は父親に報復する~
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「ビクティー・シークランドは、どうやら死んでしまったらしいぞ?」
「はぁ? 殿下、アンタついに頭沸いた?」
私は思わずそう言った。
だって仕方がないじゃない、普通にビックリしたんだから。
***
私、ビクティー・シークランドは少し変わった令嬢だ。
お世辞にも淑女然としているとは言えず、男が好む政治事に興味を持ってる。
だから父からも煙たがられているのは自覚があった。
しかしある日、殺されそうになった事で彼女は決める。
「必ず仕返ししてやろう」って。
そんな令嬢の人望と理性に支えられた大勝負をご覧あれ。

うちに待望の子供が産まれた…けど
satomi
恋愛
セント・ルミヌア王国のウェーリキン侯爵家に双子で生まれたアリサとカリナ。アリサは黒髪。黒髪が『不幸の象徴』とされているセント・ルミヌア王国では疎まれることとなる。対してカリナは金髪。家でも愛されて育つ。二人が4才になったときカリナはアリサを自分の侍女とすることに決めた(一方的に)それから、両親も家での事をすべてアリサ任せにした。
デビュタントで、カリナが皇太子に見られなかったことに腹を立てて、アリサを勘当。隣国へと国外追放した。

公爵令嬢の一度きりの魔法
夜桜
恋愛
領地を譲渡してくれるという条件で、皇帝アストラと婚約を交わした公爵令嬢・フィセル。しかし、実際に領地へ赴き現場を見て見ればそこはただの荒地だった。
騙されたフィセルは追及するけれど婚約破棄される。
一度だけ魔法が使えるフィセルは、魔法を使って人生最大の選択をする。
(改訂版)帝国の王子は無能だからと追放されたので僕はチートスキル【建築】で勝手に最強の国を作る!
黒猫
ファンタジー
帝国の第二王子として生まれたノルは15才を迎えた時、この世界では必ず『ギフト授与式』を教会で受けなくてはいけない。
ギフトは神からの祝福で様々な能力を与えてくれる。
観衆や皇帝の父、母、兄が見守る中…
ノルは祝福を受けるのだが…手にしたのはハズレと言われているギフト…【建築】だった。
それを見た皇帝は激怒してノルを国外追放処分してしまう。
帝国から南西の最果ての森林地帯をノルは仲間と共に開拓していく…
さぁ〜て今日も一日、街作りの始まりだ!!
父が転勤中に突如現れた継母子に婚約者も家も王家!?も乗っ取られそうになったので、屋敷ごとさよならすることにしました。どうぞご勝手に。
青の雀
恋愛
何でも欲しがり屋の自称病弱な義妹は、公爵家当主の座も王子様の婚約者も狙う。と似たような話になる予定。ちょっと、違うけど、発想は同じ。
公爵令嬢のジュリアスティは、幼い時から精霊の申し子で、聖女様ではないか?と噂があった令嬢。
父が長期出張中に、なぜか新しい後妻と連れ子の娘が転がり込んできたのだ。
そして、継母と義姉妹はやりたい放題をして、王子様からも婚約破棄されてしまいます。
3人がお出かけした隙に、屋根裏部屋に閉じ込められたジュリアスティは、精霊の手を借り、使用人と屋敷ごと家出を試みます。
長期出張中の父の赴任先に、無事着くと聖女覚醒して、他国の王子様と幸せになるという話ができれば、イイなぁと思って書き始めます。

【完結】異世界からおかえりなさいって言われました。私は長い夢を見ていただけですけれど…でもそう言われるから得た知識で楽しく生きますわ。
まりぃべる
恋愛
私は、アイネル=ツェルテッティンと申します。お父様は、伯爵領の領主でございます。
十歳の、王宮でのガーデンパーティーで、私はどうやら〝お神の戯れ〟に遭ったそうで…。十日ほど意識が戻らなかったみたいです。
私が目覚めると…あれ?私って本当に十歳?何だか長い夢の中でこの世界とは違うものをいろいろと見た気がして…。
伯爵家は、昨年の長雨で経営がギリギリみたいですので、夢の中で見た事を生かそうと思います。
☆全25話です。最後まで出来上がってますので随時更新していきます。読んでもらえると嬉しいです。

婚約者を取られた負け貴族令嬢は皇太子殿下が寵愛を注いでくれることに全く気付かない。
朱之ユク
恋愛
舞踏会にてこっぴどく振られてしまったスカーレットは泣きながら逃げ出していく。
だからスカーレットは見ていなかった。スカーレットに婚約破棄した貴族が皇太子殿下に断罪される瞬間を。そして、皇太子殿下がずっとスカーレットのことを気にかけていたことを。
元婚約者が今更よりを戻してくれと言ってももう遅い。
スカーレットは皇太子殿下にひそかに寵愛を受けながら幸せに暮らします
婚約破棄? 私、この国の守護神ですが。
国樹田 樹
恋愛
王宮の舞踏会場にて婚約破棄を宣言された公爵令嬢・メリザンド=デラクロワ。
声高に断罪を叫ぶ王太子を前に、彼女は余裕の笑みを湛えていた。
愚かな男―――否、愚かな人間に、女神は鉄槌を下す。
古の盟約に縛られた一人の『女性』を巡る、悲恋と未来のお話。
よくある感じのざまぁ物語です。
ふんわり設定。ゆるーくお読みください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる