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第16話 店主の挨拶 ※ハルトヴィヒ視点
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「挨拶に来るのが遅れてしまい、申し訳ありませんでした」
「いえいえ! そんなに畏まらなくていいですよ。新しいお店の準備も大変だったでしょう。そちらを優先して頂くように伝えていたので、何の問題もありません」
俺がそう言うと、ホッとした表情を浮かべる女性。彼女が、菓子店シェトレボーの店主であるシャルロッテ嬢だ。その彼女が、わざわざ挨拶しに来てくれた。
しばらく前に帝国へやって来た彼女は、新しいお店を開店するため奮闘していた。その手伝いをするように、商人イングルを送り込んだ。どうやら、役に立ったようでなによりだ。その御礼も兼ねて、こうして挨拶に来たというわけらしい。
しかし貴族の令嬢が、自ら挨拶に来るとは恐れ入る。だからこそ、あの素晴らしいお店や菓子が誕生したんだろう。
彼女と顔を合わせるのは、今回が初めてだった。先程言った通り、わざわざ挨拶しに来るより、お店の開店準備を優先してほしいと伝えてあったから。なるべく邪魔にならないよう、気を付けた。俺は、ちょっとばかり出資して、配下の商人を派遣して支援しただけ。
帝国にやって来た菓子店シェトレボーは、初日から大盛況だった。帝国の民も気に入ったようで、連日行列が出来ているらしい。俺としても嬉しいことだった。
もちろん俺も、新しく出来た菓子店シェトレボーの商品を何品か買ってきてもらい食べた。帝国に来ても味は変わらず素晴らしいまま、絶品だった。
今までは、お店が遠距離にあって購入するだけでも大変だった。鮮度の問題もあるので、一部の商品しか食べることが出来なかった。しかし今は、いつでも買いに行ける距離にお店がある。どれでも選んで食べることが出来る。こんな幸せなことはないだろう。
帝国に来てくれて、本当に良かった。特に、あの商品とか食べて感動した。他にも食べたいと思う商品が沢山あって、楽しみが尽きない。
「だから、菓子店シェトレボーの商品は素晴らしいんですよ! ……、っと」
気が付くと、俺は菓子店シェトレボーで販売している商品の素晴らしさを熱弁していた。話を聞くシャルロッテ嬢は、苦笑しながら相槌を打っていた。
その表情を見て、ようやく気付いた。しまった、つい興奮して一方的に語り過ぎたかもしれない。一旦落ち着いてから、話を再開した。
「……失礼しました。つい興奮してしまいましたね」
「嬉しいです! 私達のお菓子を評価してくれて、ありがとうございます!」
語り過ぎないように気を付けていたが、駄目だった。気を遣ってくれたのだろう、彼女は迷惑じゃないと言ってくれた。でも、自重しないと。
「ところで、ちょっとご相談したい事があるのですが」
「はい、何でしょうか?」
話が変わって、今度はシャルロッテ嬢から何かお願いしたい事があると言われた。俺に出来ることであれば、何でも協力するつもり。菓子店シェトレボーのためになる事であれば、なおさらだ。
「いえいえ! そんなに畏まらなくていいですよ。新しいお店の準備も大変だったでしょう。そちらを優先して頂くように伝えていたので、何の問題もありません」
俺がそう言うと、ホッとした表情を浮かべる女性。彼女が、菓子店シェトレボーの店主であるシャルロッテ嬢だ。その彼女が、わざわざ挨拶しに来てくれた。
しばらく前に帝国へやって来た彼女は、新しいお店を開店するため奮闘していた。その手伝いをするように、商人イングルを送り込んだ。どうやら、役に立ったようでなによりだ。その御礼も兼ねて、こうして挨拶に来たというわけらしい。
しかし貴族の令嬢が、自ら挨拶に来るとは恐れ入る。だからこそ、あの素晴らしいお店や菓子が誕生したんだろう。
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◆◆◆ 更新中の作品 ◆◆◆
【新作】婚約者を妹に取られましたが、社交パーティーの評価で見返してやるつもりです
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【完結】欲しいというなら、あげましょう。婚約破棄したら返品は受け付けません。
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