お菓子店の経営に夢中な私は、婚約破棄されても挫けない!

キョウキョウ

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第15話 たかが菓子で ※エヴラール王子視点

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「なぜ僕が、怒られないといけないんだ!」

 最近、王国の民が帝国へ移り住んでいるらしい。その理由が、あの女の店にあるというのだ。僕が営業禁止を命じた、彼女が経営していたという菓子店。

 王国での商売をやめて店を閉じると、帝国に移って新しく店を開いたそうだ。それを知って、多くの者達が帝国に移り住んでいるらしい。

 あの後、彼女はちゃんと僕の命じた通りに従ったらしい。王国にあった店を全て、閉じたそうだ。だが、まさか帝国に行くなんて予想外なことをしていた。

 父から呼び出されて、その事を問い詰められた。どうして、そんな事をしたのかと。だから僕は正直に事実を話した。貴族の令嬢が商売するなんて、品位に欠ける事であると注意した。正しい事を言ったはずなのに。話を聞いた父は、暗い表情。どうしてだろう。意味が分からない。

 彼女は、僕よりも商売を優先していた。そんなの間違っている。婚約相手だった僕の事を、日頃から気にしていない様子だった。それが許せなかった。

 説明し終わると、父は頭を抱えていた。そんなに、おかしな事なのだろうか。

 国民の流出は僕の行いが原因だから、どうにかしろと言われた。こんな状況にした責任を取れと、僕に言う。そんな事、急に言われても。原因は僕じゃないのに。一番悪いのは、勝手に王国から出ていった、あの女の方だろう。先に彼女を罰するべき。どうして僕が、怒られないといけないのか。納得いかない。

 そもそも、こんな事になった原因も不可解だった。たかが菓子を売っているだけの店が移転しただけで、そんなに大きな影響をもたらすなんて、僕には信じられなかった。もっと他に理由があるんじゃないのか。



 父との話し合いを終えて、すぐに僕は行動し始める。とりあえず今は、王国の民の流出を防ぐための対策が必要だろう。原因が菓子なら、対処するのは簡単だ。菓子を売っている他の店を支援してやれば良い。それだけで、問題は解決するはず。

「王国にある菓子店を支援してやれ」
「はっ! ですが、どのお店を」
「別にどれでも良い。適当に選んで、金を払ってやれば良いだろう。急げよ」
「……了解しました」

 部下に命令する。民は、菓子を求めているようだから。解決方法は簡単だ。適当な菓子店を選んで支援してやれば、それで不満も解消するはず。王国には、菓子を売る店が多くあるのだから。そこに金を払って働かせれば、それで上手くいくはず。

 それよりも、民の流出の根本の原因を探るべきだろう。きっと裏には、何か大きな問題が隠れているはずだから。たかが菓子の不満なんかで、民が簡単に他国へ流れていくわけがない。本当の原因を見つけて、早急に解決しないといけない。
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