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第26話 不一致 ※フェリベール王子視点
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「お久しぶりです、フィリベール殿下」
「お、おう。久しぶりだなレティシア」
最初は、和やかに挨拶することが出来た。久しぶりに再会したが、レティシアとは普通に話せている。
婚約を破棄したことや辺境に送ったことは気にしていない様子だった。何の問題もないようで安心する。これなら、ちゃんと話し合えば元通りに出来そうだな。
そう思って話しているうちに、衝撃の事実が発覚した。
「私達、結婚しましたから」
レティシアは、そう言った。聞き間違いじゃない。だけど、信じられない。彼女が他の誰かと結婚したなんて。そんなの嘘だろう。受け入れられない。
だって彼女は、俺の婚約相手だったのに。
レティシアとの婚約を破棄して、新しい婚約相手に勧めたのは俺だ。けれど、それには理由があった。彼女よりも自分の方が立場が上であることを理解させるために、やったこと。今考えたら、本当に馬鹿だった。もう分かっている。でも、こんな事になるなんて。酷すぎるだろう。
「こんな男より、俺の方が良いに決まっている。そうだろう?」
肯定してくれることを信じて、レティシアに問いかけた。だが、返ってきた言葉は俺の求めているものじゃなかった。
「もちろん、彼を選ぶに決まっています」
「なっ!?」
レティシアは、横に立っていた男に抱きついて笑った。俺が初めて見る、心からの笑顔だった。俺に対しては絶対に見せなかった表情。それを、見せつけられた。
「そんな男の、どこが良いんだ!? 周りから、酷い目で見られているのを感じないのか。お前まで、同じように見られるんだぞ!」
思わず言っていた。そうだ。そんな男と一緒に居たら、レティシアが不幸になってしまうから。彼女のことを思って、俺は忠告しているのに。
「私の事を心配してくださるんですか? ありがとうございます。ですが、心配無用ですわ。どんな視線を向けられても、私にはブレイク様がいらっしゃいますもの」
「……っ! 本当に、その男が好きなのか?」
「ええ、私はブレイク様を愛しています」
そう言われて、理解した。彼女は本気で言っている。もう手遅れだった。
あまりの悔しさに、唇を噛んだ。強く噛み続けた。口の中に血の味が広がる。悔しい。悲しい。辛い。どうしてこうなったのか。あの時に俺が、彼女との婚約を破棄してしまったからだろう。
「お前が……、そこまで言うのなら……」
彼女の返事も聞かないで、急いでその場を離れた。気付いた時には、自室に居た。全身の力が抜けて、ベッドに倒れ込む。そして俺は、考え続けた。
もしかして俺は、今まで勘違いしていたのか。レティシアに、嫌われていたのか。どうして嫌われたのか、本気で分からない。
どこで嫌われたのか。いつから嫌われていたのか。おそらく、彼女との婚約を破棄してしまったのがダメだった。
もう元通りにはならないことだけは、理解した。
「お、おう。久しぶりだなレティシア」
最初は、和やかに挨拶することが出来た。久しぶりに再会したが、レティシアとは普通に話せている。
婚約を破棄したことや辺境に送ったことは気にしていない様子だった。何の問題もないようで安心する。これなら、ちゃんと話し合えば元通りに出来そうだな。
そう思って話しているうちに、衝撃の事実が発覚した。
「私達、結婚しましたから」
レティシアは、そう言った。聞き間違いじゃない。だけど、信じられない。彼女が他の誰かと結婚したなんて。そんなの嘘だろう。受け入れられない。
だって彼女は、俺の婚約相手だったのに。
レティシアとの婚約を破棄して、新しい婚約相手に勧めたのは俺だ。けれど、それには理由があった。彼女よりも自分の方が立場が上であることを理解させるために、やったこと。今考えたら、本当に馬鹿だった。もう分かっている。でも、こんな事になるなんて。酷すぎるだろう。
「こんな男より、俺の方が良いに決まっている。そうだろう?」
肯定してくれることを信じて、レティシアに問いかけた。だが、返ってきた言葉は俺の求めているものじゃなかった。
「もちろん、彼を選ぶに決まっています」
「なっ!?」
レティシアは、横に立っていた男に抱きついて笑った。俺が初めて見る、心からの笑顔だった。俺に対しては絶対に見せなかった表情。それを、見せつけられた。
「そんな男の、どこが良いんだ!? 周りから、酷い目で見られているのを感じないのか。お前まで、同じように見られるんだぞ!」
思わず言っていた。そうだ。そんな男と一緒に居たら、レティシアが不幸になってしまうから。彼女のことを思って、俺は忠告しているのに。
「私の事を心配してくださるんですか? ありがとうございます。ですが、心配無用ですわ。どんな視線を向けられても、私にはブレイク様がいらっしゃいますもの」
「……っ! 本当に、その男が好きなのか?」
「ええ、私はブレイク様を愛しています」
そう言われて、理解した。彼女は本気で言っている。もう手遅れだった。
あまりの悔しさに、唇を噛んだ。強く噛み続けた。口の中に血の味が広がる。悔しい。悲しい。辛い。どうしてこうなったのか。あの時に俺が、彼女との婚約を破棄してしまったからだろう。
「お前が……、そこまで言うのなら……」
彼女の返事も聞かないで、急いでその場を離れた。気付いた時には、自室に居た。全身の力が抜けて、ベッドに倒れ込む。そして俺は、考え続けた。
もしかして俺は、今まで勘違いしていたのか。レティシアに、嫌われていたのか。どうして嫌われたのか、本気で分からない。
どこで嫌われたのか。いつから嫌われていたのか。おそらく、彼女との婚約を破棄してしまったのがダメだった。
もう元通りにはならないことだけは、理解した。
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