経済的令嬢活動~金遣いの荒い女だという理由で婚約破棄して金も出してくれって、そんなの知りませんよ~

キョウキョウ

文字の大きさ
上 下
32 / 37

第32話 反撃の準備 ※アーヴァイン王子視点

しおりを挟む
 クリスティーナとの話し合いは、失敗に終わった。わざわざ出向いてやったのに、彼女は助けてくれなかった。生意気な護衛を引き連れて、屋敷から追い出した。

 王子である、この私を!

 いつから、あんなに偉そうになったのか。もともと自分勝手で、周りのことなどは考えない女だった。私との婚約を破棄して以降、さらに彼女は増長したのか。

 彼女だけじゃない。彼女と一緒に居た護衛の男も生意気だった。私に対して、とても失礼な物言いをしたのだ。許せない。絶対に、許すことは出来ない。

 不敬罪で処刑してやろうと思ったのに、騎士の連中が私の命令を無視した。何故、奴を捕まえようとしないのか。どうやら、あの男は有名な傭兵だったらしい。騎士達は恐れて、生意気な男を捕まえることが出来なかったのだ。

 なんて使えない連中だろう。当然、そんな騎士連中はクビにした。いざという時、役に立たないのであれば意味がない。奴らに、王国の金を支払うのは勿体無いから。ただでさえ、今は大変な時期だというのに。

 活動予算が削られて訓練不足とか、装備の手入れが出来ないだとか。そんな文句を言われても困る。結局、動けなかったのだから。王国の騎士として雇っている以上、最低限の仕事くらいこなせるようになって欲しいものだ。

 残念ながら奴らはクビにしたので、汚名返上の機会は二度と訪れないだろうが。

 今回の話し合いで、分かったこともある。やはりクリスティーナは、大量の資金を隠し持っているのは間違いない。あれだけ大きな屋敷を保有していて、有名な傭兵を護衛として雇うことが出来るのだから。かなりの大金を貯め込んでいるはず。

 そのお金があれば、今の王国の困難な状況を立て直す事も可能だろう。どうやって彼女からお金を巻き上げるべきか。

 クリスティーナは、ずる賢い女である。貴族令嬢のくせに、金儲けに関する知識が豊富だった。資料を使って詳しく説明されたが、私には知識がない。話を聞いても、わからない。だから、不正を見破ることが出来なかった。指摘できなかった。下手に指摘したら、そこから反撃されるのも分かりきっていた。

 だから、あの場所では大人しくしておくのが正解だっただろう。腹がたつけれど。

 どうにかして反撃したい。逆らったことを後悔させてやりたい。あまり強引な手は使いたくなかったけれど、手段を選んでいる余裕はないのかもしれない。

 仕方ない。ここは多少のリスクを負ってでも、強引に動くしかないようだ。お金を使って兵士を集め、クリスティーナの屋敷に押し掛けるしかないか。今度こそ、私の言うことを聞いてもらう。

 あの屋敷には傭兵で護衛の男が居る。彼の他にも、戦力を揃えているようだった。あれに対抗できるぐらいの戦力を集める必要があるだろう。

 これは無駄遣いではなく、必要経費だ。王国の平和のため、少し遠回りになるかもしれないが、早急に解決しておくべき問題。速攻で片付ける。

 騎士は敵を恐れて、命令に従わなかった。ならば、大量の兵士で押しかければ問題ないはずだ。今度は失敗しないように、数で押す。そのための準備を整えなければ。敵に気付かれないよう、慎重に。

 私は静かに、頭の中で彼女たちに反撃するプランを練っていった。
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

公爵令嬢は婚約破棄に感謝した。

見丘ユタ
恋愛
卒業パーティーのさなか、公爵令嬢マリアは公爵令息フィリップに婚約破棄を言い渡された。

義妹が聖女を引き継ぎましたが無理だと思います

成行任世
恋愛
稀少な聖属性を持つ義妹が聖女の役も婚約者も引き継ぐ(奪う)というので聖女の祈りを義妹に託したら王都が壊滅の危機だそうですが、私はもう聖女ではないので知りません。

ダンスパーティーで婚約者から断罪された挙句に婚約破棄された私に、奇跡が起きた。

ねお
恋愛
 ブランス侯爵家で開催されたダンスパーティー。  そこで、クリスティーナ・ヤーロイ伯爵令嬢は、婚約者であるグスタフ・ブランス侯爵令息によって、貴族子女の出揃っている前で、身に覚えのない罪を、公開で断罪されてしまう。  「そんなこと、私はしておりません!」  そう口にしようとするも、まったく相手にされないどころか、悪の化身のごとく非難を浴びて、婚約破棄まで言い渡されてしまう。  そして、グスタフの横には小さく可憐な令嬢が歩いてきて・・・。グスタフは、その令嬢との結婚を高らかに宣言する。  そんな、クリスティーナにとって絶望しかない状況の中、一人の貴公子が、その舞台に歩み出てくるのであった。

婚約者を奪われた私は、他国で新しい生活を送ります

天宮有
恋愛
侯爵令嬢の私ルクルは、エドガー王子から婚約破棄を言い渡されてしまう。 聖女を好きにったようで、婚約破棄の理由を全て私のせいにしてきた。 聖女と王子が考えた嘘の言い分を家族は信じ、私に勘当を言い渡す。 平民になった私だけど、問題なく他国で新しい生活を送ることができていた。

婚約破棄は誰が為の

瀬織董李
ファンタジー
学園の卒業パーティーで起こった婚約破棄。 宣言した王太子は気付いていなかった。 この婚約破棄を誰よりも望んでいたのが、目の前の令嬢であることを…… 10話程度の予定。1話約千文字です 10/9日HOTランキング5位 10/10HOTランキング1位になりました! ありがとうございます!!

見た目普通の侯爵令嬢のよくある婚約破棄のお話ですわ。

しゃち子
恋愛
侯爵令嬢コールディ・ノースティンはなんでも欲しがる妹にうんざりしていた。ドレスやリボンはわかるけど、今度は婚約者を欲しいって、何それ! 平凡な侯爵令嬢の努力はみのるのか?見た目普通な令嬢の婚約破棄から始まる物語。

お飾り呼ばわりされた公爵令嬢の本当の価値は

andante
恋愛
婚約者を奪おうとする令嬢からからお飾り扱いだと侮辱される公爵令嬢。 しかし彼女はお飾りではなく、彼女を評価する者もいた。

婚約破棄?とっくにしてますけど笑

蘧饗礪
ファンタジー
ウクリナ王国の公爵令嬢アリア・ラミーリアの婚約者は、見た目完璧、中身最悪の第2王子エディヤ・ウクリナである。彼の10人目の愛人は最近男爵になったマリハス家の令嬢ディアナだ。  さて、そろそろ婚約破棄をしましょうか。

処理中です...