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第28話 移住の準備中に
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「こちらが移住予定地の調査結果です」
「ありがとう。確認するわ」
マティアスが用意してくれたという、大量の移住民を受け入れ可能な土地について調査を行った。これは、私的に雇っている部下に指示して調べてもらった。
本当に、移住民を受け入れ可能なのか。住環境に問題はないか。植物の育成に適した養分を十分に蓄えた土地なのか。周辺に凶暴なモンスターは生息していないか。犯罪組織や裏社会と関わりのある人間が紛れ込んでこないか。など、安全面に問題はないのか、しっかりと調査をさせたのだ。
彼が用意してくれたのなら、おそらく大丈夫なんだと思う。思いつく問題は、ちゃんとクリアしているのでしょう。だけど、自分でも調査しておかないと気になってしまう。マティアスから教えてもらった、情報の重要性を理解しているからだと思う。
「――うん、問題ないみたいね。いい仕事だわ」
「お褒めいただき光栄です」
調査結果の資料を確認して満足そうにする私。それを見て、部下は嬉しそうな顔をした。私の役に立つことを喜んでくれているのだろう。
「あとで報酬を渡すわね」
「ありがとうございます!」
こうして部下への報奨金を用意しておくことも大切だ。報奨金を渡せば、そのお金を得るために頑張ろうとしてくれるもの。部下との関係構築にも繋がる。
移住先の情報を確認しながら、今後の計画を練ることにする。移住に必要な物資については、すでに手配済みだ。私が直々に出向いて買い出しをしている。もちろん、信頼できる人間に任せてあるけれど。マティアスも、色々と用意してくれているらしい。
食料などの必需品は既に購入を終えていて、次は移住民たちのための住居を建てなければならない。移住先には、廃村になっている場所があるそうだ。そこに残された建物を修繕して、移住の第一陣は間に合わせる。その後に、住民を受け入れるための新たな建物を建築する予定。住む場所を確保するために、先に大工などの人員を送り出す必要がある。
それから、食料の確保。ある程度は持っていくが、向こうで自給できるようにしたいところ。そのためには、農業従事者が必要だ。ただ、農業をするとなると農地が必要になる。今は手つかずの土地を、開拓することになるはず。それまで待っていられないから、自分たちで作らないといけない。
他にも必要なものはたくさんある。移住者たちを迎え入れるために、生活基盤を整えなくてはならない。私は、机の上に広げられた資料を見ながら考える。ある程度の形にしてから、マティアスや協力者たちに相談する。そして、問題がないように計画を調整していく。それが今の私の役目。
「お仕事中のところ申し訳ございません、お嬢様」
「どうしたの、ミア?」
「お客様がお見えになっております」
「客?」
移住計画について考え込んでいると、メイドのミアが知らせてくれた。来客の予定はなかったはずだが、誰が来たんだろう? マティアスではないのかしら。ミアは申し訳無さそうな表情をしながら、誰が来たのか教えてくれた。
「それが突然、アーヴァイン王子が来てお嬢様を出せと……」
「あー、うん。なるほど。私が対応するわね」
「ありがとう。確認するわ」
マティアスが用意してくれたという、大量の移住民を受け入れ可能な土地について調査を行った。これは、私的に雇っている部下に指示して調べてもらった。
本当に、移住民を受け入れ可能なのか。住環境に問題はないか。植物の育成に適した養分を十分に蓄えた土地なのか。周辺に凶暴なモンスターは生息していないか。犯罪組織や裏社会と関わりのある人間が紛れ込んでこないか。など、安全面に問題はないのか、しっかりと調査をさせたのだ。
彼が用意してくれたのなら、おそらく大丈夫なんだと思う。思いつく問題は、ちゃんとクリアしているのでしょう。だけど、自分でも調査しておかないと気になってしまう。マティアスから教えてもらった、情報の重要性を理解しているからだと思う。
「――うん、問題ないみたいね。いい仕事だわ」
「お褒めいただき光栄です」
調査結果の資料を確認して満足そうにする私。それを見て、部下は嬉しそうな顔をした。私の役に立つことを喜んでくれているのだろう。
「あとで報酬を渡すわね」
「ありがとうございます!」
こうして部下への報奨金を用意しておくことも大切だ。報奨金を渡せば、そのお金を得るために頑張ろうとしてくれるもの。部下との関係構築にも繋がる。
移住先の情報を確認しながら、今後の計画を練ることにする。移住に必要な物資については、すでに手配済みだ。私が直々に出向いて買い出しをしている。もちろん、信頼できる人間に任せてあるけれど。マティアスも、色々と用意してくれているらしい。
食料などの必需品は既に購入を終えていて、次は移住民たちのための住居を建てなければならない。移住先には、廃村になっている場所があるそうだ。そこに残された建物を修繕して、移住の第一陣は間に合わせる。その後に、住民を受け入れるための新たな建物を建築する予定。住む場所を確保するために、先に大工などの人員を送り出す必要がある。
それから、食料の確保。ある程度は持っていくが、向こうで自給できるようにしたいところ。そのためには、農業従事者が必要だ。ただ、農業をするとなると農地が必要になる。今は手つかずの土地を、開拓することになるはず。それまで待っていられないから、自分たちで作らないといけない。
他にも必要なものはたくさんある。移住者たちを迎え入れるために、生活基盤を整えなくてはならない。私は、机の上に広げられた資料を見ながら考える。ある程度の形にしてから、マティアスや協力者たちに相談する。そして、問題がないように計画を調整していく。それが今の私の役目。
「お仕事中のところ申し訳ございません、お嬢様」
「どうしたの、ミア?」
「お客様がお見えになっております」
「客?」
移住計画について考え込んでいると、メイドのミアが知らせてくれた。来客の予定はなかったはずだが、誰が来たんだろう? マティアスではないのかしら。ミアは申し訳無さそうな表情をしながら、誰が来たのか教えてくれた。
「それが突然、アーヴァイン王子が来てお嬢様を出せと……」
「あー、うん。なるほど。私が対応するわね」
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