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第15話 市場からも追放

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 都市開発に関わっていた業者の代表者と会議を行った。そして、皆の状況について聞いて、知った。最悪な状況である、ということが分かった。

「突然、仕事場に兵士達が来て、全ての仕事を中止しろと命令してきやがったのさ。それで、作業を続けることが出来なくなった」
「あれは、酷いですぜ。ある日、現場に行ってみたら兵士が待っていて、その仕事は中止だと告げてきやがった。そんな話は聞いていないと抗議したら、問答無用で追い返されましたよ」
「うちも、そうだ。兵士が待ち構えていて、一方的に作業の中止を通告されたんだ。あんなことは初めてだぞ」

 業者の代表者たちの言葉を聞いた私は、怒りを抑えるのに必死だった。それから、アーヴァイン王子が予想していたよりも愚かだということを、改めて思い知った。

 計画は順調に進んでいた。そのまま放置しておけば、無事に完了していたはずだ。それを、わざわざ中止してしまうなんて。無駄を省くべきだと繰り返し、何度も語っていたアーヴァイン王子。だけど、中止してしまう方が無駄なんじゃないのかしら。

 計画が完了した暁には、自分の手柄に出来たはずなのに。

 今までの彼らの苦労してきた仕事を全て水の泡にする行為。どうしてこんなことをしたのかしらね……。私には理解できないわ。

 でも、これで分かったことがある。それは、アーヴァイン王子が何を考えているかではなくて、彼が何をしようとしているかということだ。

「つまり、私の関係者を市場から追い出そう、ということね……」

 婚約を破棄するだけでなく、私の関係者を市場に出さないように手を回したというわけね。一体何のために……? 

 そんなの、決まっている。私がこの国で商売が出来ないようにするため。私の行動範囲を制限しようとして、そのような暴挙に出たのね。それぐらいしか、彼の行動の理由が思いつかない。

 だけど、そんな嫌がらせのためだけに王都を混乱させるだなんて。やっぱり私は、彼が何を考えているのか分からない。

 もしかしたら私には思いつかないような、他に大きな目的があるのかもしれない。

「どうしましょうか、クリスティーナ様?」

 代表者の皆が、すがるような目でこちらを見つめてくる。このまま彼らを放置すると、仕事がなくなって失業者が大量に出てしまうだろう。そうなると、彼らは路頭に迷ってしまうことになる。

 それに、彼らだけではない。他の職人達の多くが仕事を失い、生活が出来なくなるだろう。下手をすれば、スラム街の住民になってしまうことだってあり得るのだ。

 それだけは絶対に避けなければならない。

 市場から追い出された彼らは、王都では新たな仕事を請け負うことは出来ないわ。新たな仕事を用意する? せっかく優秀なのに、他の仕事で活かせるのか。

 こうなってしまうと、王国から別の国へ行くしかない。だけど、大量に人が居る。その大勢で移動するとなると、大規模な準備がいるだろう。他国へ移住するにも、様々な問題がつきまとう。

 移住先を探すだけでも一苦労だし、移住した後の生活基盤を整えるにしても時間が必要だ。とてもではないが、すぐに出来るものではない。

 私の力だけでは、どうにも出来ないわ。やはり、この問題を解決するためには彼を頼るしか方法がないかもしれない。

 とにかく、商人のマティアスと会って話さなければ。
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