経済的令嬢活動~金遣いの荒い女だという理由で婚約破棄して金も出してくれって、そんなの知りませんよ~

キョウキョウ

文字の大きさ
上 下
14 / 37

第14話 良くするために ※アーヴァイン王子視点

しおりを挟む

「えっと……あの……僕が本当に芸能人になれるんですか?」

 ずっと見られているこの沈黙の時間が気恥ずかしくて、僕は適当に質問を投げかけた。

「あなたのやる気と努力次第です。あなたはやる気がありますか?」

 やる気……聞かれても即答できない。そもそも、この話を信じていいのかさえ、わからない。僕、騙されてない?

「でも、これだけは知っていてください。あなたは努力すれば、必ず実ります」

 無表情で言い切る彼女に僕は驚き、聞き返した。

「必ずなんて……」
「必ずです」

 この世の中、必ずなんて事はないと言おうとした僕の言葉を遮ると、揺るがない自信に満ちた声でキッパリと言い放つ。

 なんでこの人は、初めて会った僕の将来に自信が持てるのだろう……でも……誰かに期待されるという事が少し嬉しい気がする。あんなに真っ直ぐな目で僕を見てくれて……

「本当……ですか?」
「本当です。もし、あなたが芸能界に興味があるなら、頑張れるなら、あなたの人生を我が事務所に預けて下さい」

 僕はこの女性の真剣な眼差しに魅入られ、気がつくと頭を下げていた。

「よろしくお願いします」
「マネージャーの五十嵐です。お名前は……? 葉月はづき輝良きら……いい名ですね。そのまま使っていきましょう」

 五十嵐さんは僕がさっき簡易的に書いた履歴書を見ながら、話を続ける。

「二人三脚で頑張っていきましょう。必ず、私があなたをトップアイドルに押し上げます」

 アイドル……不思議だ、この人が言うと本当にアイドルになれそうな気がする。この人の自信は、僕にも自信をくれる……でも……

 僕が、今、直面している問題が頭をよぎる。
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

義妹が聖女を引き継ぎましたが無理だと思います

成行任世
恋愛
稀少な聖属性を持つ義妹が聖女の役も婚約者も引き継ぐ(奪う)というので聖女の祈りを義妹に託したら王都が壊滅の危機だそうですが、私はもう聖女ではないので知りません。

婚約破棄?とっくにしてますけど笑

蘧饗礪
ファンタジー
ウクリナ王国の公爵令嬢アリア・ラミーリアの婚約者は、見た目完璧、中身最悪の第2王子エディヤ・ウクリナである。彼の10人目の愛人は最近男爵になったマリハス家の令嬢ディアナだ。  さて、そろそろ婚約破棄をしましょうか。

婚約破棄は誰が為の

瀬織董李
ファンタジー
学園の卒業パーティーで起こった婚約破棄。 宣言した王太子は気付いていなかった。 この婚約破棄を誰よりも望んでいたのが、目の前の令嬢であることを…… 10話程度の予定。1話約千文字です 10/9日HOTランキング5位 10/10HOTランキング1位になりました! ありがとうございます!!

見た目普通の侯爵令嬢のよくある婚約破棄のお話ですわ。

しゃち子
恋愛
侯爵令嬢コールディ・ノースティンはなんでも欲しがる妹にうんざりしていた。ドレスやリボンはわかるけど、今度は婚約者を欲しいって、何それ! 平凡な侯爵令嬢の努力はみのるのか?見た目普通な令嬢の婚約破棄から始まる物語。

公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌

招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」 毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。 彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。 そして…。

ダンスパーティーで婚約者から断罪された挙句に婚約破棄された私に、奇跡が起きた。

ねお
恋愛
 ブランス侯爵家で開催されたダンスパーティー。  そこで、クリスティーナ・ヤーロイ伯爵令嬢は、婚約者であるグスタフ・ブランス侯爵令息によって、貴族子女の出揃っている前で、身に覚えのない罪を、公開で断罪されてしまう。  「そんなこと、私はしておりません!」  そう口にしようとするも、まったく相手にされないどころか、悪の化身のごとく非難を浴びて、婚約破棄まで言い渡されてしまう。  そして、グスタフの横には小さく可憐な令嬢が歩いてきて・・・。グスタフは、その令嬢との結婚を高らかに宣言する。  そんな、クリスティーナにとって絶望しかない状況の中、一人の貴公子が、その舞台に歩み出てくるのであった。

公爵令嬢は婚約破棄に感謝した。

見丘ユタ
恋愛
卒業パーティーのさなか、公爵令嬢マリアは公爵令息フィリップに婚約破棄を言い渡された。

婚約破棄されたので四大精霊と国を出ます

今川幸乃
ファンタジー
公爵令嬢である私シルア・アリュシオンはアドラント王国第一王子クリストフと政略婚約していたが、私だけが精霊と会話をすることが出来るのを、あろうことか悪魔と話しているという言いがかりをつけられて婚約破棄される。 しかもクリストフはアイリスという女にデレデレしている。 王宮を追い出された私だったが、地水火風を司る四大精霊も私についてきてくれたので、精霊の力を借りた私は強力な魔法を使えるようになった。 そして隣国マナライト王国の王子アルツリヒトの招待を受けた。 一方、精霊の加護を失った王国には次々と災厄が訪れるのだった。 ※「小説家になろう」「カクヨム」から転載 ※3/8~ 改稿中

処理中です...