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第35話 新たな絆の始まりに

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 あの事件から数週間が経った。その間に婚約が決まったり、エドガー様と定期的に会ってお話したり、これから先のことについて色々と考えた。



 あの二人は学園から姿を消したが、その話題を口にする者はいない。

 私は、エドガー王子から聞いていた。二人は、遠くへ旅立ったんだと。辺境の地へ送られたので、アルフレッド王子とは今後も会うこともないだろうと。

 ヴァネッサに関しては、詳しく聞いていない。あれから、彼女の姿を一切見ていない。おそらく、秘密裏に処理されたのでしょうね。その真実を探ろうとは思わない。エドガー様が詳細を話さないのは、私に知る必要がないからだと思う。

 とにかく、私は友人たちと一緒に魔法の腕を磨きながら、平穏な日々を送っている。

 一度は婚約を破棄されて、王妃になる可能性は無くなったと思っていた。だけど、エドガー様の婚約相手になって妃教育を受け直すことにした。しっかりと準備して、万全の体制で彼を支えていきたい。

 エドガー様とは、定期的にお話する機会を設けている。

 今日は穏やかな日差しの下、私はエドガー様と一緒にお城の庭園を散歩している。彼の凛々しい横顔を見るたび、胸の鼓動が速くなる。まだまだ慣れそうにない。

「こんなに穏やかな時間が過ごせるなんて、思っていなかった」

 ふと、そんな思いを口にする。エドガー様が優しい表情で頷いた。

「俺も同じだよ。君といると、安らぎを感じるんだ。王の座に近寄ってしまったら、無理だと思っていた。まあ、これから先が大変なのかもしれないが」

 私たちは、ゆっくりと歩みを進める。エドガー様との距離は、以前よりも少し近くなっていた。

「できる限り、私は貴方を支えていきます」
「ああ、頼むよ。君の力は、とても頼もしいからね。でも、無理し過ぎないように。できる範囲でお願いするよ」
「はい、もちろんです」

 頼りにされている、というのが嬉しい。これまで魔法の技術を磨いてきた意味があったと思える。

「何度も言うが、君という素敵な人と一緒になれたこと、心から感謝しているんだ」
「私もです。エドガー様に出会えて本当に良かった。これからもずっと、傍にいさせてください」

 私たちは見つめ合いながら微笑んだ。色々あった日々も、今となっては必要な経験だったと思う。あれがあったこそ、今がある。

「君といると、予想外の楽しい発見がたくさんあるから、これからが楽しみだ」
「はい、私も。私たちなりのペースで、ゆっくりと進んでいきましょう」

 きっとこの先、私とエドガー様の間には、新しい絆が芽生えていくのだろう。

 穏やかな風が、二人を包み込むように吹いていた。希望に満ちた新しい人生の始まりを感じながら、私たちは歩み続ける。

 まだ見ぬ未来へと続く道を、いつまでも一緒に。
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