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第20話 甘美な時間 ※ヴァネッサ視点
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アルフレッド王子と自由に会える時間が増えた。でも、正式にはまだ婚約相手とは認められていないらしい。色々と手続きが必要なんだとか。
婚約破棄の手続きに時間がかかったように、新たな婚約にも様々な手続きが必要なのね。なんて面倒なの。さっさと私を認めてくれたらいいのに。
でも、前のように隠れて会う必要がなくなったのは大きな進歩。私は毎日のようにアルフレッド王子の部屋に通い、彼と過ごす時間を楽しんでいる。
彼の部屋に向かう時、周りから羨望のまなざしを感じるの。お城や宮殿を歩くたびに、言い表せない満足感に包まれるわ。これもすべて、アルフレッド王子に選んでもらえたおかげ。
「ヴァネッサ、君が来るのを待っていたよ」
アルフレッドの部屋に入ると、彼はソファーに座って私を待っていた。彼が優しく微笑むと、私の心は踊る。
「アルフレッド様、お待たせしちゃってごめんなさい」
私はアルフレッド王子の隣に腰掛け、彼の腕に抱きつく。彼は私の頬に手を添えて、優しく撫でてくれる。
「君は本当に美しいね。この世界で一番美しい女性だよ」
「アルフレッド様こそ、最高にハンサムですわ。私、あなたのことが大好きです」
甘い言葉を交わしながら、私たちは見つめ合う。まるで、この世界に2人だけしかいないかのように。
アルフレッド王子とイチャイチャするのは、本当に楽しい。彼との会話は心地良くて、褒め言葉をかけてくれるのが嬉しいの。それから、前の婚約相手について色々と愚痴るのが、なんとも気持ちいいわ。
「エレノアが、あんなに強力な魔法を使いこなせることを事前に教えてほしかったですわ」
アルフレッド王子は、困惑した表情で首を振る。
「俺だって知らなかったんだ。エレノアがあれほどの力を隠していたなんて。君から教えてもらって、初めて知ったんだよ」
彼は眉をひそめ、不満げに言葉を続ける。その表情に嘘はない。それぐらい、あの女との関係は薄かったのね。それは、喜ぶべきこと。
「まったく、彼女は自分の力を隠していたなんて。俺にも黙っていたなんて、そこまで卑怯な女とは思っていなかった。君にも迷惑をかけたね」
私も同意するように頷く。
「そうですわ! もしも事前に知っていたら、あんな状況にはならなかったはずよ。全ては、エレノアが隠していたせいです」
私は、憤慨を隠さずに言葉を吐き捨てる。
「あの女、自分の力を隠しておいて、今になって見せびらかすなんて、許せません!」
アルフレッド王子も私と同じように、怒りを露わにする。
「エレノアのせいで、俺たちは振り回されているようなものだ。彼女は俺たちを欺いていたんだ」
「そうですわ。私たちが馬鹿を見たようなもの。あの女の本性を知らずに、良いように利用されて。許すことは出来ません」
だけど、エレノアは立場を奪われた哀れな女。最近は、色々と人気取りに必死みたい。あんなに実力があると発覚した時は、少し焦ったけど、それだけよ。王子の婚約相手という立場を失ったんだから、もう大人しくしていてほしいわ。
今は友人という名の下僕を増やして、魔法を教えたりしている。失った立場を取り戻そうと必死みたい。仲間を増やして、どうにかしようと考えているのかもしれないわね。けれど、もう王妃の座を取り返すことは不可能よ。
アルフレッド王子がはっきりと否定しているもの。彼女と関係を戻すことは、ありえないって。その言葉を聞いて、安心している。
これからは、堂々と王妃の座に就くために、ゆっくり準備していかないと。魔法の腕を上げるのも、王族のマナーを学ぶのも、すべては王妃になるために。
婚約破棄の手続きに時間がかかったように、新たな婚約にも様々な手続きが必要なのね。なんて面倒なの。さっさと私を認めてくれたらいいのに。
でも、前のように隠れて会う必要がなくなったのは大きな進歩。私は毎日のようにアルフレッド王子の部屋に通い、彼と過ごす時間を楽しんでいる。
彼の部屋に向かう時、周りから羨望のまなざしを感じるの。お城や宮殿を歩くたびに、言い表せない満足感に包まれるわ。これもすべて、アルフレッド王子に選んでもらえたおかげ。
「ヴァネッサ、君が来るのを待っていたよ」
アルフレッドの部屋に入ると、彼はソファーに座って私を待っていた。彼が優しく微笑むと、私の心は踊る。
「アルフレッド様、お待たせしちゃってごめんなさい」
私はアルフレッド王子の隣に腰掛け、彼の腕に抱きつく。彼は私の頬に手を添えて、優しく撫でてくれる。
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「アルフレッド様こそ、最高にハンサムですわ。私、あなたのことが大好きです」
甘い言葉を交わしながら、私たちは見つめ合う。まるで、この世界に2人だけしかいないかのように。
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「エレノアが、あんなに強力な魔法を使いこなせることを事前に教えてほしかったですわ」
アルフレッド王子は、困惑した表情で首を振る。
「俺だって知らなかったんだ。エレノアがあれほどの力を隠していたなんて。君から教えてもらって、初めて知ったんだよ」
彼は眉をひそめ、不満げに言葉を続ける。その表情に嘘はない。それぐらい、あの女との関係は薄かったのね。それは、喜ぶべきこと。
「まったく、彼女は自分の力を隠していたなんて。俺にも黙っていたなんて、そこまで卑怯な女とは思っていなかった。君にも迷惑をかけたね」
私も同意するように頷く。
「そうですわ! もしも事前に知っていたら、あんな状況にはならなかったはずよ。全ては、エレノアが隠していたせいです」
私は、憤慨を隠さずに言葉を吐き捨てる。
「あの女、自分の力を隠しておいて、今になって見せびらかすなんて、許せません!」
アルフレッド王子も私と同じように、怒りを露わにする。
「エレノアのせいで、俺たちは振り回されているようなものだ。彼女は俺たちを欺いていたんだ」
「そうですわ。私たちが馬鹿を見たようなもの。あの女の本性を知らずに、良いように利用されて。許すことは出来ません」
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アルフレッド王子がはっきりと否定しているもの。彼女と関係を戻すことは、ありえないって。その言葉を聞いて、安心している。
これからは、堂々と王妃の座に就くために、ゆっくり準備していかないと。魔法の腕を上げるのも、王族のマナーを学ぶのも、すべては王妃になるために。
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