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第19話 友情の魔法
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その日の授業が全て終わって、教室を出ようとしていると、友人たちが集まってきた。
「ねぇ、エレノア様。今日の授業での活躍、本当に凄かった」
「私たちも、アナタのように魔法を使いこなせるようになりたいの」
「もし時間があれば、これから練習するのを見てくれない?」
突然のお願いに、私は少し驚いた。でも、婚約を破棄されたおかげで、王妃教育の時間が空いていた。彼女たちの練習を見るくらいの余裕はある。やる気もあるので、手伝いたいと思った。
「いいわよ。時間はたっぷりあるから、みんなの力になれるよう頑張るわ」
私の返事に、友人たちは喜んだ。友人たちの目がキラキラと輝き、笑顔が広がる。
訓練場に移動してきた私たちは、まず各自の実力を確かめることにした。
一人ひとりの魔法を見ていき、課題を指摘する。
「あなたは、もう少し集中力が必要ね」
「そこのあなたは、動作が雑すぎるわ。もっと丁寧に」
私のアドバイスに、友人たちは真剣に耳を傾けている。これまで何度かアドバイスしたことあったけれど、その時とは真剣度が違う。その頃は、周りに合わせて実力を抑えていた。やっぱり、実力がある人から聞くアドバイスのほうが効果的なのね。
実力を隠していたことが、少しだけ申し訳なく思えてきた。もっと早く、せめて友人たちには打ち明けておくべきだったかもしれない。
そうすれば、もっと早くからみんなの力になれたかもしれないのに。
でも、友人たちはあまり気にしていないようだ。みんな、今この瞬間に集中している。それなら私も、この時間を大切にして、指導に集中しよう。
「ねぇエレノア様、朝のことなんだけど……」
訓練の休憩中、一人の友人が切り出した。
「アルフレッド王子とモメているって聞いて、朝は様子を見ていたの。話しかけられなくて、無視したみたいになってごめんなさい」
「私も、ごめんなさい。勇気がなくて……」
他の子たちも、申し訳なさそうに言葉を続ける。
なるほど、朝の出来事を謝りたい気持ちもあったから、今日は集まったのね。
「気にしてないわ。あの状況で近づくのは、かなり勇気がいることだもの」
私は笑顔で言った。
「それに、私も同じ立場だったら、まず様子を見てたと思う」
正直なところ、私が逆の立場だったら臆することなく話しかけていたかもしれない。それは、私には魔法の実力がある。
王子に睨まれたって、何とかできる自信がある。いざとなったら、魔法でふっ飛ばしてやればいいと思えるから。
でも友人たちには、そんな力はない。だから、一歩引いて見守るのは当然のことだと理解できる。なので私は、友人たちのことを許した。
それから、放課後の勉強会が定期的に開かれるようになった。友人たちと集まり、みんなで魔法の腕を磨く。実力アップを目指して、切磋琢磨する日々。
私を実力者として慕ってくれる友人たちは、真剣に指示に従い、めきめきと腕を上げていった。
勉強会の参加者は日に日に増えていき、気づけば学園全体の魔法レベルが底上げされていた。みんなの成長に貢献できたと思うと嬉しい。
「ねぇ、エレノア様。今日の授業での活躍、本当に凄かった」
「私たちも、アナタのように魔法を使いこなせるようになりたいの」
「もし時間があれば、これから練習するのを見てくれない?」
突然のお願いに、私は少し驚いた。でも、婚約を破棄されたおかげで、王妃教育の時間が空いていた。彼女たちの練習を見るくらいの余裕はある。やる気もあるので、手伝いたいと思った。
「いいわよ。時間はたっぷりあるから、みんなの力になれるよう頑張るわ」
私の返事に、友人たちは喜んだ。友人たちの目がキラキラと輝き、笑顔が広がる。
訓練場に移動してきた私たちは、まず各自の実力を確かめることにした。
一人ひとりの魔法を見ていき、課題を指摘する。
「あなたは、もう少し集中力が必要ね」
「そこのあなたは、動作が雑すぎるわ。もっと丁寧に」
私のアドバイスに、友人たちは真剣に耳を傾けている。これまで何度かアドバイスしたことあったけれど、その時とは真剣度が違う。その頃は、周りに合わせて実力を抑えていた。やっぱり、実力がある人から聞くアドバイスのほうが効果的なのね。
実力を隠していたことが、少しだけ申し訳なく思えてきた。もっと早く、せめて友人たちには打ち明けておくべきだったかもしれない。
そうすれば、もっと早くからみんなの力になれたかもしれないのに。
でも、友人たちはあまり気にしていないようだ。みんな、今この瞬間に集中している。それなら私も、この時間を大切にして、指導に集中しよう。
「ねぇエレノア様、朝のことなんだけど……」
訓練の休憩中、一人の友人が切り出した。
「アルフレッド王子とモメているって聞いて、朝は様子を見ていたの。話しかけられなくて、無視したみたいになってごめんなさい」
「私も、ごめんなさい。勇気がなくて……」
他の子たちも、申し訳なさそうに言葉を続ける。
なるほど、朝の出来事を謝りたい気持ちもあったから、今日は集まったのね。
「気にしてないわ。あの状況で近づくのは、かなり勇気がいることだもの」
私は笑顔で言った。
「それに、私も同じ立場だったら、まず様子を見てたと思う」
正直なところ、私が逆の立場だったら臆することなく話しかけていたかもしれない。それは、私には魔法の実力がある。
王子に睨まれたって、何とかできる自信がある。いざとなったら、魔法でふっ飛ばしてやればいいと思えるから。
でも友人たちには、そんな力はない。だから、一歩引いて見守るのは当然のことだと理解できる。なので私は、友人たちのことを許した。
それから、放課後の勉強会が定期的に開かれるようになった。友人たちと集まり、みんなで魔法の腕を磨く。実力アップを目指して、切磋琢磨する日々。
私を実力者として慕ってくれる友人たちは、真剣に指示に従い、めきめきと腕を上げていった。
勉強会の参加者は日に日に増えていき、気づけば学園全体の魔法レベルが底上げされていた。みんなの成長に貢献できたと思うと嬉しい。
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