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第18話 守らないと ※エドガー王子視点

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 兄のアルフレッドは、平凡な暮らしを望んでいるように見える。

 だが俺には、兄の本性が見えていた。権力への執着心を隠しきれないでいる、兄の醜い姿が。

 兄にとって権力とは、何物にも代えがたい価値があるのだ。その権力を奪われそうになったとき、兄はとんでもない行動に出る可能性があった。

 だけど今は、静かに平凡な暮らしを望んでいる。それが乱されない限り、大人しくしている。今の状況が、一番良い。

 だからこそ俺は、兄の望む平凡な暮らしを脅かさぬよう、大人しくしていた。権力争いの渦中に巻き込まれぬよう、権力から距離を置いていた。

 でもまさか、兄が恋に落ちて変わってしまうなんて予想もしていなかった。しかも相手は平民の娘という。そして、婚約相手だった公爵家の令嬢を邪険に扱っているらしい。これは、かなりマズイ。

 兄は、エレノア嬢のことを平凡な人物だなんて思い込んでいるようだ。けれども、それは大きな誤解。

 エレノア嬢は、あの有名な魔法使いに鍛え上げられた、途方もない実力の持ち主。学園では、その力を隠しているようだけど。見ればわかる、その実力の高さを。

 公爵家の令嬢でもあるエレノア嬢を邪険に扱うなんて、それもダメだろう。

 それに、エレノア嬢はあんな兄に対しても、婚約相手として歩み寄ろうと努力してくれた。結局兄は、別の女に浮気してしまったが。そんなエレノア嬢を、誰かが助けてあげないと哀れだ。

 なんとなくだけど、エレノア嬢は俺に似ているようにも感じた。親近感もあって、心の底から彼女を助けたいと思った。

 助ける理由は、これだけ沢山ある。だから、俺が動かないといけないと思った。


 婚約破棄は止められないが、それ以外の問題は積極的に動くべき。彼女との繋がりが切れてしまうのもダメ。それで他国へ逃げられてしまったら。王国にとって、とんでもない損失になる。それだけは阻止しないといけない。
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