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第17話 守護者の登場

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「兄上、やめろ」

 教室に響く低い声。振り向くと、そこにエドガー王子の凛々しい姿があった。彼の視線は、真っ直ぐアルフレッド王子に向けられている。

「ッ! エドガー! とめるな」

 エドガー王子は一気にアルフレッド王子に近づくと、その肩をガシッと掴んだ。

「兄上、ここは教室だ。みっともない姿を晒すのはやめろ」
「これは、俺とエレノアの問題だ。お前には関係ない。引っ込んでいろ!」

 エドガー王子の制止にも関わらず、アルフレッド王子は怒鳴り続ける。これは面倒ね。激昂するアルフレッド王子は、エドガー王子でも抑えるのは難しいのね。

「王族であるあなたが、そんな態度を周りに見せて、この後どうなるのかを理解しているのか?」
「ッ!」

 それでも、エドガー王子は冷静だった。説得を続けると、アルフレッド王子もようやく周りで見ている者たちの存在に気づいたようだ。

 その後、私の顔をキッと睨みつけるアルフレッド王子。それから数秒後、彼は怒りながら教室を出ていった。その後を黙って追いかけるヴァネッサ。

 2人が教室を出ていって、ようやく落ち着いた。

「兄が迷惑をかけて申し訳ない、エレノア」
「いえ、助かりました。エドガー様」
「来るのが遅れてすまなかった。まさか、兄が突撃するとは思わなかったよ」
「来てくれるだけでありがたいです。私は、あの人を止めることが出来ませんでしたから」

 またしても、エドガー王子に助けてもらってしまった。彼には色々と助けてもらってばかりだ。

「そうか。助かったのなら良かった」

 エドガー王子の優しい瞳が、私を見つめる。本当に助けてくれて感謝していた。これで何度目だろう。

「じゃあ、俺も行くよ。また何かあったら呼んでくれ」
「はい。気を付けて」

 問題が解決すると、エドガー王子はすぐに去っていった。

 エドガー様は、いつも私を助けてくれる。でもやっぱり、頼りすぎてはいけない。自分の力で、どうにかしないといけない。

 おそらくアルフレッド王子やヴァネッサは、この後も何かして来そうな予感がする。あの2人が、このまま黙っているはずがない。対処できるように備えておくべきだろう、と思った。



 友人たちが心配そうに寄ってきた。

「エレノア様、大丈夫でしたか?」
「アルフレッド王子、あんなに怒って怖かったです」

 そんな友人たちに笑顔を見せながら、私は答える。

「ええ、大丈夫よ。エドガー様が来てくれたから」
「良かった。でも、アルフレッド王子は怒りすぎでしょう」
「あんな人が、王国の将来を担うなんて不安になってしまうわね」
「それ以上、言わないほうがいいわ。あの人の耳に入ったら大変だもの」
「っ! そうね、黙っておく」

 私も同じ意見だけど、口に出さないほうが良いでしょうから。アルフレッド王子に伝わってしまったら大変なことになるかもしれない。特に今は、怒ったら何をされるのかわからないから。気をつけたほうが良いでしょう。
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