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第4話 不安な予感
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婚約を破棄する手続きの準備をすべて終えると、アルフレッド王子に報告するため彼の部屋を訪れた。
「手続きの準備が整いましたので、報告に参りました」
「ようやく終わったのか。準備だけなのに、随分と時間がかかったな」
まだ言っている。もう指摘するのも面倒になったのでスルーする。これを聞くのも今日で終わりだから、我慢もできる。
婚約破棄の手続きを進めるために、どれだけ苦労したのかアルフレッド王子は理解していないのでしょう。なるべく穏便に終わらせるために、色々と苦労したのに。
わざわざ説明する気にもなれない。それよりも、早く終わらせたかった。
「ところで、新しい婚約相手に選んだヴァネッサという女性について――」
私が聞こうとすると、アルフレッド王子が遮った。
「それについては大丈夫。こっちで進めるから気にするな」
「……そうですか」
念の為に状況は把握しておきたかったけれど、教えてはくれないのね。まあ、この婚約破棄の手続きが完了すれば、彼と私は無関係になる。コチラに被害がなければ、問題ない。
「これで、俺たちの関係は完全に終わりだな」
その通り。その言葉を聞いて、ようやく肩の荷が下りた気がした。でも、まだ完了したわけではない。大事な作業が残っている。
「これで、婚約破棄について各方面に広くお知らせする必要があります。婚約破棄の発表の方法は――」
「大丈夫だ。それも、コチラに任せてくれ」
自信満々のアルフレッド王子。絶対に自分がやる、という強い意志があった。今まで丸投げだったのに、どうして。
嫌な予感がする。でも、相手は王子。私よりも上の立場の人だ。ここまでやる気を出されたら、任せるしかなくなる。
本当に嫌だけど、発表の方法については彼に任せるしかないらしい。
「どうやって発表するつもり、なのでしょうか?」
「それは、その時になったら分かるさ。それまでは君にも教えられない」
「……なぜですか?」
「秘密保持のためさ。誰にも情報を漏らさないように」
「……」
そう言われて、少しだけドキッとする。気付いていないとは思うけれど、エドガー王子に事情を話したことを言われているような気がした。これ以上、突っ込めない。
こうして話が終わって、私はアルフレッド王子の部屋から出た。とにかく、大きな仕事が片付いた。気持ちが楽になった。少しだけ、不安も残っているけれど。
部屋を出ると、そこには第二王子エドガー様の姿があった。
「エレノア、婚約破棄の手続きの準備は終わったのか?」
彼は優しく微笑む。
「ええ、何とか」
「だが、なにか不安そうだが」
「……はい。実は、発表の方法が気になって」
私は、先ほどの話をエドガー王子にも伝えた。
「それなら、俺の方でも調べておこう。なにかわかったら、君にも伝える」
「いいのですか?」
「前に言ったように、君の力になりたいと思っている。役に立てるのなら良かった」
「ありがとうございます。とても頼りになります」
やっぱり、彼の言葉に私は勇気づけられる思いがした。彼の存在が、どれだけ心の支えになっているか。改めて、感謝の気持ちが込み上げてくる。
「手続きの準備が整いましたので、報告に参りました」
「ようやく終わったのか。準備だけなのに、随分と時間がかかったな」
まだ言っている。もう指摘するのも面倒になったのでスルーする。これを聞くのも今日で終わりだから、我慢もできる。
婚約破棄の手続きを進めるために、どれだけ苦労したのかアルフレッド王子は理解していないのでしょう。なるべく穏便に終わらせるために、色々と苦労したのに。
わざわざ説明する気にもなれない。それよりも、早く終わらせたかった。
「ところで、新しい婚約相手に選んだヴァネッサという女性について――」
私が聞こうとすると、アルフレッド王子が遮った。
「それについては大丈夫。こっちで進めるから気にするな」
「……そうですか」
念の為に状況は把握しておきたかったけれど、教えてはくれないのね。まあ、この婚約破棄の手続きが完了すれば、彼と私は無関係になる。コチラに被害がなければ、問題ない。
「これで、俺たちの関係は完全に終わりだな」
その通り。その言葉を聞いて、ようやく肩の荷が下りた気がした。でも、まだ完了したわけではない。大事な作業が残っている。
「これで、婚約破棄について各方面に広くお知らせする必要があります。婚約破棄の発表の方法は――」
「大丈夫だ。それも、コチラに任せてくれ」
自信満々のアルフレッド王子。絶対に自分がやる、という強い意志があった。今まで丸投げだったのに、どうして。
嫌な予感がする。でも、相手は王子。私よりも上の立場の人だ。ここまでやる気を出されたら、任せるしかなくなる。
本当に嫌だけど、発表の方法については彼に任せるしかないらしい。
「どうやって発表するつもり、なのでしょうか?」
「それは、その時になったら分かるさ。それまでは君にも教えられない」
「……なぜですか?」
「秘密保持のためさ。誰にも情報を漏らさないように」
「……」
そう言われて、少しだけドキッとする。気付いていないとは思うけれど、エドガー王子に事情を話したことを言われているような気がした。これ以上、突っ込めない。
こうして話が終わって、私はアルフレッド王子の部屋から出た。とにかく、大きな仕事が片付いた。気持ちが楽になった。少しだけ、不安も残っているけれど。
部屋を出ると、そこには第二王子エドガー様の姿があった。
「エレノア、婚約破棄の手続きの準備は終わったのか?」
彼は優しく微笑む。
「ええ、何とか」
「だが、なにか不安そうだが」
「……はい。実は、発表の方法が気になって」
私は、先ほどの話をエドガー王子にも伝えた。
「それなら、俺の方でも調べておこう。なにかわかったら、君にも伝える」
「いいのですか?」
「前に言ったように、君の力になりたいと思っている。役に立てるのなら良かった」
「ありがとうございます。とても頼りになります」
やっぱり、彼の言葉に私は勇気づけられる思いがした。彼の存在が、どれだけ心の支えになっているか。改めて、感謝の気持ちが込み上げてくる。
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