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第44話 戦後の一方的な話し合い ※ラザフォード皇子視点
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「ふむ。貴様が、ラクログダム王国のレナルド王子か」
「……」
戦いに負けたレナルド王子は拘束されて、敵の本陣まで連行された。戦いに負けた責任と将来の不安によるストレスで、身体と精神はボロボロになっていた。顔色も、青ざめている。
そんな彼に話しかけたのは、国境で防衛の指揮をしていたラザフォード。顎に手を当てながら、間近でレナルド王子を観察する。
「まさか自ら、幸運の女神の加護を得た者を手放すとはな。バカな奴だ」
「……幸運の女神とは一体、何の事だ?」
ラザフォードのつぶやいた言葉に興味を惹かれたレナルド王子が問いかける。その言葉は、自分に向けられていた。だが、幸運の女神の加護を得た者については覚えがなかった。誰のことを言っているのか。
「お前の婚約者だった女性のことだ」
「……まさか、カトリーヌか?」
婚約者だった、と言われて思い当たる人物。彼女は、周囲に不運を振りまく存在。幸運の女神の加護を得た者、なんてあり得ない。
ラザフォードは、カトリーヌの存在について語った。
「彼女がラクログダム王国に居たことで、我々は攻めることが出来なかった。彼女を帝国に迎え入れるため色々と準備をしていたが、自ら手放しまうとは想定外だ。そのおかげで、我々の予定が前倒しになって助かったがな」
「……なにを、言っている?」
カトリーヌがラクログダム王国に居たからこそ、ファルスノ帝国は今まで王国には戦争を仕掛けてこなかった。手を出したら、報いを受けることになる。そんな予言があったから、静観していた。
だけど、カトリーヌがファルスノ帝国にやって来た。先ほどの戦いでは、敵の大将であるレナルド王子を捕縛することに成功した。ラクログダム王国に対して、帝国は圧倒的に有利な状態。
こうなったのも、カトリーヌがファルスノ帝国に来てくれたおかげなんだろうと、ラザフォードは考えていた。
実は、今までに何度かラクログダム王国に仕掛けて戦い、失敗したことがあった。だけど今回は何の問題もなく、戦うことが。そして、圧勝した。
これで、ラクログダム王国に戦争を仕掛けても大丈夫だろうと、確認を取ることが出来た。今まで国境で防衛に徹していた甲斐があった。
後は、じっくりと攻めるだけで王国を攻略することができそう。
ただ問題は、王国内が荒れまくっていること。反乱軍や盗賊団の類が横行しているようなので、それらを鎮圧する必要がありそうだ。
「そんな、彼女が居たから、戦争が起きなかった……? 王国は平和だった……?」
「話は以上だ。連れて行け」
部下に命令して、呆然としているレナルド王子を下がらせる。
あまり情報を引き出す事は出来なかったけれど、それほど有能そうに見えなかったので、レナルド王子を尋問する必要はないだろうと判断したラザフォードだった。
「……」
戦いに負けたレナルド王子は拘束されて、敵の本陣まで連行された。戦いに負けた責任と将来の不安によるストレスで、身体と精神はボロボロになっていた。顔色も、青ざめている。
そんな彼に話しかけたのは、国境で防衛の指揮をしていたラザフォード。顎に手を当てながら、間近でレナルド王子を観察する。
「まさか自ら、幸運の女神の加護を得た者を手放すとはな。バカな奴だ」
「……幸運の女神とは一体、何の事だ?」
ラザフォードのつぶやいた言葉に興味を惹かれたレナルド王子が問いかける。その言葉は、自分に向けられていた。だが、幸運の女神の加護を得た者については覚えがなかった。誰のことを言っているのか。
「お前の婚約者だった女性のことだ」
「……まさか、カトリーヌか?」
婚約者だった、と言われて思い当たる人物。彼女は、周囲に不運を振りまく存在。幸運の女神の加護を得た者、なんてあり得ない。
ラザフォードは、カトリーヌの存在について語った。
「彼女がラクログダム王国に居たことで、我々は攻めることが出来なかった。彼女を帝国に迎え入れるため色々と準備をしていたが、自ら手放しまうとは想定外だ。そのおかげで、我々の予定が前倒しになって助かったがな」
「……なにを、言っている?」
カトリーヌがラクログダム王国に居たからこそ、ファルスノ帝国は今まで王国には戦争を仕掛けてこなかった。手を出したら、報いを受けることになる。そんな予言があったから、静観していた。
だけど、カトリーヌがファルスノ帝国にやって来た。先ほどの戦いでは、敵の大将であるレナルド王子を捕縛することに成功した。ラクログダム王国に対して、帝国は圧倒的に有利な状態。
こうなったのも、カトリーヌがファルスノ帝国に来てくれたおかげなんだろうと、ラザフォードは考えていた。
実は、今までに何度かラクログダム王国に仕掛けて戦い、失敗したことがあった。だけど今回は何の問題もなく、戦うことが。そして、圧勝した。
これで、ラクログダム王国に戦争を仕掛けても大丈夫だろうと、確認を取ることが出来た。今まで国境で防衛に徹していた甲斐があった。
後は、じっくりと攻めるだけで王国を攻略することができそう。
ただ問題は、王国内が荒れまくっていること。反乱軍や盗賊団の類が横行しているようなので、それらを鎮圧する必要がありそうだ。
「そんな、彼女が居たから、戦争が起きなかった……? 王国は平和だった……?」
「話は以上だ。連れて行け」
部下に命令して、呆然としているレナルド王子を下がらせる。
あまり情報を引き出す事は出来なかったけれど、それほど有能そうに見えなかったので、レナルド王子を尋問する必要はないだろうと判断したラザフォードだった。
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